藤本 柊

気ままに綴ります。 ごゆるりお付き合いいだだければ幸いです。

藤本 柊

気ままに綴ります。 ごゆるりお付き合いいだだければ幸いです。

マガジン

  • 『拝啓、楠木 歩様』

    お互い名前と住所しか知らない、文通相手。 「楠木歩様へ  藤本柊より」 消印は木曜日。

  • りょうこさんとかおるくん。

    りょうこさん(山川りょうこ 30歳)と、自称「プロのヒモ」かおるくん(岸 薫)との恋のおはなし。 「好きな人」と一緒にいたいだけ。 #LGBT #同性婚 #パートナーシップ宣誓制度 #恋愛小説

  • 「読書感想文」

    図書館で、あるいは本屋さんで出会った本たちとの時間をエッセイ風に。ジャンルはさまざま、その時の興味や関心に、素直に手に取り、呼応する自分の声を綴ります。

  • 度々、旅。

    度々の旅行記。

  • 木曜日の朝に。 <weekly>

    とある家庭の、木曜日の朝の風景。 週に一度の、ちょっぴり長いつぶやき。 コーヒー、紅茶、お茶のお供にどうぞ。 ビール、焼酎、ワインのお供にもどうぞ。

記事一覧

人間くさい自分をちゃんと書いていきたい

人のエッセイを読んだ。 読む前の自分と、読んだ後の自分が明らかに変わってしまうような、人間くさい、けれどその経験から生まれる言葉がとても生々しく、心を揺さぶるも…

藤本 柊
1日前
44

拝啓、楠木歩様  9.19

こんにちは、歩さん。 素敵なお写真をありがとうございます!かわいいテントですね。上高地は行ったことがありませんが、絶景ですね!もうすっかり秋みたい。20℃!まだま…

藤本 柊
2日前
14

カラオケは立って歌うタイプです。【バトンリレー企画】

みのむしさんが、サメ柄のシャツを着て、マイクを持って走ってきた。 「柊さーん、次、おねがいしまーす🎤」 「え?え?なんのはなしですか?カラオケ?」 聞けば、この…

藤本 柊
3日前
29

talking to the moon…

crazy cloud…

藤本 柊
4日前
13

私が尊敬している人の話。

私には、長年尊敬している人が何人かいる。 その一人「スミちゃん」について、今宵は語らせていただきたい。 スミちゃんと出会ったのは、かれこれ21年前。 長女を妊娠し…

藤本 柊
5日前
26

痛いけど、気持ちぃ。

もっさんもっさんの寝ぐせ頭のまま、トイレで、常夏っぽい短パンとパンツを下げる時にうっすら気がつきはじめ、用を足し、トイレットペーパーを掴んだとき、そして、最後に…

藤本 柊
6日前
22

大人の余裕。

メインの、ニュージーランド産牛ほほ肉のポワレが出てきた時には、僕は飲み物をスプモーニに変えていた。 りょうこさんはシェフおすすめのグラスワインの赤を二杯、すみれ…

藤本 柊
7日前
18

今 この目の前の景色が 言葉となり 文となる 筆先に宿り 色となる 手のひらから 器となる 私を作るのは いつも今 あのときも たしかに 今だったのだから

藤本 柊
8日前
20

拝啓、楠木歩様 9.12

おはようございます、歩さん。 よく晴れて、窓を開けると朝の空気が気持ちよく…と思いきや、今朝はそれほど涼しくはありません。まだまだ汗ばむ日々ですね。そう書いてい…

藤本 柊
9日前
11

青に憧れて。

四月から通った陶芸工房のろくろ教室。 土練り~ろくろ形成~削り作業~素焼き(800℃)~下絵つけ・釉薬がけ~本焼き(1200℃超え)の工程を経て、ようやっと一つの作品…

藤本 柊
10日前
19

夫と泣ける本。

「図書館いかないと」 もうすぐ陶芸工房の登り窯に火が入る。ロクロ教室で作った器たちに、下絵付けをしたり釉薬をかけるために、図書館で「下絵付けの紋様」だとか「染付…

藤本 柊
10日前
31

散歩のつづき。

電気もつけずに、レースのカーテン越しに届くだけの月明かり、散歩のつづきみたいな夜だった。 「うちに来る?」 と、ふいに言われ、 「もし、よければ」 と、付け加え…

藤本 柊
13日前
26

そういうとこ、だよね...

