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本の一枚 9
こちらの本について語っております。少々ネタバレありです。と言っても、私のnoteに来てくださっている方は、もう読了された方が多いかもしれませんね(^^;)
せやまさん。どの記事を載せようか迷いましたが、やはりこちらの嬉しいすごい記事を選ばせていただきました!
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いきなりタイトルの謎が解けた!
今日は絶対読むぞ!と起きた時に決めて、朝から薄手のガーゼケットをばっさばっさと干したのに、ひととおり家の事が終わり、読書体勢に入ろうとしたら、視界には黒い怪しい雲が・・・。ああ、出鼻をくじかれたと思いながら、ガーゼケットを階段の手すりに干しなおして、自家製の梅スカッシュを用意して、ページを開いた。
『クリームイエローの海と春キャベツのある家』というタイトルを初めて見た時から、「クリームイエローの海」と「春キャベツ」はいったい何を指すのだろうと考えていた。
「クリームイエローの海」は、そのまんまではないなと思っていた。でも、タイトルにあるぐらいだから、物語の中で主人公が見た、あるいは想像した景色なのかもしれないなと思っていた。それは少し当たっていた。
じゃあ「春キャベツ」は?春キャベツ、春キャベツ・・・あのふんわりとして、春にキャベツ畑を観察していると、アオムシがおいしそうにむしゃむしゃ食べているあのキャベツやね?母が「キャベツはこれじゃないと!」とこだわって毎年買う春キャベツ。うーん・・・でもクリームと一緒に並んでるということは・・・自分の頭の中でクリームスープの中に浮かんだロールキャベツが浮かんできた。そして、それが頭の中にとどまってしまった。え?お料理小説?いや、そうじゃないってどこかで見たな・・・。
しかし、その謎は序盤で解くことができた。「クリームイエローの海」も「春キャベツ」も、家事代行スタッフの津麦が新しく担当することになった織野家を表わすモノだったのだ。床を埋め尽くす洗濯物は海、それと正反対の意味を成す春キャベツ、なるほど!一軒の家の様子をこの2つで言い表したことにのっけから感動である。
津麦と織野家の関係
家事代行歴3ヶ月の津麦が、シングルファーザーと5人の子供たちの中にどう関わって成長していくのかが、この小説の読みどころだ思う。でも、それは小説の表面の顔であり、芯となる部分には、人と関わって生きていく上でよくぶつかる問題や悩みが常に存在している。
津麦にも、織野家の6人にも、そして相談員の安富さんにも、生きてきたそれまでの歴史があり、そこで積み重ねられた体験を自分が正しいと思っている常識としてぶつけあっていく。読んでいてもどかしい。さらに津麦の社会経験の浅さも、読んでいてもどかしい。いや、自分もそうだったくせに。
あんたの『これまで』は、知らんの。
シングルファーザーである織野朔也が津麦に言い放ったセリフだ。そりゃそうだ。朔也が家事代行の津麦に求めていることは、違っていた。でも津麦は、家事代行で料理と言えば、今までこれだったと言った。津麦もこのセリフを言われてハッと気づいただろうが、私も仕事をしていて、上司や取引先の人からよく言われるセリフだったから、自分もそれを思い出してハッとした。
常識、普通、当たり前などという思い込みが誰しもある。ひとりならば、何も問題は発生しない。だが、上司部下だろうが、夫婦だろうが、親子だろうが、兄弟姉妹だろうが、老若男女が複数で行動するとなると、その思い込みのぶつかり合いが発生する。ぶつかって、それを解決するために、津麦たちのように対話が生まれるといいのだが、そうじゃないこともたくさんある。生きてりゃいろいろあるよな、と思いながら、最後まで一気に読んだ。
撮った!
今やネットで本を入手できる時代だが、どうしても本屋で入手したかった。
自分は今回、熊本市内の大型書店で入手したが、重版された今、小さな本屋でも見かけるようになった。見るたびに、ニコニコニコニコだ。
読み終えた今、大きな深呼吸ができたような気がしている。津麦の知らないことを知ろうとする一生懸命な姿、朔也が海へ行って「休む」決断をした姿、他の登場人物もそれぞれに問題解決に向かっている姿を、深呼吸しつつも明日から生活するうえでの前向きな気持ちを分けてもらった、そんな気がした。
そして読了後、noteを書こうとパソコンの起動時間の合間に、台所の流し台の下の扉を開いた。織野家の台所のシーンを読んで、キッチンハイターでシンクの排水溝の掃除をしようと思い立ったのだが、キッチンハイターが見当たらない。
また、わが家の冷蔵庫には何があるのか覗いてみたら、色鮮やかなパプリカとズッキーニが目に飛び込んできた。おっ!ラタトュイユでも作ろうかな?と思ったが、トマトが見当たらない。
うーん・・・これは「キッチンハイターとトマトがない家」やんね。なんて言ってる場合かいな。
せやまさん!前向き対話パワーをいただきました!
記事を書くための栄養源にします(^^;)