'24/5/14 SOLITトークセッションに登壇しました。
オールインクルーシブなファッションを目指すSOLITの展示会へ。服の素材やモデルの人選、イベントのプログラムにいたるまで丁寧に散りばめれた目線、学ぶべきものがたくさんあります。ヒカリエ8Fにて、5/16まで。
今回、 田中 美咲に誘っていただき、「ともにデザインすること」について考えるトークセッションに登壇させてもらいました。そのなかで美咲ちゃんも、「ともにやっていく」ことの理想と、自分たちの有限性のあいだで、答えのない葛藤を続けているんだと知る。
ていうか美咲ちゃんが今回やってること結構エグくて。SOLITは成果物としてのファッションそのものがインクルーシブであることはもちろんなのだけど、美咲ちゃんは今回、成果物だけじゃなくて「プロジェクトをする」こともインクルーシブであることに挑戦している。これはどういうことかというと、一緒にプロジェクトをつくっていくメンバーが、難民であったり、聴覚障害を持っていたり、精神障害を抱えていたり、高校生だったり、イギリスに住んでいたり…という、それぞれの困難を抱えている状態でプロジェクトに取り組んでいるということ。時差、言語、文化といった違いを抱えたメンバーたちと、「プロジェクトをやっていく」。この取り組みは、表面からは見えてこないけれど、あまりに大事で、あまりに難しい。でもこれからDE&I文脈でプロジェクト=仕事のメンバー自体がどんどん多様化していくなか、美咲ちゃんの取り組みはひとつの指標になると思う。そして僕も。さばえまつりで僕がやっていることも、一応なにか言えるくらいには、いろんな人とともにいられているのかなあと振り返る。
トークセッションの美咲ちゃんからの問いは重たかった。ひとりひとりに合わせていく個別最適化と、多様性を包摂したかたちで一緒にやっていくこと。そのあいだで、ずっと「ミドルポイントを見つけ続けている」と美咲ちゃんは言った。完全にすべてを包括することは無理なんだ、と僕も納得しつつある。「引き受ける」と言っていた僕の浅はかさと自分自身の有限性に苦しくなることもある。それでももがきながら前に進んでいくしかないんだと。カール・ディサルボは、「常に敏感でいなければならない」のがデザイナーなのだ、と言う。まさにそういうことなのだと思う。僕にとってデザインとは、その場・その人・そのときにあわせて変転していく網の目に絡み合いながらどこまでも続いていく調整作業みたいなものだ。
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