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1  価値と人類 〜 松村圭一郎 × 『広告』編集長
小野直紀

1 価値と人類 〜 松村圭一郎 × 『広告』編集長 小野直紀

「ものの価値」って何だろう。どうやって人はものに価値を感じているのだろうか。そんな根源的な疑問を文化人類学者の松村圭一郎氏に本誌編集長の小野直紀が投げかける。
松村氏は「すべての物事は再構築できる」との立場を取る“構築人類学”を提唱している。いまの時代に、価値あるものとは何なのか、これからどうやって価値あるものを生み出していけばいいのか。そうした問題意識に対して、人類学は“価値の再構築”の手がかり

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中国で「村サッカー」がバズってる!!地方の村の素人サッカーリーグの決勝戦が全国放送されるほどの人気!そして驚きの健全性。プロサッカーへの不信があるようですね・・・

中国で「村サッカー」がバズってる!!地方の村の素人サッカーリーグの決勝戦が全国放送されるほどの人気!そして驚きの健全性。プロサッカーへの不信があるようですね・・・

こんにちは、DJムッチーです。
中国では今、農村で行われる「村サッカー」がプロリーグを凌ぐ人気となっているようなんです。
「村サッカー」とは、少数民族が多く暮らす農村のある貴州省黔東南ミャオ族トン族自治州榕江県で開催された「和美郷村サッカースーパーリーグ」のことです。
選手は全員、素人の村人たち。村の代表20チームが優勝を争います。リーグは「村超」と呼ばれていて、決勝戦は国営テレビで全国放送される

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「ルールを守る」だけで本当にいいのか?

体育では、スポーツやゲームを通してルールを守ることの大切さを伝えなければならない。それは多くの教員が無意識に、あるいは非常に高い優先度をもって指導していることだろう。しかし、本稿はあえて「ルールを守る」ことを批判的に捉えたい。先日読んだ川谷茂樹氏の「スポーツにおけるルールの根拠としてのエトスの探求」という論文が非常に重要なインプリケーションを与えてくれた。やはり「エトス」がキーワードになるのだが、

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なぜ日本に‘‘フットボールカルチャー’’が根付かないのか。ぼくらは「コギャル」に学ぶことがある。

なぜ日本に‘‘フットボールカルチャー’’が根付かないのか。ぼくらは「コギャル」に学ぶことがある。

「わたし」より「ウチら」。一人称はいつも「複数形」
ーHUFF POSTよりー

千代田線の根津駅を降りて、坂を登ると東京大学がみえてくる。こんなところに美術館なんてあるのか、と思いながらその有名校に沿う路地をあるいていると古民家風の美術館が現れた。

弥生美術館。
4月4日からここで行われている「ニッポン制服百年史―女学生服がポップカルチャーになった!」を観にきたのだ。

ここで観た情報は最後の

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「ただいる」ことの価値について

「ただいる」ことの価値について

シェアハウスという場をしていると、「ただそこにいる」ということが、極めて高い価値を持っている、ということがじわじわと分かってくる。

私たちは、「ただいる」ことから、一体何を受け取っているのだろう。一体そのことの、何が価値なのだろうか?

誰もいないリビングに、人は自然に集わない。

でも、そこに誰かがひとりいるだけで、なんとなくリビングに行ってみようかなあ、ちょっと話をしたくなったらリビングに行

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111 まじめな遊び、ふざけた遊び

111 まじめな遊び、ふざけた遊び


1. まじめな遊び・ホイジンガの遊びの理論

文化史家ヨハン・ホイジンガの『ホモ・ルーデンス』は、文化と遊び(※1)の関係について、初めて深くまじめに論じた著作として名高い。とくに「遊びの相のもとに(sub specie ludi)」という標語のもとで、文化の様々な側面をある種の遊びとして理解しようと試みたことは、よく知られているだろう。