友情と恋心の境を探していた。 メイルのやりとりも、久しぶりに会う友人との心地よい時間も、一人きりではない楽しさに心が弾んで。一人も好きだけれど、そういった類の心…

藤本 柊
2週間前
29

ねこみたいなものかもしれない。

二人でおやすみの日。 お昼ご飯を食べて、洗い物を終えて、ソファーでひとやすみしながら、お買い物リストを書いている。午後から買い物行こうねと言っていたけれど、さっ…

藤本 柊
2週間前
30

拝啓、楠木歩様 9.5

こんにちは、歩さん。 おかげさまで、体調は回復し、咳はまだ少し出るものの、いつも通りの生活に戻りました。 ご心配おかけしました。 やっぱり日ごろの山歩きで、歩さん…

藤本 柊
2週間前
21

腹パンに愛を込めて。

※腹パンとは腹部にパンチのこと。 後頭部が出ているのは私と同じで、首の細い、華奢な体つきだった甥っ子が、別人みたいだった。 高校の体育祭で、応援団長を務めた彼は…

藤本 柊
2週間前
20
人間くさい自分をちゃんと書いていきたい

人間くさい自分をちゃんと書いていきたい

人のエッセイを読んだ。

読む前の自分と、読んだ後の自分が明らかに変わってしまうような、人間くさい、けれどその経験から生まれる言葉がとても生々しく、心を揺さぶるものだった。

美しい文章や、上手い文章に胸を打たれたりすることはままあるけれど、まるで両肩をガシッと掴まれユッサユッサと大きく揺さぶられながら
「しっかりしろよ」「目を覚ませ」
と真摯に伝えてくるような、そういう言葉で。

あぁ、エッセイ

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拝啓、楠木歩様  9.19

拝啓、楠木歩様  9.19

こんにちは、歩さん。
素敵なお写真をありがとうございます!かわいいテントですね。上高地は行ったことがありませんが、絶景ですね!もうすっかり秋みたい。20℃!まだまだこちらは30℃超えの日々で、少し動くと汗ばんでしまいますものね。
ケビンなら初心者の私でも大丈夫そうですね。
カレーメシ、美味しそう笑

私は、草刈りをしたり、ダンスのステージを見に行ったり、ブラスバンドの定期演奏会を聴きにいったりして

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カラオケは立って歌うタイプです。【バトンリレー企画】

カラオケは立って歌うタイプです。【バトンリレー企画】

みのむしさんが、サメ柄のシャツを着て、マイクを持って走ってきた。

「柊さーん、次、おねがいしまーす🎤」

「え?え?なんのはなしですか?カラオケ?」

聞けば、このお二人の企画とのこと。あらあら、

はじめまして、藤本柊と申します。
どうぞよろしくお願いします。

          🏃‍♂️‍➡️🏃‍➡️

さて、カラオケ🎤最後に行ったのは昨年だったかしら。歌番組をみながら「カラオケい

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私が尊敬している人の話。

私が尊敬している人の話。

私には、長年尊敬している人が何人かいる。
その一人「スミちゃん」について、今宵は語らせていただきたい。

スミちゃんと出会ったのは、かれこれ21年前。

長女を妊娠し、初めてのことに右往左往し、市の「妊婦学級」に参加した際、挨拶もひときわ爽やかで、一目見て「この人おもしろそう!」と、明るいオーラを感じ近づいて、自己紹介やら交流会ののち、彼女を含む5人くらいのグループができた。

年齢的には私は一番

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痛いけど、気持ちぃ。

痛いけど、気持ちぃ。

もっさんもっさんの寝ぐせ頭のまま、トイレで、常夏っぽい短パンとパンツを下げる時にうっすら気がつきはじめ、用を足し、トイレットペーパーを掴んだとき、そして、最後にパンツと短パンを引き上げたとき、それは確信に変わった。

あぁ、筋肉痛だわ。

昨日の早朝から、草刈り女子* の出動要請があり、蚊帳付き帽子に長靴を装備、首には絞り柄の手ぬぐいを挟み込み、カッポカッポ足音をならしながら歩いて現場へと向かった

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大人の余裕。

大人の余裕。

メインの、ニュージーランド産牛ほほ肉のポワレが出てきた時には、僕は飲み物をスプモーニに変えていた。

りょうこさんはシェフおすすめのグラスワインの赤を二杯、すみれさんはいつもどおりの白をすいすいと飲んで、残り少ない三杯目を傾けながら、

「やっぱり美味しいものと楽しいおしゃべりは、活力になるわよね。」

と楽しそうだ。

りょうこさんと二人、すみれさんの部屋を訪れたのは夕方で、

「山川と申します

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今



この目の前の景色が

言葉となり

文となる

筆先に宿り

色となる

手のひらから

器となる

私を作るのは

いつも今

あのときも

たしかに

今だったのだから

拝啓、楠木歩様      9.12

拝啓、楠木歩様 9.12

おはようございます、歩さん。
よく晴れて、窓を開けると朝の空気が気持ちよく…と思いきや、今朝はそれほど涼しくはありません。まだまだ汗ばむ日々ですね。そう書いているそばから、お天気おねえさんが、
「今日は猛暑日で秋の気配は少しも感じられません。」
と言いました。稲穂はずいぶん黄色いですが。

