藤本 柊

気ままに綴ります。 ごゆるりお付き合いいだだければ幸いです。

藤本 柊

気ままに綴ります。 ごゆるりお付き合いいだだければ幸いです。

マガジン

  • 木曜日の朝に。 <weekly>

    とある家庭の、木曜日の朝の風景。 週に一度の、ちょっぴり長いつぶやき。 コーヒー、紅茶、お茶のお供にどうぞ。 ビール、焼酎、ワインのお供にもどうぞ。

  • 「読書感想文」

    図書館で、あるいは本屋さんで出会った本たちとの時間をエッセイ風に。ジャンルはさまざま、その時の興味や関心に、素直に手に取り、呼応する自分の声を綴ります。

最近の記事

  • 固定された記事

よく降りますね。

三角屋根にザーーッとたっぷりな雨が当たる音がして、天気予報では「大きな傘をお持ちください」と言っていた。 朝からよく降る雨。 ワイパーが、タクン タクンと弧を描くリズムは頑なに一定で、微妙にカーステレオの曲に合ってはおらず、ウインカーとて似たようなもので、勝手なテンポで割り込んで。 上着のフードを被り、そのよく降る雨など避けられるわけではないけれど、身を小さくして、小走りに屋根の下へと急ぐ。 ピチャッ 水溜まりはまだ出来損ないで、溢れては流れ出て、スニーカーに踏まれ

    • 木曜日の朝に。 48朝

      「おはようございます。」 アラームを止めて、そのままお腹にスマホを乗せたまま寝ていたみたい。隣の布団で寝ていた夫のアラームでハッ!と起きて、もぞもぞと一緒に起き出す。 「おはよー」「おはよー」と靴下を履く。 もっさんもっさんの頭で、ストーブに火を入れて、白湯をすする。階段をトントントントンと軽快に猫が降りてくる。 ナァーーー…  (おはよー) 夫は新聞を取ってきてから、血圧計のカフのマジックテープをジャッ!ジャッ!として。 こどもたちは春休みで、今日は部活もOFFだか

      • 指のキヲク。

        丁寧に爪を削りながら、翌日のことを考えていた。彼女に会える日。二人で少し、ゆっくりできそうな日。 家族を送り出し、朝の家事を済ませたくらいに彼女はやって来た。 「おはよー」 ランチまでは、まだ時間は早くて。  手を広げて迎えると、彼女は上着を着たまま、すっぽりと腕の中におさまって。 「会いたかったよ」 「うん、私も」 ゆるっとニットにタイトなパンツ、ウェーブのかかったロングに、くすみピンクのシャドウの目元が品良く。小さな耳には星のピアス、私がプレゼントしたものをつけ

        • ナナカイキ。

          真珠の数珠を左手に、手を合わせ、深く礼拝をする。 父の七回忌に、座敷に並べた座布団に礼服や制服に身を包んだ娘、婿、子らが座り、心静かに経を唱え。 焼香の煙が漂う。 朗らかな和尚様は、曹洞宗の落ち着いた袈裟を羽織り、木魚を、とくとく とくとくと打ちながら、仏様へ問いかける。 外は、雨が静かに降っていた。 念彼観音力 念彼観音力 父は今、仏の道のどの辺りにいるのだろう。 父は、平成の終わりにこの世を去り、令和もコロナも知らなくて、それはそれは盛大に、たくさんの方々

        • 固定された記事

        よく降りますね。

        マガジン

        • 木曜日の朝に。 <weekly>
          48本
        • 「読書感想文」
          35本

        記事

          木曜日の朝に。 47朝

          「おはようございます。」 アラームが鳴って、雨音がしていて、私よりも先に、隣のお布団から夫がのっそりと起き出ていく。今日もお弁当はいらなくて(だから少し布団でグズグズうだうだしてから)、寝ぐせ頭でぼーっと起き出て、ストーブに火を入れる。 靴下を履いて、白湯にひとつまみの塩とレモンをたらしながら、リビングに転がっている布団たちを眺める。フーフー。 一人…二人…三人…と黒いシッポ…。 長女が帰省してきていて、昨晩は「三人で寝る!」とリビングに布団を敷き詰めて寝ていた三姉妹

          木曜日の朝に。 47朝

          モネならばきっと。

          モネの絵、といえば「睡蓮」が有名で。 そのパステル調のような、やさしい色彩が、どこか和の色合いに似た気がして。 桜色、だとか若草色だとか。 大阪中之島美術館へ、モネの絵を見に行ってきました。そう、100%、モネ。 印象派を代表する有名画家クロード・モネ。 ひとつの景色を、その角度や時間帯や天候によって移り変わる表情を追って描きつくす。刻一刻と移り変わる、光の魅せる景色に取り憑かれた、モネの連作が見られる贅沢。 晩年のモネはジヴェルニーの家の庭に、日本風の橋、ツツジや