ホイジンガは、先行するいろいろな遊びの定義論をまとめて

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『身体ごと、入り込んでいるときだけは。』

『身体ごと、入り込んでいるときだけは。』

天井を見上げると、壊れたシーリングファンの代替えとして取り付けられた小さな電球が、申し訳程度に吊り下げられている。『いま直す準備を進めているから』と、釣りの話になると永遠に止まらない大家は言ったけど、もちろんそんなはずもなく、この部屋を出る最後の日まで僕を照らし続けたのは、小さな電球ひとつだった。

アルゼンチンで迎える、3年目の春。

2018年2月、「フットボール」というたったひとつのものを追

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【実践】「領域を跨ぐ」「分野を交差させる」には、何をするべきか?

【実践】「領域を跨ぐ」「分野を交差させる」には、何をするべきか?

サッカー界で仕事をしていくことを決めてから、とにかくずっと「領域を跨ぐ」とか「分野を交差させる」とか、そういうことばかり考えていました。サッカーの人たちとサッカーの話をしてもあんまり楽しくないな、という感覚があったし、他の分野の本を読むとおもしろいなという感覚もあったし、自分が自分であるためにはサッカーのことだけを考えていても全然無理だな、という感覚もあって、そういう感覚が積み重なって「領域を跨ぐ

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サッカー観とトレーニングメソッドに共通する「多様性」の概念

サッカー観とトレーニングメソッドに共通する「多様性」の概念

自然が好きです。ただ、New Yorkの夜の街並みを思い出すと、これもまた異常な美しさを感じるのです。生きていると、全く意識していないタイミングで、大切なことに気が付くことがあります。これまで蓄積していた「点」が一本の「線」で繋がる瞬間は、意図せず訪れるのかもしれません。コントロールできないとも言えます。

New York, 2018

最近は、生きる環境が一気に変わったからか、あらゆることに気

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非指向型(non-oriented)世界と未来予想試論

海外留学の授業前から、Pre-assignmentとして、400語くらいの文章をつくりなさいみたいなお題が出たんだけど、いきなり「未来の主要な要素はなんですか」みたいな問いで、マジメに悩み込んでしまった。

色々考えた結果、やはり非指向型(non-oriented)世界観へのパラダイムシフトが極めて重要な気がしてきた。

non-orientedについては以下に(漢字、自分の中でまだ定まってない)

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新しい学校

新しい学校

新しい学校を模索する動きがあちこちで大きくなってきて、
期待が高まっている。
それで日本の教育は良い方向に動くだろうか。
大いに期待している。

ただ、懸念が、大きな懸念が一つある。
システムやカリキュラムや校舎や教具を変えても、必ずしも教育がよくなるわけではない、ということである。

カナダやオランダだけでも、オルタナティブ教育を中心にそれぞれ数十校に及ぶさまざまな学校の視察をし、世界各国に行く

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私がMost Likely to Succeedについて クリティカルに書く4つの理由

私がMost Likely to Succeedについて クリティカルに書く4つの理由

著書『やりすぎ教育』(ポプラ新書)の中で、Most Likely to Succeed という映画について書きました(p30)。長くなりますが、引用します。

「受験の成果を学校、もしくは教師の教育力と個人の学力や努力の結果の関数であるとみなした場合、学力は「必要なこと」をICTで個別最適化して個人に身につけさせればいいということになりますし、さらに個人が社会で活躍する術を身につけさせるには、生徒

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人の育ちは面倒を見る人の数でも変わる?!

人の育ちは面倒を見る人の数でも変わる?!

ワンオペの大変さ、が言われているけれど、
赤ちゃんを育てるときに、面倒を見る人の数で、赤ちゃんの育ち、
つまり人の根っこの育ちが変わってしまうかもしれないということは
どの位、認識されているだろうか。

ワンオペが大変だというとき、育てている親が大変だということは言われるけれど、育てられている赤ちゃんが大変だということは強調されない。

大変な思いをしている親に育てられる子どもは、大変なのである。

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