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ボツネタ御曝台【エピタフ】混沌こそがアタイラの墓碑銘なんで#037



元歌 中島みゆき「糸」

縦の糸はあなた 横の糸は私
織りなす布は いつか誰かを
暖めうるかもしれない


萩尾望都の土産 萩の月が10個
11人も いるから私
食べられないかもしれない




萩尾望都って、あの萩尾望都先生?

「だろ」

あの、ジャイアント馬場一族の数奇な運命を描いたファンタジー『アポーの一族』の作者の?

「違うわ、バカ野郎! 血吸うぞ、この野郎!」

「そんで、血吸った後にバーバー馬場に連れてって、『メッシュ』と同じ髪色に染めてやんぞ!」

ああ、やめてください! 血吸われた後にメッシュの髪色にされたら、低血圧の妖しい美少年になってしまいます!

先輩! 後生ですから右腕だけは、右腕だけは折らないでくださ~い!

……

……

とまあ、こんな感じですけど、どうですか?

「うーん、間口が狭すぎるな~」

細かすぎて伝わらないですかね?

「だいたい、誰に向けて書いているのかサッパリわかんねえーよ」

ターゲットが絞りきれてないと?

「こんなもん、マーケティング会社に採点してもらったら、ぜってー0点だぞ」

わかりますけど、なんか嫌だな、スーツ着てる奴に採点されるのって、なんか嫌です

「お前は基本、ジャージかスウェット着てる奴しか信用しねえからな」

スーツ着てる奴を信用するな! ってミュージシャンの息子にアドバイスしたスティングと同じ心境ですよ

「そんなこといったって、アタイラよりは間違いなく優秀なんだからしょうがねえだろ」

でも、会議で決めたものって正しいけど、面白くないじゃないですか?

「歪さや矛盾が無いからな」

だいたいマーケティング会社なんて信用できないですよ

『E.T.』は気持ち悪いから絶対にヒットしないって、スピルバーグにいい放ったような人たちですよ

「相変わらず古いな~、お前のネタは」

創作の本質がわかんないような人たちに評価されたくないっす!

「創作の本質は〈それ以外〉だからな」

そうそう、〈それ〉っぽくなっちゃったら、もう〈それ〉は、〈それ〉じゃないんですから

「〈それ〉〈それ〉うるせえな~」

アタイなんか、初めて行った居酒屋で「オススメは何ですか?」って訊いたあとに「じゃあ、〈それ以外〉で適当に見繕って!」っていっちゃいますから

「性格悪いだけだろ、〈それ〉」

違いますよ、アタイは勘の鋭い女なんです!

「え? 居酒屋の店主が嘘ついてたってこと?」

はい、本当に美味しいのはAなのに、おすすめはBだっていわれちゃったんです

「なんで?」

思ってたよりBに注文が来なくて、食材にロスが出そうだからですよ

「うんまあ、確かに嘘かもしんねえけど、気持ちはわからんでもないな」

正直にいえばいいんですよ、「おすすめはAなんですが、Bの食材が大量に余っているので、出来ればBを注文していただけるとありがたいです」って

そうすれば、アタイだって鬼じゃないですから、Aを1個とBを3個注文してやりますよ

客が何も知らないからって、騙すようなことをする店はリスペクトできません!

「危なく納得しそうになったけどさ、お前、むかし飲食店でバイトしてたとき、無理やりメニューを変更させようとしたよな? 客に対して」

……だって、ラストオーダーでグラタンとか注文するんですもん

グラタン皿って洗うの結構大変なんっすよ、だからアタイの帰る時間が遅くなっちゃうと思って……

「で、なんていったんだっけ?」

グラタンじゃなくて、モロキュウにしろって……

「バカだなあ、そういう時は「すみません、グラタン終わっちゃいました、すぐ出せるのはモロキュウしかありません」ていえばイイんだよ」

いや、それだと嘘になっちゃうでしょ!

