藤本 柊

気ままに綴ります。 ごゆるりお付き合いいだだければ幸いです。

藤本 柊

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マガジン

  • りょうこさんとかおるくん。

    りょうこさん(山川りょうこ 30歳)と、自称「プロのヒモ」かおるくん(岸 薫)との恋のおはなし。 「好きな人」と一緒にいたいだけ。 #LGBT #同性婚 #パートナーシップ宣誓制度 #恋愛小説

  • 『拝啓、楠木 歩様』

    お互い名前と住所しか知らない、文通相手。 「楠木歩様へ  藤本柊より」 消印は木曜日。

  • 「読書感想文」

    図書館で、あるいは本屋さんで出会った本たちとの時間をエッセイ風に。ジャンルはさまざま、その時の興味や関心に、素直に手に取り、呼応する自分の声を綴ります。

  • 木曜日の朝に。 <weekly>

    とある家庭の、木曜日の朝の風景。 週に一度の、ちょっぴり長いつぶやき。 コーヒー、紅茶、お茶のお供にどうぞ。 ビール、焼酎、ワインのお供にもどうぞ。

  • 【映画感想文】

    おもにNetflixで観た映画について。

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幸せな悪夢

カムフラージュ 気まぐれにきたメッセージは、 ちょうどまあるいオレンジの夕陽が 家々の窓に丸ごと映っているのを、 運転しながら見かけた帰り道だった。 良妻賢母な彼女らしいメッセージに、家族のために夕飯の下ごしらえをするキッチンでの姿を思い出す。ソファーに座って編んでいたのは子どもの習い事用のカバーで、自分用の物すら編まなかった。 車を停めて、霞む空にぼんやりと沈んでいくオレンジを見届けながら、そう返す。 彼女を待ちながらよく本を読んでいた。二つ

    • プロポーズ。

      「ただいまー。」 スーツケースと紙袋をガサゴソと、リビングへ入っていくと、カレーの匂いがして、 「おかえりなさい。」 と、帆布エプロン姿のかおるくんが、キッチンでおたまをクルクルしていた。 「カレー?」 「はい、冷凍してあったので温め直しました。」 「いい匂い、お腹すいてるの。乗り継ぎで、お昼食べ損ねちゃったから。」 「そうだろうと思いました。」 キッチンでカレーを温めているかおるくんを、後ろからギューッとする。 「ただいま。」 「おかえりなさい。」 そのまま振り

      • 未来、予想図。

        あーちゃんが、どうしても行きたいお店があると言って、今日は一日、二人で出かける日。 「たまには、かわいい妹のこともかまってあげないとだめだよ?おねーちゃん。」 二つ下のあーちゃんことあさみは、そうやって昔から上手に人に甘えていく。親戚のおばさんにも、近所のおじさんにも、ニコニコと愛想よく、スっと懐に入って可愛がられていた。屈託ないその笑顔。 「はいはい、かわいい妹ですからね〜。」 昔はよくケンカしていたけれど、大人になった今は、仲の良い友達みたいで、近ごろはあーちゃん

        • 夢をみたせい。

          きっと夢を見たせい。 母は、はりきってすし飯を大量に作り、あーちゃんは焼海苔を四切りにして、私はお刺身や玉子やキュウリやを綺麗に盛り付けていた。 「かおるさんはよく食べるの?」 「まぁ、普通かな…。」 「お父さーん!福ちゃんがお水ないってー」 「福ぅー、しょぉかー、おみじゅかー」 ピンポーン 「りょうちゃん!かおるさんじゃない?」 「あ、はいはい。」 かおるくんは、少し畏まって、白いワイシャツにグレーのパンツ姿で、両手に紙袋を持っていた。 「(りょうこさん…、大丈

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        幸せな悪夢

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        • りょうこさんとかおるくん。
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          4本
        • 「読書感想文」
          40本
        • 木曜日の朝に。 <weekly>
          60本
        • 【映画感想文】
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        記事

          結婚とか、子どもとか、2回目とか。

          「っらっしゃいっせ〜!」 威勢のいいかけ声を浴びながら、濃いグリーンのパンプスを脱いで下足箱に入れて、奥のお座敷を覗く。そこには30人くらい、すでに集まっていて、ざっと見ても誰が誰なのか全然わからない。 「山川...?」 いつの間にか、隣にいて声をかけてくれたのは、林くんだった。 「わぁ、林くん。よかった、久しぶりすぎて誰がいるのかわからなくて…」 「オレは変わっとらんだろー。相変わらず、イケメンやからなー。」 「ハハ!うんうん、自分で言っちゃうとことか、相変わらず。

          結婚とか、子どもとか、2回目とか。

          お互いさま、ですね。

          「りょうこさん、充電器入れました?」 「りょうこさん、メイクポーチは?」 「りょうこさん、何時の電車でしたっけ?」 「りょうこさ」 「かおるくん!もう、大丈夫だってば!」 りょうこさんは明日から、実家に帰省する。三泊四日、その間に中学の同窓会もあるのだという。 出張はたまにあるけれど、せいぜい一泊くらいのもので、こんなに家を空けることは、一緒に暮らしてから、初めてのことだ。 忘れ物の多いりょうこさんのことだから、とパッキングを手伝っていたのだけれど。 「かおるくん

          お互いさま、ですね。

          拝啓、楠木歩様 7.18

          こんにちは、歩さん。 お手紙ありがとうございました。 歩さんとのやりとりは、まるで友達と昼休みや下校中に話すみたいですね。 私は雑談が好きです。私は「雑談」が上手な人ほど魅力的な人物だと思ってしまいます。 引出しのたくさんある人に憧れます。そして、そのいろんな引出しを、順番に開けていってみたいなと、興味惹かれていくんだと思います。 趣味のお話でしたね。私も、一時期一眼レフカメラ(Nikon)を持って写真を撮ってまわっていました。最近はパタリと撮ることをやめてしまいましたが

