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小説『クリキャベ🥬』感想たち

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創作大賞2023 朝日新聞出版賞受賞作、そして2024年4月5日に発売した書籍『クリームイエローの海と春キャベツのある家』にいただいた感想記事たちをまとめました。たくさんの感想あ…
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#読書感想文

本の一枚 9

本の一枚 9

こちらの本について語っております。少々ネタバレありです。と言っても、私のnoteに来てくださっている方は、もう読了された方が多いかもしれませんね(^^;)

せやまさん。どの記事を載せようか迷いましたが、やはりこちらの嬉しいすごい記事を選ばせていただきました!

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いきなりタイトルの謎が解けた!

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【読書感想文】『クリームイエローの海と春キャベツのある家』を読んで

【読書感想文】『クリームイエローの海と春キャベツのある家』を読んで

せやま南天さんの『クリームイエローの海と春キャベツのある家』を読んだ。
以下、愛称であるクリキャベと呼ばせていただく。

クリキャベを読み終え、これは感想文を書かずにはいられないという気持ちになった。

僕が読書感想文を書くのは、高校生以来である。

読書感想文の課題が苦手だった。
三年間担任が違ったのをいいことに、夏休みの課題を毎年「オシムの言葉/箸:木村元彦」の感想をほぼ同じ内容で書いて乗り切

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せやま南天さん著「クリームイエローの海と春キャベツのある家」(#創作大賞感想)

せやま南天さん著「クリームイエローの海と春キャベツのある家」(#創作大賞感想)

創作大賞2023で朝日新聞出版賞を受賞した、せやま南天さんの「クリームイエローの海と春キャベツのある家」。

少しずつ読もうと思ったんですが、一気に読んでしまいました。

主人公が異世界に行くわけでも、事件が起こるわけでもない、日常そのものが舞台です。しかし、「日常」というものがいかに忙しく、ドラマと事件の連続であるか…。

洗濯物の海で溺れそうになりながら、隙間を見つけて息をして、額に汗して奮闘

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闇を知るからこそ光を知る【クリキャベ読書感想文】

闇を知るからこそ光を知る【クリキャベ読書感想文】

先日、せやま南天さんの『クリームイエローの海と春キャベツのある家』(通称『クリキャベ』)を読了した。

読むのが遅い方(当社比)なので、ゆっくり時間をかけて読み進めようと思っていた。
しかし、新型コロナウイルスに感染したことで自由時間がめちゃくちゃ増え、結果的に一週間足らずで読み切ってしまった。

とても素晴らしい作品だったので、感想を述べたいと思う。

※ちょっとネタバレあるので、未読の方はひと

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【読書感想文】生活はつづく、クリームイエローの海と春キャベツのある家

【読書感想文】生活はつづく、クリームイエローの海と春キャベツのある家

こんにちは。イケダです。noteでは初めて読書感想文を書いています。よければお付き合いください。

noterさんなら一度は目にしたことがあるであろう、この本。いや、御本。言わずと知れた、昨年度の創作大賞受賞作品。

note投稿歴2年目ぺーぺーのわたしは、この作品がきっかけで創作大賞というものを知ったのだけれど、絶対に読もうと購入したものの、実はしばらく積読になっていた。

というのも、web版

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「生活」への温かなまなざし〜クリームイエローの海と春キャベツのある家

「生活」への温かなまなざし〜クリームイエローの海と春キャベツのある家

あるとき、「暮らし」と「生活」の似て非なる響きについて考えたことがある。

暮らしは、憧れや理想のライフスタイルのニュアンスを多分に含んでいる。
雑誌や書籍、YouTubeで描かれているような、すっきりと整い余裕が感じられるさま。

一方、生活はもっと地に足のついた、それどころか時折田んぼに片足を突っ込んだような、何とももどかしく精一杯に気を張りつめている感じがする。

どちからというと、私は現実

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『クリームイエローの海と春キャベツのある家』を読んで

『クリームイエローの海と春キャベツのある家』を読んで

自分で自分のことをうまく認めてあげられないと、なんでこうも苦しいのだろう。誰かに認めてほしい、自分の弱さも含めて受け止めてほしいと思うのに、それを曝け出すことはできなくて、また自分を責めてしまう。完璧に見える誰かのようにできないとダメに思えて、きっとその相手も完璧じゃないのに、比べてしまう。それは家事だけではなく、人生のいろいろな場所で「コンプレックス」として私たちが向き合い続けてきたものなのでは

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ありのままでいることは難しい。だけど…(せやま南天さん『クリームイエローの海と春キャベツのある家』に触れて)