だから、アタイは正直にいいました「めんどくせえからグラタンじゃなくて、モロキュウにしろ!」って、めっちゃ威圧的な態度で

「うわー、ムカつくわー、正直者なのに嫌な奴って、お前くらいしかいねーわー」

……

……

なんかアタイラの会話って、話題がコロコロ変わりますよね

「イイんだよ、ナオンの会話ってのは、こういうもんなんだよ」

それにしても、最初と最後の関連性があまりにも無さすぎません?

「それは、お前が男性的な文体に毒されているからだよ」

そうなんですかね

「男ってのは連合記憶能力が低いから、女同士の会話の連合スピードについてこれねえんだよ、だから、話がコロコロ変わってるようにしか感じられないんだよ」

先輩、今は令和じゃないからイイですけど、そういう男女の優劣的な発言は、あんまり……

「バカだなぁ、人間なんてものはなぁ、優劣や違いをちゃんと知った上で、お互いに認め合い助け合えばイイんだよ」

ああ、もう、やめてください、最終的にそういう小学校の先生が褒めてくれそうな結論でまとめるの、そういうの、もうイイです、お腹いっぱいです

「たしかにな、アタイもなにかに毒されてるのかもしんねーな」





しかし、話は変わりますけど、少女漫画のイケメンって、なんであんなに瘦せてるんすかね

「腕も細いしな、だからメッシュみたく簡単に折られちまうんだよ」

ジャイアント馬場を参考に描かれているっていう噂もありますよ

「ねえーよ! そんな噂! 確かに腕は細いけれども……」

そんなにいうなら、メッシュがマッチョな感じの上半身だったらどうなるか、確かめてみましょうよ

「イイよ、ガリガリだろうが、筋肉隆々だろうが、イケメンはイケメンに決まってんだから」

……

じゃあ、まずは、ケン・パテラの上半身にメッシュの顔を乗せてみましょう

……

はい、どうでしょう?

……

……

うーん、なんていうんだろう……なんか変な感じっすね

「うん、なんとなく嫌な感じの男には見えてきた……」

こんな男には、抱かれたくないですよね

「ぜってー、自分本位なエッチをするよな、この男」

……

そんじゃ、次はジャイアント馬場の上半身にメッシュの顔を乗せてみましょう

……

はい、乗せました

……

……

「うーん、一概に否定できないところが、ちょっと悲しいというか……」

もちろんダメですよ、基本的には

でも、なんていえばイイのか……こう、薄目を開けて見ればなんとかなるというか……

「うん、間接照明だったら大丈夫かも」

アタイも、寝るときにつける豆電球くらいの暗さならいけますね、多分

……

あーあ、これから少女漫画で上半身裸のイケメンが出てきたら、もうジャイアント馬場にしか見えなくなりますね……

「だな」

そして、『週刊ゴング』でチョップを打つジャイアント馬場の歪んだ顔を見るたびに、なんだかセクシーな気分になりますよねー

「それは無い」





それにしても、この『萩の月』が食べられないかもしれない人、かわいそうですよね

「『萩の月』と『ままどおる』は普通の土産とは違うからな」

アタイだったら、『萩の月』が食べられないとわかった瞬間、表に飛び出しちゃいますね

そんで、公園のベンチで半日くらいボーっとしてからじゃないと戻れません、マジで

先輩もアレでしょ、『ままどおる』の取り合いで、殺し合い寸前にまでいったことあるんでしょ?

