森 一貴(Mori Kazuki)

シェアハウス家主、プロマネ、たまに参加型デザイナー。参加型デザインやコ・デザインと呼ば…

森 一貴(Mori Kazuki)

シェアハウス家主、プロマネ、たまに参加型デザイナー。参加型デザインやコ・デザインと呼ばれる領域が専門で、福井県鯖江市をフィールドに、多様な人々が出会い、関わりあい、思いもよらない変容が生まれる実践に取り組みながら、「ともにデザインすること」について考えています。

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  • デザイン・論文まとめ

  • フィンランド記

  • マンズィーニ「ここちよい近さがまちを変える」発刊記念特集

    11月3日、エツィオ・マンズィーニ著「ここちよい近さがまちを変える」が発売されます。この本は一体どのな本なのか。エツィオ・マンズィーニとは何者なのか。さらには本書の中で取り上げられた事例のより詳細な解説記事まで、翻訳者の一人である森一貴による、特集記事を連載します。

  • ロン・ワッカリーを読むために

    人間以上中心の世界におけるポストヒューマニズムデザインを探索したロン・ワッカリー「Things we could design: For more than human-centered worlds」を読むための関連図書を読むマガジンです。

  • 海外大学院留学記:アアルト大学でデザイン修士を取得する

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自己紹介_2023年12月

こんにちは、森一貴(Kazuki Mori)です。シェアハウスの家主をしたり、プロジェクトマネージャーをしたり、たまに参加型デザイナーのような顔をしたりしています。参加型デザインやコ・デザインと呼ばれる領域が専門で、福井県鯖江市をフィールドに、多様な人々が出会い、関わりあい、思いもよらない変容が生まれる実践に取り組みながら、「ともにデザインすること」について考えています。 * 以下、プロフィールです。 1991年に、山形県新庄市で生まれました。東京大学にて地理学をまなび

    • さばえまつりの開催宣言を行いました。

      ついに、さばえまつりの開催宣言を行いました。 今秋、さばえまつりを開催します。お祭りは誰もが乗り込めるおおきな舟、誰もが「つくる」ことに関われるおおきな舞台です。何が起こるか、誰も知らない。僕も。これはなんなんですかと問われても、何も説明できない。当たり前です。まだないものだから。僕らがこれからつくるんだから。 ひとまず、一緒にさばえまつりをつくっていくLINEグループ、現在の参加者57名です。さて、どこまで増えることやら!みなさん、これからどうぞよろしくお願いします。イ

      • 「つくる、さばえ」宣言を行いました

        2月3日、「つくる、さばえ」宣言を行いました。 100人以上の来場者が詰めかけるなか、鯖江に流れる「つくる」アイデンティティを中心に据え、これからの未来をつくろうとする、力強い宣言を行うことができました。竹部さんが言及してくれていたことだけど、こういう場に高校生も商工会議所や眼鏡協会のトップも一緒にいられる鯖江は、本当にすごいまちだと思う。 つくる、さばえ会議、佐々木市長の言葉が就任時よりずっとずっと重く深いものになってきていて、市長自身もすごく悩みながら挑戦しながらここ

        • 高校生の探求学習のいま

          マイプロジェクト福井県summitのサポーターとして参加してきました。 僕はまちづくり系のマイプロジェクト5つを拝見したのですが、探求のレベルがおそろしく高いです。廃校を活用したイベント実施や、廃線危機に瀕した路線の活性化プロジェクトなど、やっていることはよく見るようなものかもしれないけれど、地域の団体と協働し、実際に予算を獲得し、実行し、さらに省察して次のアクションへ…という一連のサイクルが軽々と行われている。 もちろん今日出会ったチームはいずれも県内でも良い評価を獲得

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        自己紹介_2023年12月

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        記事

          【全文訳】 公共イノベーションラボ(公共組織内デザインチーム)はいかに正統性を確立するか?―ダイナミクス、アプローチ、知識創造

          IASDR(国際デザイン学会連合)カンファレンスで2023年10月に発表した森一貴および岩嵜博論による共著論文「How do PSI Labs establish legitimacy?: Dynamics, approaches, and knowledge creation(PSIラボはいかに正統性を確立するか?―ダイナミクス、アプローチ、知識創造)」がオンライン上のプラットフォームに掲載されました。その全文訳を掲載します。 本論文は、フィンランドの公共組織内の5つのP

