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他の方の作品。こころにくるもの、また読みたい作品

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#エッセイ

世界地図が教えてくれたのは、旅をするのを決めるのは結局自分なんだということ

世界地図が教えてくれたのは、旅をするのを決めるのは結局自分なんだということ

ちりゆくものは何も言わない。

ただ音もなく、主張もせず、ただただ静かに消えていくだけだ。

残されたものは悲嘆にくれる。

涙は乾くことなく、幾度となく頬を伝わる。

私の担当していた利用者さんが急に亡くなることは決してめずらしいことでもない。

私は訪問リハビリテーションを生業として、日々、さまざまなお宅へおじゃましている。

その方は高齢の女性で、夫と2人で景色のよい崖の上に住んでいた。崖か

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「いってらっしゃい」に添えるもの

「いってらっしゃい」に添えるもの

「いってらっしゃい。気をつけてね」

母は私が出かける時は必ずそう言って、私を見送ってくれた。私は角を曲がる時、絶対に振り返ると決めていた。

だって母は、私が見えなくなるまで、手を振ってくれていたから。

🚶

「なんで、昨日のうちに準備しとかんと?」
「うるさい」
「ギリギリになったらお母さん遅刻するやん。早くして〜」
「ちょっと待って! すぐ終わる〜」
「頼みますよ。早くしてくださ〜い」

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大丈夫。子供はちゃんと成長するみたいだよ

大丈夫。子供はちゃんと成長するみたいだよ

 10年以上前にも泊まったそのホテルが安いのは、最寄りの駅から10分くらい歩くからみたいだ。
 歩き始めてからその光景を思い出した。

 まだ幼かった息子が、みるみる無口になり、眉間にシワが寄り始め、機嫌が悪くなっていく。もう何年か幼かったらグズグズ泣き出すところだ。かんしゃくだってまだおさまりきっていないころ。ハラハラしながら見守る。

 そうだったなあ。息子は歩くのが嫌いだった。
 幼稚園いっ

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不機嫌は、罪。

不機嫌は、罪。

突然ですが。
我が家の朝ごはん、パンの日が多いです。

食パン、気分によっていろいろなのですが、今朝は山形食パンでした。
トーストして、ベーコンエッグをのせる。

4人でそれにかぶりついていたのですが、今朝はじめて気付いたことがありました。
私以外の3人は、山になっている方を持って、角い方から食べている。

私は、山から食べる。
だって、こっちが上じゃん。
角い方のが持ちやすくない?

すると各々

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子育ての成功とか失敗とかかんたんにいわないでほしいから

子育ての成功とか失敗とかかんたんにいわないでほしいから

「とてもいい学校に受かったと聞きました。
いい子育てをされたからの結果だと思います」

そんなSNSのコメントを見て、強烈な違和感を持った。

違和感は二重にあった。

ひとつは、「いい子育てをされたから」「いい学校に入った」。
それは「いい学校に入ったから、いい子育てをした」ということ?
いい子育てはいい学校に入ったら、できたことになるのか・・・という違和感。

もうひとつは、その書き込みをした

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人生を変えた「鉄の棒」

人生を変えた「鉄の棒」

「今までの人生の中で一番のターニングポイントとなった出来事はなんですか?」

ともしも誰かに聞かれたら、私は迷わず、

「鉄棒です」

と答える。

=====
小学1年生のある日、体育の授業で鉄棒をすることとなった。横一列に並ぶ鉄棒を前に生徒が並ぶ。順番に、「つばめ」という技から練習に入る。鉄棒を両手で持って、自分の体を持ち上げ、上体をやや前傾に保ち、まるで燕が飛んでいるかのような格好をすること

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まるちゃんとアン-#思い出のマンガの一言

まるちゃんとアン-#思い出のマンガの一言

朝一の白湯が日課の私。

寝ている家族を起こさないよう
そーっとお湯を沸かし。

間仕切りを外してワンルームにしてしまった
厳しい我が家の住宅事情ゆえ
暗闇の中、心カウントで熱湯を注ぎ
さ、運ぼ、と思ったら

・・・あ”っつ!!!!!!!!!😳

知らぬ間にぎりぎりまで攻めていた熱湯。
ボーダーライン超えて、指を奇襲。
必死の形相で、絶叫をかみ殺しました。

そんな朝の食卓。

私「もーほんまに

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別れるとき、さくらは流れた

別れるとき、さくらは流れた

冬は、リビングに駆け込むと、いつも石油ストーブのムッとするような独特の香りが漂っていていて、わたしはこれが特別に好きだった。
実家で過ごしていた頃の話だ。

母は働きに出てはおらず、1日のほとんどをこのリビングで過ごしていた。
娘のわたしが帰ると、必ず玄関まで迎えに来てくれる。
「寒い!寒い!!」
と慌てて靴を脱ぐわたしに、
「おかえり。お部屋あったかいよ」
といつもリビングの扉を開けて招き入れて

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