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うつは「一生、治らない」のか?(その2)―治らない「理由」とは

①なぜ、うつは「治らない」のか。

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前回の投稿ではこう書いた。

「自分のために『環境を選択する』などと言うのは『言うは易く行うは難し』だ。そうそう簡単に出来ることではない。そんな答えは現実的ではない。だからこそ、みんなうつで苦しんでいるのだ」と言う反論があるかもしれない、と。

なるほど。家族に対して扶養義務を負い、ローンで借金をしている場合などは、特にそうかもしれない。新しい仕事を「選択」したところで、従来と同様の収入が得られる保証はない。自分の人生の選択が他人の人生にも影響を及ぼす。

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②うつは人生の非常ブレーキ

だがちょっと考えてみよう。

うつとは、喩えて言うなら列車の非常ブレーキのようなものだ。

意識しているのか無意識なのかは別にして、あなたの環境と内心の欲求の間には根本的な矛盾と葛藤があった。そこで「このままでは大変なことになる。今の生活はこれ以上続けられない」と、あなたの無意識下にある内心が非常手段に訴えたのだ。あなたの生活に強制的なストップをかけたわけである。これがうつの発症だ。

列車に喩えて言うならこうだ。なぜ非常ブレーキが作動したのか。線路に倒木でも倒れこんできたのか。野生動物が走りこんできたのか。それとも踏み切りで自動車がエンコしてしまっていたのか。その原因を突き止めて除去しない限り、運転は再開出来ない。

おまけにその原因を除去したら即座に運転再開という訳にもいかない。列車自体に異常がないのかどうか、一通り安全を確認しなければならないだろう。

うつにしても同じことだ。貴方の内心にあった根本的な矛盾と葛藤を解決しない限り、うつからは復帰できない。


③あなたの矛盾や葛藤とは

ではそのうつの原因となった、矛盾や葛藤とは何か。

目下の職場で割り当てられている業務が嫌になってしまったのか。それとも職場での人間関係か。それはパワハラ上司なのか同僚なのか先輩なのか。それでは今の職場から異動させて貰えば良いのか。

それとも、あんなパワハラ上司が大きな顔をしてのさばるのを許しているような、今の会社の社風そのものが耐えられなくなってしまったのか。

では転職すれば良いのか。それとも現在の職種そのものが嫌になってしまったのか。自分でいくら努力してもツブシがきかず、結局は使い捨て。そんな職種に展望が見えなくなってしまったのか。いや、それともサラリーマン生活そのものが嫌になってしまったのか。

それなら職種を変えれば良いのか。サラリーマンを辞めて別な仕事に転業すれば良いのか。

だが職業生活なんて、人生のホンの一部分に過ぎない。あなたの直面している葛藤は、もっと根が深く、人生観とか生きる目的とか価値観とかにかかわる問題かもしれないのだ。

自分が人生において何に重きをおき、何を目指そうとしているのか。いったい自分は何を捨ててまで何を選ぼうとしているのか。

これらの点がはっきりと浮き彫りになり、明確に自覚できるようになれば、この先の展望も見えるようになるのではないだろうか。

うつから回復するまでは、転職や退職など大きな決断をしない方が良いと言われる。心理的に大きなプレッシャーを受けており、冷静な判断ができなくなっているからだ。

これを逆に言えば、うつから回復すれば冷静な判断力が復活し、転職や退職などの大きな決断が出来るようになると言うことだ。だとすると、ますますうつを治すことが最優先の先決課題となる。

④生計手段との両立

だが今の環境を変えると言っても、その先は何も霞を食って生きるような仙人のような途ばかりではないだろう。今までと同じように生計を立てる手段も方法も見えてくるのではないだろうか。つまりあなたの人生の価値観と生計の手段との両立が可能になってくるのだ。

もちろん、これまでと同じ生活水準が維持できるとは限らない。その場合には家族にも影響が出る。その時は、家族にもはっきりと告げなければならないだろう。「自分はこうする。今後の生活はこうなる。あなた(たち)には、こうしてもらいたい」と。

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もちろん家族と言えども別人格だ。あなたと全く同じ考えをするとは限らない。だが切り出さないことには何も始まらない。あなたとしても熟慮の上での決断なのだし、うつという代償を払ってまで余儀なくされた方向転換なのだ。

もちろんあなたがどうするのかはあなた次第だ。あなたの人生なのだし、その判断に対して他人の立場からどうしろこうしろなどとは言えない。中には「家族の立場に立って」家族の反応を「忖度」して、生活水準を下げないために敢えて今の生活を続ける判断をする人もいるかもしれない。

だがそれは、酷な言い方かもしれないが「治らない」のではなく「治さない」判断をしたということなのだ。

ではうつはどうやって治したらよいのか。うつの原因とは、どうやったら突き止めることが出来るのだろうか。


これについては、稿を改めて次回以降に書くことにしよう。


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