「大げさだな、軽く乱闘になっただけだよ」

……

ところで、『萩の月』が1個足りないのって、萩尾望都先生が悪いですよね

萩尾先生は神だから、誰もなんもいえないんだろうけど……

「バカだな~、11人に『萩の月』を15個買ってきても何も起こらねーだろ、1個足りなくて食べられない人がいるから物語が動き出すんじゃねえか」

なるほど、さすが天才ですね、やることが違う

……

でも、物語を作る人って……残酷なんですね





アタイと先輩は反省会を開きました

前回、K君に食ってっかってしまったからです

K君はビビッて、すぐに帰ってしまいました

K君が、このアジトに来なくなってしまったらどうしよう

暮居カズヤスが行方をくらませてる今、頼れるのは誰あろう、K君一人だけだというのに……

K君に謝ろう、そして、今後は優しく接してあげよう

アタイラはそう決めたのでした

……

しかし、ふたを開けてみると、K君は前よりも頻繁にアジトへ訪ねてくるようになっていました

理由はイサオです

K君は、仕事にかこつけて子猫に会いに来ているのです

それ自体は別に良いのですが、本人がそれを認めようとしないのが、なんだか頭にくるのです

K君は家に上がるとすぐにリビングを見わたし、イサオがいないか確認します

そして、イサオを見つけると、すぐに猫じゃらしで遊び始めるのです

膝の上でイサオが寝てしまうと、その場から全く動こうとせず、黙ってその寝姿を眺め続けるのです

アタイラが話しかけても

「え? 今、なにかいいました?」

お前、仕事にかこつけてイサオに会いに来てんだろ!

「いいえ、別に、そんなことないです」

噓つけ!

「イサオ君が遊んでほしそうな顔してたから、気を使って無理して遊んでいるんです」

とまあ、こんな具合なのです





そんなK君が、今日もやって来ました

「こんにちわ、あがってもイイですか?」

……

お前、土産は?

「え? 今日は手土産無いですけど……」

「なにを持ってきても、結局ケチをつけられると思って……」

手土産じゃねえよ、土産だよ

「えーと、それって旅行に行ったときに買ってくる土産のことですか?」

そうだよ!

「いや、僕、旅行に行ってませんけど」

そんなこと、いわれなくてもわかってんだよ!

アジトに来る途中、デパートがあるだろ?

「あっ、はい、ありますけど」

そのデパートの6階とかでやってんだろ、地方の物産展とか

そこで、買って来いっていってんだよ

「うーん、チョットいってる意味がわからないんですけど……」

わかんねえ奴だな、旅行に行ったというていで買って来いっていってんの!

「なんのために?」

お前の土産話が聞きたいからに決まってんだろ

「行ってないのに?」

行ってる行ってないは関係ねえんだよ

アタイラはお前の土産話を聞きながら、土産が食いたいんだよ

普通に食う土産と、土産話を聞きながら食べる土産とでは、全然味が違うんだよ

……

「行ってないのに行ったていで話す土産話ですか? 例えば?」

例えばだな、お前が北海道に旅行に行ったとしよう

「実は僕、北海道大好きです」

だろ? 

そんで、お前は、サケの産卵が見たくて川を上流へと上って行くんだよ

すると、森の中でガサガサと音がする

「え!? も、もしかして!」

そう、茂みの中から突然、レオナルド熊が現れる

「あー、よかったー!」

命拾いしたな

そして、レオナルド熊と意気投合したお前は、山小屋へと案内される

「ちょっとイイですか? そのレオナルド熊を熊田曜子さんに変更できませんか?」

調子に乗んじゃねえよ! 山小屋に行くとわかった瞬間に熊田曜子にチェンジかよ!

「だって、これ妄想ですよね」

るせえな! アタイラの妄想なんだから、アタイラより美人な登場人物が出てくるわけねえだろ!

「なるほど」

アホ面で「なるほど」じゃねえんだよ! そういうときは「いやいや、そんなことないです、熊田曜子さんよりお綺麗ですよ♡」っていうんだよ!

「あー、はー」

わかったよ、ちょっとだけ底上げしてやんよ

パネル写真は熊田曜子ソックリだけど、実物はレオナルド熊にソックリな風俗嬢に案内されて、お前は小さな山小屋にたどり着きます

山小屋に入ると、そこには石倉三郎がいました

「ちっ」

あっ、お前、今、舌打ちしただろ!