さっそくざらめをためしてみました。香ばしい甘さでくせになりそうです。コーヒーはほとんどブラックでしたが、ざら

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青に憧れて。

青に憧れて。

四月から通った陶芸工房のろくろ教室。

土練り~ろくろ形成~削り作業~素焼き(800℃)~下絵つけ・釉薬がけ~本焼き(1200℃超え)の工程を経て、ようやっと一つの作品が完成する。

私たちの作品は、この秋の六連房登り窯で一斉に焼かれる。その窯詰めの前、器に化粧を施す時期になったのだ。

窯の火のまわりに、釉薬の溶け方や発色が変わっていく。焼き上がりを想定して施すけれど、それは本当に窯をあけてみな

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夫と泣ける本。

夫と泣ける本。

「図書館いかないと」

もうすぐ陶芸工房の登り窯に火が入る。ロクロ教室で作った器たちに、下絵付けをしたり釉薬をかけるために、図書館で「下絵付けの紋様」だとか「染付〜青に憧れて〜」みたいな本を借りて、図案や構想を練っておきたかったのだ。

休日だった夫も「おれも借りたい本がある」とかで、一緒にいつもの図書館へ、分厚いトートバックをさげて向かった。

「借りたい本ってなに?」

「100万回生きたねこ

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散歩のつづき。

散歩のつづき。

電気もつけずに、レースのカーテン越しに届くだけの月明かり、散歩のつづきみたいな夜だった。

「うちに来る?」

と、ふいに言われ、

「もし、よければ」

と、付け加えられるのと同時に、

「もしよければ」

と、答えていた。
もう少しこの人と一緒にいたいと思ったし、寂しげな彼女を放っておいてはいけないとも思ってたけど、きっとそれは、後になってから言い訳みたいに付け加えた記憶なのかもしれない。

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そういうとこ、だよね...

そういうとこ、だよね...

友情と恋心の境を探していた。

メイルのやりとりも、久しぶりに会う友人との心地よい時間も、一人きりではない楽しさに心が弾んで。一人も好きだけれど、そういった類の心の戯れがとても嬉しくて、あぁこの子といるの好きだなぁ~と思うのだ。

それって、友情ですか?恋心ですか?
その違いは、どこにありますか?
そういうことを思ったことはありませんか?
その「好き」はどの「好き」よ?

私は友達が少なくて。

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ねこみたいなものかもしれない。

ねこみたいなものかもしれない。

二人でおやすみの日。
お昼ご飯を食べて、洗い物を終えて、ソファーでひとやすみしながら、お買い物リストを書いている。午後から買い物行こうねと言っていたけれど、さっきから隣に座ったかおるくんのあくびが止まらない。

ふぁ~っ と何度も何度も。
そうだよね、昨日はほとんど寝ていなかったみたいだもの。

「かおるくん、寝ていいよ?」
「ふぁ~...、大丈夫です、行きます。」

あくびのしすぎ、涙目でぼんや

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拝啓、楠木歩様       9.5

拝啓、楠木歩様 9.5

こんにちは、歩さん。
おかげさまで、体調は回復し、咳はまだ少し出るものの、いつも通りの生活に戻りました。
ご心配おかけしました。
やっぱり日ごろの山歩きで、歩さんは基礎体力があるんですね。もう少し回復したら、私も朝のウォーキングを再開しようと思います。

あとは食事ですね。
知り合いに、毎日ニンニクを食べている人がいて、その方の奥さんは「臭いから別々に寝ることにした」と嫌がっていましたが、ご本人は

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腹パンに愛を込めて。

腹パンに愛を込めて。

※腹パンとは腹部にパンチのこと。

後頭部が出ているのは私と同じで、首の細い、華奢な体つきだった甥っ子が、別人みたいだった。

高校の体育祭で、応援団長を務めた彼は、割れた腹筋で反り返りながら、枯れた声を空にむかって張り上げていた。

あんなにヘナチョコだったのに。

大きな音が怖くて、耳を塞いで縮こまっていた彼は、もうドンドンと打ち鳴らす太鼓を従えている。

人前に立つような役目を、一切拒んで引

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