          拝啓、楠木歩様 7.18

          月のもの。

          「ただいま...」 引きずるような重い足どり。帰宅すぐに、音で何となくわかるようにまでなってしまったりょうこさんの疲労度。 「おかえりなさい。おつかれさま。」 「うん...ちょっと寝る...」 「え?着替えないんですか?」 と言うのも聞いてなくて、ソファーにバフッと倒れ込む。だいぶお疲れのご様子だ。 今夜は、手羽元をホロホロに煮込んだカレー。朝から仕込んで、余熱調理でしっかりとホロホロになって、うまく出来たんだけど...。 ソファーの上で猫みたいに丸くなったりょうこさ

          月のもの。

          刑事さんと話しちゃったよ。 すごい自然な感じだったんだけど、刑事さんってやっぱ、普段から細かく観てたりするんだね...コメント欄とか。 お恥ずかし😆 https://note.com/3no64/n/n83bc4e34b7fe

          刑事さんと話しちゃったよ。 すごい自然な感じだったんだけど、刑事さんってやっぱ、普段から細かく観てたりするんだね...コメント欄とか。 お恥ずかし😆 https://note.com/3no64/n/n83bc4e34b7fe

          打ち上げ花火より心臓に悪い。

          シャワーから出て、ほかほかシャンプーの香りのするりょうこさんは、エアコンの効いた部屋の全身鏡の前で浴衣を着始める。 「自分で着るんですか?」 「そう...、浴衣くらいはね...。ねぇ、かおるくん、ちょっとここおさえてて。」 口に紐のはしを咥えたり、トントンと襟だか端だかを整えたり、まるで贈り物のラッピングをするように、りょうこさんは浴衣姿になっていく。 「よしっ、と。」 オリオンビールに下着姿(もしくは生まれたてスーツ)か、パリッとビジネスカジュアルな普段のりょうこさ

          打ち上げ花火より心臓に悪い。

          昼間から呑んでました〜🍻 楽しすぎるーっ 笑 『魑魅魍魎』 居心地よすぎ😉 小説「なんのはなしですか」に登場してました♪ https://note.com/3no64/n/n42c7730325c2 https://note.com/3no64

          昼間から呑んでました〜🍻 楽しすぎるーっ 笑 『魑魅魍魎』 居心地よすぎ😉 小説「なんのはなしですか」に登場してました♪ https://note.com/3no64/n/n42c7730325c2 https://note.com/3no64

          太く強く靱やかであれ。

          カーテンの隙間からの光に目を覚まし、起こさないようにそぉっとベッドから降りて。 お湯を沸かし、ネギを刻む。油揚げとワカメ、味噌をとくと、ふんわり香る。卵を二つ、ボウルに割り、白だしとチャカチャカとまぜ、小さなフライパンにクルクルと焼く。 そろそろ起こす時間。 「…ぉはよー。いい匂い。」 起こす前に起きてきた、寝ぐせ頭で、眠い目を擦るりょうこさんは、オリオンビールのTシャツに下着姿で。 「かおるくん、私、ごはんちょっとでいい。」 朝の弱いりょうこさん。夜はあんなに元気

          太く強く靱やかであれ。

          描いてみた、を、やってみた。

          よよさんの「あいうえお作文」にハマっている。 もう、No.6なんだけれども。 ずっと、何言ってるかわかんない 笑笑 でも、すごい語呂が良かったり、拍子抜けする場面がちょっと絵になっちゃったりして。 もっと、もっと、と欲しがってしまう私がいる。 そして、その世界観のおもしろおかしい感じが、「ヨシタケシンスケ」さんだとか、もっとさかのぼると「五味太郎」さんみたいな朗らかさを感じてきちゃって。 だいぶハマってる。 今日は、次女の三者懇談のあと、二時間ほど時間があって、図書

          描いてみた、を、やってみた。

          「From木曜日の朝に。」 https://stand.fm/episodes/6690aca44a2c5acd19464898 雨の日、ドライブしながらの一人しゃべり🚗³₃ 暇つぶしにどうぞ☕️

          「From木曜日の朝に。」 https://stand.fm/episodes/6690aca44a2c5acd19464898 雨の日、ドライブしながらの一人しゃべり🚗³₃ 暇つぶしにどうぞ☕️

          ちゃんと見ていて。

          激しく求められたかった。 私なしでは生きられないと、骨抜きにしたかった。あなたの幸せ、なんてしらない。 今夜どうしても、 今このときに、 その瞬間だけが信じられる気がしたから。 そうでしょう?それは本物でしょ? 明日になれば嘘になるかもしれないし、なかったことにも、体のいいあやまちとでも言えるから。 私はギュッと力を込める。 「どうかこのまま」 お互いの息、力加減も荒々しく、ただ夢中にさせてほしい。ただただ、求め合うだけの、線香花火みたいなセックスがしたい。

          ちゃんと見ていて。

          拝啓、楠木歩様 7.11

          おはようございます、歩さん。 お返事、ありがとうございました。 今日は私も朝に、雨の音を聞きながら、これを書いています。 書くに適した時間…。そんなこと考えたこともなかったのですが、たしかに、1日の時間帯には色あいがありますね。私もいろいろ試してみます。 歩さんの願い事、それは私にとっての願い事でもあります。今年の七夕はこちらは晴れていましたから、きっと叶いますね。 すでに真夏みたいな暑さですね。 それでもやっぱり、私は夏が好きです。こどもの頃の夏の記憶がそうさせるのかも

          拝啓、楠木歩様 7.11