「してません、してません」

いや、聞こえましたよね先輩、舌打ち

……

「……したかもしんないです」

「〈石〉って聞こえた瞬間、石原さとみさんかと思っちゃったんで……」

いるわけねえだろ、北海道の山小屋に石原ひとみが

わかったよ、じゃあ、パネル写真は石原さとみソックリだけど、実物は石倉三郎にソックリな風俗嬢にチェンジしてやんよ

「結構です、結構です、これ以上やると、なにがなんだかわからなくなりますんで」

……

当然お前は、石倉三郎と酒を飲むことになる

「はい、覚悟してました」

そして、高倉健とのエピソードトークを延々と聞かされる

同じ話を延々と朝まで

「きっついですね~それ」

眠いけど、眠ったら殴られるかもしれないから、辛いけど我慢して話を聞き続ける

しかも、その横では、酔っぱらったレオナルド熊が全裸でコンテンポラリーダンスを踊っている

「やめてください、想像したくないからやめてください」

やめねーよ、やめねーし、土屋太鳳にも変更してやんねーよ

「地獄だな~、本当だったんですね、地獄はあの世ではなくて、現世にこそあるって」

ああ、北海道旅行は本当に地獄だったなあ~

……と、こんな風な土産話を聞かせろっていってんの!

「長っ! たとえ話長っ!」





「あのー、そろそろ家に上がってもイイですか? ずっと玄関先で立ちっぱなしだったんで足が疲れちゃって」

おう、上がれ上がれ

……

「柵って届いてます?」

あー、なんか届いてたなー、先輩、どこに置きましたっけ?

……

柵というのは、池の周りを囲む柵のことです

アジトの裏側に、荒れ放題でジャングルのようになってしまった空き地があるのですが、その中央に小さな池のようなものがあるのです

調べてみたら、その空地も暮居カズヤスの土地であることがわかったので、それじゃあ池を柵で囲んでしまおうとK君がいい出したというわけなのです

理由は、イサオが落ちて溺れてしまわないため、なのだそうです

イサオは表に出さないことにしているから大丈夫だ、とアタイラはいったのですが

「ダメです、猫というのは表に出さないようにしていても、時々逃げ出してしまうものなんです、その時に溺れちゃったらどうするんですか? 危機管理ですよ、危機管理!」とK君にいわれてしまいました

……

K君が池の周りに柵を取り付けています

アタイラは、一生懸命に働くK君の後ろでタバコをふかしています

……

「タバコなんて吸わないで、手伝ってくださいよ」

手伝うわけねえだろ、アタイラが頼んだわけでもねえのに

あーうまいうまい、汗水たらして働く人を眺めながら吸うタバコが一番うまい! ね? 先輩

「まったく、どういう性格してるんですか」

「タバコやめたほうがイイんじゃないですか?」

なんで?

「いや、美容のために」

関係ねえだろ、お前には

「ありますよ、やれソンバーユ買って来いとか、やれNUXEのオイル買って来いとか、めっちゃ頼まれますけど、あれ、全部無駄ってことでしょ?」

タバコってのはな、本当はメチャメチャ健康にイイんだぞ!

「そんなわけ無いでしょ!」

お前、ウディ・アレンの『スリーパー』観たことねえのかよ

「聞いたことは有りますけど、観たことは無いです」

実は未来の世界ではな、タバコは健康にイイってことが判明するんだよ

「いやいやいや、それって映画の話でしょ? しかも、結構古い映画だったような……」

バカ野郎! アタイラをなんだと思ってんだよ! タイムマシンに乗って時間旅行をしたヤンキーだぞ!

……

「え? じゃあ、もしかして……」

そうだよ! アタイラが若いウディ・アレンに教えてやったんだよ、未来社会の現実を!

あの頃のウディ・アレンは素直でイイ奴でしたよね

「だな、あんなことをするなんて想像もできなかったよな」

わかったか? ウディ・アレンはアタイラが教えた通りに映画を撮っただけなんだよ

「へえ、SFコメディ映画じゃ無かったんですね、『スリーパー』って」

そうだよ、笑って観てる場合じゃねえんだよ

だから、お前もガンガンタバコ吸わねえと長生き出来ねえぞ

ちなみに、肉の脂身もメチャメチャ体にイイんだからな

……

「なんか、そちらの世界に引きずり込まれそうで怖いんですけど……」

……

……お前、勘だけは鋭いよな~

……

……

しかしあれだな、お前ってホント、動物に優しいよな

アタイラには、ぽたぽた焼き一袋なのにな

「それ、まだいうんですか? 結構、根に持つタイプだな~」

そうだ! 今からお前のこと、『Kポタ』と呼ぼう!

