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せやま南天さん著「クリームイエローの海と春キャベツのある家」(#創作大賞感想)

創作大賞2023で朝日新聞出版賞を受賞した、せやま南天さんの「クリームイエローの海と春キャベツのある家」。

少しずつ読もうと思ったんですが、一気に読んでしまいました。


 家事代行歴3ヶ月の永井津麦。新しい勤務先は、6人家族の父子家庭だ。ごく普通のマンションの一室に住む織野家。けれど、一歩家の中に入るとそこには、息苦しいほど沢山の“洗濯ものの海”が広がっていた!

クリームイエローの海と春キャベツのある家」あらすじより抜粋

主人公が異世界に行くわけでも、事件が起こるわけでもない、日常そのものが舞台です。しかし、「日常」というものがいかに忙しく、ドラマと事件の連続であるか…。

洗濯物クリームイエローの海で溺れそうになりながら、隙間を見つけて息をして、額に汗して奮闘する永井ながい津麦つむぎの姿は、読む人の姿そのものではないだろうか。

みんなが、永井津麦ではないだろうか。

人ってホント、いろいろ忙しい。
男女関係なく、仕事してるしてないに関係なく。

そして、とにかくみんな頑張り過ぎて、疲弊して…、辛くなって。

「私って情けない…」
「みんな頑張ってるんだから…」

情けなくない奴なんていないんです。
みんながどうとかは関係ないんです。

もう十分頑張ってるんです。

その頑張りを見ている人は必ずいて、必ず伝わります。

肯定してあげましょうよ、自分を。

秋谷りんこさんが

「この小説は、みんなへの声援」

という旨の書評を書いておられますが、まったくその通りだと思います。


私は5月から転職して、何もかもがガラッと変わりました。
上司は年下です。
毎日叱られています。
正直、しんどいです。
創作大賞2024に応募するための小説執筆も完全にストップしてしまいました。

でも、

俺、頑張ってる。

それでいいじゃない?

そう思えました。

秋谷りんこさんの「ナースの卯月に視えるもの」と同じく、映像化してほしいですね。

改めまして、せやま南天さん。
「クリームイエローの海と春キャベツのある家」の出版、おめでとうございます。

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