          【全文訳】 公共イノベーションラボ(公共組織内デザインチーム)はいかに正統性を確立するか?―ダイナミクス、アプローチ、知識創造

          めんどくさい網の目のなかで引き受けていくこと

          いま仕込んでいるお祭りは、どんなにめんどくさくても、泥臭いところを可能な限り引き受けたいなと思っている。 面白がれる人たちだけで面白いことをやるのは簡単だ。でもその分だけ、〈おもしろい〉誰かが、〈おもしろくない〉誰かを排除すればした分だけ、おもしろいことは、〈みんな〉から遠ざかってしまう。〈みんな〉でやるっていうのは、そこらへんの生意気な子どもや、マックの女子高生や、町内会の婦人会のお母さんたちや、仕事辞めたいとばかり言っている24歳や、自民党支持一択のおじいちゃん、そうし

          めんどくさい網の目のなかで引き受けていくこと

          チームで仕事をするなら、リアクションし続けよ

          チームで仕事するとき、みんなもう少し自分の存在、自分のリアクションがチームに与える影響を自覚した方がいい。 例えばミーティングでブレストしているとき、議論が前に進むのは、あるときふと場に出されたアイデアに対して、誰かが"それいいですね"って言った瞬間である。アイデアを出したとき、その人にはふつう、確信なんてほとんどない。僕なんか自分の意見に自信なんかなくて(大体みんなそうなのだ)、言ってみて、まわりの反応を見て、あ、なんか良さそうだ…と思ったときにやっと前に進むことができる

          チームで仕事をするなら、リアクションし続けよ

          技術が私たちの偶発的行為を意思/選択/自責任に追いこんでいく世界において、私はずっと「選びたくない」のだ

          すべてを意思と選択の問題に還元してしまったことが、色んな場所でひずみを生んでいる(それはまた、技術的進化が私たちに強いるものでもある―出生前診断のように)。確かにそれは自分で選択できるという自由への転換なのかもしれない。でもいま私たちにとって、就職も、結婚も、妊娠・出産も すべては意思と選択の問題に帰されている。そこに前提されているのは、「私たちはよく考えれば合理的に選択できるのだ」という合理主義的人間像であり、そしてこのうねりに表裏一体でくっついてくるのが、「私たちは自分の

          技術が私たちの偶発的行為を意思/選択/自責任に追いこんでいく世界において、私はずっと「選びたくない」のだ

          サーキュラーエコノミーとデザイン:安居昭博さんの話を聞いて書く

          安居昭博さんが越前鯖江デザイン経営スクールのセミナー講師として鯖江にきてくれて、サーキュラーエコノミーの講演をしてくれた。 「ここちよい近さがまちを変える」や「Things we could design」を翻訳しながら安居さんの話を聞いてみると、サーキュラーエコノミー(CE)が急速に僕の考える意味での〈デザイン〉に接近するような気がして、とてもおもしろく聞いていた。より具体的に言えば、網の目を引き受けるようなデザインのあり方の具体的な実践として、サーキュラーエコノミー的な

          サーキュラーエコノミーとデザイン:安居昭博さんの話を聞いて書く

          エツィオ・マンズィーニとは誰か?―参加型デザイン、ソーシャルイノベーション、そしてまちづくりへ

          11月3日、森が翻訳に携わったエツィオ・マンズィーニ著「ここちよい近さがまちを変える:ケアとデジタルによる近接のデザイン(原著タイトル「Livable Proximity: Ideas for the City That Cares」)」が発売されました。 その発刊記念特集記事第二弾として、今回は「エツィオ・マンズィーニとは何者なのか?」というテーマで記事を書いてみたいと思います。特に本記事は、マンズィーニを説明する過程で、参加型デザイン、およびマンズィーニが確立した「ソー