ありのままでいることは難しい。だけど…(せやま南天さん『クリームイエローの海と春キャベツのある家』に触れて)

「ありのまま」と聞くと、どんな状態を想像するだろう。
あるがまま、自分らしく、自由に、のびのびと……。
人によって異なるとは思うが、そんな感じのイメージだろうか。

私は最近、「ありのまま」というものにとても悩んでいる。
資格試験のために傾聴の練習(1対1での面談ロールプレイング)に参加しているのだが、
いつもフィードバックタイムに指摘されるのはこんなことだ。

「自己一致して話を聴いていない」

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洗濯物の波と、看護師の瞳と【「クリームイエローの海と春キャベツのある家」&「ナースの卯月に視えるもの」雑感を綴ります】

洗濯物の波と、看護師の瞳と【「クリームイエローの海と春キャベツのある家」&「ナースの卯月に視えるもの」雑感を綴ります】

ヘッダーがつぎはぎのようで💦お目汚しをまずはご容赦くださいませ。
せやま南天さん著『クリームイエローの海と春キャペツのある家』、秋谷りんこさん著『ナースの卯月に視えるもの』、御作二冊の拙い雑感を綴りたく思います。

以下、出版日逆順で、まずは秋谷りんこさん『ナースの卯月に視えるもの』。

裏表紙解説にも記されているように、主人公の卯月は、とある特別な眼を持っています。それゆえに引き起こされていく

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『クリームイエローの海と春キャベツのある家』せやま 南天

『クリームイエローの海と春キャベツのある家』せやま 南天

創作大賞2023(note主催)朝日新聞出版賞受賞作で本作がデビュー作。

主人公は五年間勤めた大手商社を辞め、家事代行派遣会社に登録したばかりの永井津麦。

新しく担当する事になった織野家に出向き目にしたのは、床一面を覆いつくす洋服の山。
その光景は全体に薄っすら黄身がかったクリームイエローの海のよう。

5人の子どもを育てるシングルファーザーと津麦。
不協和音を奏でていた二人だったが、家事に対

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最近読んだ本たち(2024年4月分)

最近読んだ本たち(2024年4月分)

4月は出会いの月とよく言われるけれど、ほんとうにそうで。いろいろな方面で新しいつながりができてよかったなー、としみじみしている。

月の前半は娘たちが春休み、または午前中授業ということで、限られた時間内で仕事に追われた。それでも、ちょっとは本を読む時間を確保できた。よし!

残るは「エクササイズをしたあと眠くなってしまう問題」だ。「筋トレしてから本読もうっと」などと思っていると、睡魔に襲われて読め

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せやま南天『クリームイエローの海と春キャベツのある家』《砂に埋めた書架から》70冊目

せやま南天『クリームイエローの海と春キャベツのある家』《砂に埋めた書架から》70冊目

 昨年行われた、note主催による「創作大賞2023」において、お仕事小説部門の朝日新聞出版賞を受賞したのが、せやま南天『クリームイエローの海と春キャベツのある家』だった。「創作大賞2023」は小説のみならず、エッセイ、漫画原作、イラスト、映像作品など多岐のジャンルにわたって広く作品を募る大規模なもので、およそ三ヶ月の募集期間で集まった作品の総数は、最終的に33,981という数だったようだ。この中

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自分勝手な思い込みを、柔らかな風で吹き飛ばしてくれるかのように

自分勝手な思い込みを、柔らかな風で吹き飛ばしてくれるかのように

noteで相互フォローさせてもらっているせやま南天さんが、昨年創作大賞を受賞された。

そして今月、南天さんの小説『クリームイエローの海と春キャベツのある家』が出版された。

昨日、なんとなく訪れた梅田の紀伊國屋書店で「南天さんの本、どんな感じで並べられているのかな~」と気になって、店内を探し回った。

自力で見つけ出したかったけれど、広い店内には膨大な本があり、なかなか探しきれない。観念して検索

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読書感想文 クリームイエローの海と春キャベツのある家

読書感想文 クリームイエローの海と春キャベツのある家

読み終わってからどうも胸の辺りがふつふつとするようで、いくつもの観点から感想を書きたくなるものがたりを読んだ。

クリームイエローの海と春キャベツのある家

創作大賞2023にて朝日新聞出版賞受賞っ!
そして重版決定!!
おめでとうございます!!!
いち読者ながらうれしい!!!!

わたしはこの作品を
喪失から回復へのものがたり
と捉えた。

 喪失からの回復とは、必ずしも喪失する前のそうであった

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