K君は美しい成人女性が二人も住んでいる館に、ぽたぽた焼き一袋を手土産にやって来た……略して『Kポタ』

「長っ! 略す前、長っ!」

嫌か?

「嫌ですよ、カッコ悪い、コンポタみたいで」

じゃあ、『Kポッタ』は?

「そんな、K-POPみたいないい方してもカッコ良くなりませんよ!」

ほらほら、手が止まってる、手が止まってる

「うるさいな~もう」

……

ところで、この前は悪かったな、アタイラもつい興奮してしまって

「いや、全然大丈夫です」

そうはいいながらも、Kポタの体にグッと力が入るのをアタイラは見逃しませんでした

……で、例の話の続きなんだけど

お前、本当に『サザンライトパーソンプロジェクト』のメンバーじゃねえのか?

「……はい、『サザンライトパーソンプロジェクト』なんてものは、実際には存在しないと思いますよ」

……

じゃあ、モナドンとかいう量子コンピュータは? 暮居の部屋にいる

「あれはマイコンっていうか、普通のパーソナルコンピューターですよ」

……

そんなことねえよ、暮居は、内臓を持った量子コンピュータだっていってたぞ

アタイも確かに聞いたんだから、内臓の音、ギュルルルルって

「ああ、そういえば冷却ファンの調子が悪かったんで水冷式に変えたけど、配管が詰まり気味でギュルギュルうるさいって、そんなこといってましたね~」

……

じ、じゃあ、暮居はコンピュータで何と会話してんだよ

「さあ、知りませんけど、風俗嬢とパソコン通信してるってのは聞いたことありますね」

……

え!? それってもしかして、量子双子の三波真里のことか?

「さあ、名前までは知らないですけど、……ていうか暮居さんて双子なんですか?」

うん、そういってたぞ

「双子だなんて聞いたことないな~」

「で、その女性に会ったことあるんですか?」

見たことはあるよ、チラッとだけど

「似てました?」

全然似てなかった

「じゃあ、双子じゃないと思いますけど……」

そんな、身も蓋もないこといわれても……

……

やっぱ、風俗嬢なんすかね? 先輩

「そういえば、初めて会ったあの時、二人してラブホテルから出てきたもんな」

……

……暮居、あの野郎~!

……

やはり、暮居カズヤスは、ただの狂人なのでしょうか?

そうなって来ると、サザンライトパーソンプロジェクトやイサオをめぐる、あの一連の出来事も、ただの妄想や幻覚の類いということになってしまいます

けれど、アタイにはそれを信じることがどうしても出来ませんでした

アタイラが今までに経験してきたものの全てが幻だったなんて……

そんなことに納得してしまったら、その瞬間、間違いなくこの世界は足元から崩れ去ってしまうのですから





柵の取りつけが終わると、K君はいつものようにソファに座りながらイサオと遊び始めました

……

子猫、可愛いか?

「はい、人間には可愛くない赤ちゃんがたまにいますけど、子猫は100パー可愛いですからね」

お前な~、そういう好感度が下がるようなこというんじゃないよ

……

……

何だよ、さっきから首をかしげて

「うーん、イサオ君って、ちゃんとご飯食べてます?」

食べてるよ、メチャメチャ食べてるよ、アウアウ唸りながら食べてるよ

「動物病院で健康診断とか受けてます?」

いや~、それは~、受けてないけど……

「気のせいかもしれないですけど、イサオ君、体重が増えていないような気がするんですよね、育ち盛りなのに……」

……

え!? そ、そうなのか?……

……

先輩とアタイは顔を見合わせました

……

……

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