          エツィオ・マンズィーニとは誰か?―参加型デザイン、ソーシャルイノベーション、そしてまちづくりへ

          ロージ・ブライドッティ「ポストヒューマン―新しい人文学に向けて」を読む

          Ron Wakkaryの「Things we could design」の翻訳に携わるなかで、森が関連図書を読み漁るコーナーです。今回はロージ・ブライドッティの「ポストヒューマン」(原著:Braidotti, R. (2013). The Posthuman. Polity)を読みます。 ブライドッティは著名なフェミニズム理論家で、特にノマドや生成変化といった、ドゥルーズを介して身体的な主体概念(「主体」という語がわかりにくければ「わたし」)を検討してきた論者です。彼女は新

          ロージ・ブライドッティ「ポストヒューマン―新しい人文学に向けて」を読む

          「ここちよい近さがまちを変える」―この本は、一体なんなのか?

          きたる11月3日、森が翻訳に携わったエツィオ・マンズィーニ著「ここちよい近さがまちを変える:ケアとデジタルによる近接のデザイン(原著タイトル「Livable Proximity: Ideas for the City That Cares」)」が発売となります。 率直に言います。ぜひまず予約してください!!!!!(※福井の人は、僕から直接買ってくださいませ!) とはいえ発売にあたり、一体どんな本なのかがわからなければ、手に取りづらいことも確かでしょう。そこで今回、「ここち

          「ここちよい近さがまちを変える」―この本は、一体なんなのか?

          ロージ・ブライドッティ「批評的ポスト人文学―あるいは、ネイチャーカルチャーにとってのメディアネイチャーは、BiosにとってのZoeのようであるだろうか?」を読む

          Ron Wakkaryの「Things we could design」の翻訳に携わるなかで、森が関連図書を読み漁るコーナーです。今回はBraidotti, Rosi. 2016. “The Critical Posthumanities; Or, Is Medianatures to Naturecultures as Zoe Is to Bios?” Cultural Politics 12 (3)- 380–390.を読みます。 * 批判的ポスト人文学の必要性につい

          ロージ・ブライドッティ「批評的ポスト人文学―あるいは、ネイチャーカルチャーにとってのメディアネイチャーは、BiosにとってのZoeのようであるだろうか?」を読む

          【一問一答】フィンランド・アールト大学大学院に家族でデザイン留学。ご質問にお答えします

          2023年5月末にフィンランド・アールト大学を卒業しました。皆様、2年間お世話になりました。本当にありがとうございました。 徐々に僕の経験も古くなっていきますし、僕の仕事も始まるので、なかなかzoomでお話が聞きたい!といった相談にも乗れなくなってくるかなと思っています。そこで今回、僕がお話しできることについて可能な限りここに書き残しておきたいと思います。 以下、Twitterで頂いた質問に回答します。以下3万字を超える記事になってしまったので、目次をインデックスとして有

          【一問一答】フィンランド・アールト大学大学院に家族でデザイン留学。ご質問にお答えします

          フィンランドのサービスデザイン、簡易レポート

          昨晩はヘルシンキで開催されたService Design Dayへ。Service Design Network創始者のBirgit Magerが来てくれました。 で、フィンランドで実施されたサービスデザインレポートの内容がエグかったので少しばかりシェアさせてください。レポートはサービスデザイナー240人が回答。英語で実施されたものとのこと。(ちなみにUS全土でも回答が300くらいだったそうで、このことからもフィンランドのサービスデザイン加熱ぶりがよくわかります) ◯ サ

          フィンランドのサービスデザイン、簡易レポート

          「わからなさのデザイン」イントロダクションを公開します。

          先般2023年5月28日、アールト大学デザイン修士課程の修士論文「Design within Uncertainty: Gathering, generative process, unexpected event」を提出しました。ともにわけがわからなくなってゆくための、「わからなさのデザイン Design within Uncertainty」について探索した論文です。そのイントロダクション(日本語版)を公開します。よければご覧いただけたら幸いです。全文(英語)はまた1ヶ月

          「わからなさのデザイン」イントロダクションを公開します。