          モネならばきっと。

          月日は流れ。

          久しぶりに通る道は狭くて、対向車が来たらすれ違えないから、そろそろと行くのだけれど、結局は対向車など1台もなく、行き止まりまで行くのだ。 お寺さんまでの道のり。 小学校の教員をしていた住職(濱島先生という理科の先生だった)は、何年も前に亡くなり、後に入られた若いおっさん*も数年で亡くなられた。その後はずっと、おくりさん**が切り盛りしていたけれど、そのおくりさんも数年前に亡くなられた。今では、近くのお寺さんのおっさんが来て、檀家のお世話をしてくれている。 私が小学生のこ

          月日は流れ。

          中之島美術館。 モネ展に来ています。幸せ。

          中之島美術館。 モネ展に来ています。幸せ。

          紫陽花

          鮮やかに咲いて 淑やかに揺れて 愛でてもらった 私はそのまま 色褪せて ただ 色褪せて 風吹く季節の そのままに

          木曜日の朝に。 46朝。

          「おはようございます。」 カーテンから漏れる光がいつもより明るい気がして、ムクッと起き出したけれど、リビングの時計はいつもの時間だった。 そうか、夜明が早くなったのか。 もっさんもっさんな頭のまま、靴下を履き、ストーブに火を入れる。 「(お)はよー」 と言いながら階段を降りてくる三女は、今日から久しぶりの登校で。 と、いうのも、 月曜の朝、頭が痛いと熱を測ったら37.7度、ホントだ、ほっぺも赤く、欠席をして。 と、思ったら学校からの連絡で、「インフルエンザB型で欠席者が

          木曜日の朝に。 46朝。

          春が来るから かな。

          いつもよくしてくれる細身の年下の女の子と、同窓会で会ったらとても綺麗になってた気の強い女の子と、高校時代に仲良かった部活の若々しい男性顧問と、バンドをやってる可愛い系クラスメイト男子に、同日に時間差で告白されて。 え!? すんごいモテ期きたけど困っちゃったな〜。   みたいな夢を見て起きた。 私って、大丈夫かしら? めちゃくちゃ気分よくなっちゃって、自己肯定感なんて最上級だったし、なんなら優先順位つけて順番に会おうとかしていた、絶好調に調子乗りな最低なやつだった…。

          春が来るから かな。

          成くん。

          成くんに電話した。 「こんにちは、お久しぶり。」 不要不急が叫ばれはじめてから、自粛ムードが世の中を覆って、めっきりすっかり遠のいていた成くんのお店。 地元に根付いた割烹料理屋で、父も、町の行事や集まりがあれば、成くんところで飲んで帰るのが定番だった。私たちも大人になって、そのうちに、幼なじみの女子4人で集まって飲むのは成くんところが定番になっていたのに。最後に成くんところで飲んだのはもう三年前だろうか。 「姪っ子とお昼ご飯食べに行っていい?     唐揚げ定食が食べた

          成くん。

          木曜日の朝に。 45朝

          「おはようございます。」 アラームが二重に鳴って、自分のを止めても隣のが鳴り続けていて、もぞもぞと手探りで止めて、ゆさゆさと三女を揺さぶる。 「ろくじだよ」 「んん…なぃ(はい)」 ろくじ…が、6時に変換されながら、もっそりのっそり起き出す。 明日に控えた中学の卒業式にむけて、練習やら準備が、三女ら在校生によって連日おこなわれていて、“在校生代表 送辞” の役どころに三女は、日に日に落ち着かなくて。 「あんまアレならさ、     下で一緒に寝てもいいんだよ?」 と

          木曜日の朝に。 45朝

          「雨のほとり」 ゆるりとお邪魔いたします🌱 https://stand.fm/channels/65df4c5c53b400abe2b54992/announcements/65e7318fe5a6140148051635

          「雨のほとり」 ゆるりとお邪魔いたします🌱 https://stand.fm/channels/65df4c5c53b400abe2b54992/announcements/65e7318fe5a6140148051635

          本当を知りたい?

          〝ever fallen in Love〟 彼女のアイコンの ハートに囲まれたその一文に 今だに、私の心がザワついて。                       𓂃◌𓈒𓐍◌𓈒 𓈒◌𓐍𓈒◌𓂃 天気が良くて、春らしい日差しいっぱいのベランダには、盛大に布団が干してあって。 二人並んでそこから、裏庭で子犬のようにじゃれあってあそぶ子どもたちを見ていた。 太っちょの白黒猫のサスケが日向ぼっこをしている、あたたかでうららかな日だった。 そのベランダから、部屋へ戻るその瞬間。

          本当を知りたい?

          二人、お風呂。

          体躯の大きな夫が、そのもじゃもじゃしたすね毛の脚をたたんで、私の入る隙間を作ってくれた。 ちゃぽん。 一人で入るよりもお湯かさが増して、狭くて楽しい。娘たちと入る時はもっと窮屈に、三人で体育座りでいたりするけれど。 白い薄手のタオルをふわふわと漂わせる。 夫は昔から、湯船にタオルを持ち込むのだけれど、それは私が小さな頃、古い家のタイルのお風呂で父と入っていた頃を思い出す。 クラゲを作って遊んだ。 空気を閉じ込めて、ゆっくり沈めてブクブクと。 「かして。」 夫は大き

          二人、お風呂。