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エッセイはとつぜんに

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つれづれなるままに、ひぐらし、ではないが、ときたまPCにむかひて。役には立ちませんが、何の変哲もない日常を楽しめるようにはなるかもね。
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#家族

水餃子は飲みものか

水餃子は飲みものか

先週末は、家で水餃子だった。

前もって考えていたわけではない。その日は夫が料理を担当する日であり、リクエストも聞いてくれるというので、何が食べたいかなあと考えていて、ああ餃子食べたいなあと思ったのだ。

そもそも普段は自分が料理を担当しているというのに、なぜなかなか餃子を作らないかといえば、平日の忙しい夕方に悠長に餃子を包んでいる心身の余裕がわたしには欠如しているからである。

保育園のお迎えか

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じいじは意外とロマンチスト

じいじは意外とロマンチスト

突然父がいなくなったと思ったら、庭の物置きの奥をガサゴソやって、小さなクリスマスツリーをひっぱりだしてきたらしい。

ちょっとお父さんそんな、ほこりかぶってそうなもの。いま孫ちゃんはお咳こんこんしているのに、ととがめる母。

孫の笑顔が見たい一心の父と、孫の健康を案じるあまり怒る母。

どちらも孫が大好きすぎるがゆえに生まれる、日々の小さな言い争いは、愛しくさえある。

* * *

娘の体調が悪

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センチメンタル母ちゃん

センチメンタル母ちゃん

最近、かつてなら気にも止めなかったようなことですぐに「うるっ」ときてしまって、そうかこれが年を重ねてゆくということなんだな、と思う。

週末、近所の公園で小さなイベントがひらかれ、地元中学校の吹奏楽部が30分ほど演奏をするという機会があった。

ちょうど夫が出張中の週末で、娘を連れて自転車でパッと行ける距離におもしろいものないかなあと思っていたので、事前にビラを見かけて、あらこりゃいいわと母はひそ

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まるごとの白菜

まるごとの白菜

スーパーでまるごとの白菜を躊躇なく手にとれるようになったのは、家族ができてからだ。

いや、ちょっと強がった。正確に言うと今でも少し、躊躇はある。

我が家は3人家族で、ひとりはまだ1歳だし、そもそも持って帰るのが重いし、冷蔵庫を圧迫するし、新鮮なうちに美味しく飽きずに使い切れるか試されるし。悩んだ末、手軽に使い切れる1/4サイズを選ぶことも多い。

それでもその日、まるごとの白菜が安かったり、白

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次の元号を生きるあなたへ

次の元号を生きるあなたへ

お母さんは、わりとぎりぎり昭和生まれです。

大学4年生になったとき、その年の入学生には平成生まれのひともいて、なんともいえない衝撃を受けたことを覚えています。同世代のはずなのに、何かがそこでぱっきりと分かれてしまったかのような感覚をもちました。

西暦で見れば地続きで、何かが変わっているわけでもないのに、変ですよね。ただ、血液型占いなどカテゴライズが好きな日本人にとって、元号はそんなふうに、アイ

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「どうだった?」の回答にあらわれる男女差(なのか教えて)

「どうだった?」の回答にあらわれる男女差(なのか教えて)

たとえば初めての美容院へ行き、家族から「お店、どうだったー?」と聞かれたら、あなたはなんと答えるだろうか。

これについて、我が家では夫婦で確実に回答がわかれる。なので今日はそのようすをここに書いてみる。

もしできたら、これが男女差なのか、男女関係なく単に個人の性格の差なのか検証してみたい(興味本位だ)。

だからもし、あなたの貴重な1分を提供いただけるのなら、以下のnoteを読んで、「わたしの

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そうだ、焼肉食べよう

そうだ、焼肉食べよう

なんだか疲れてしまったので、今日はゆるっとしたことが書きたい気分だ。

くわしくはまた今度書けたらと思うが、昨日は娘のこども病院通院日でいろいろとあり、すこし行き場のない気持ちを抱えていた。

頭のなかでは冷静に理解して、あとは落ち着いて行動していくのみ、と思う自分もいるのだが、実際はいますぐには気持ちが追いついていかなくてぐるぐるする、そんな感じ。

その日は朝起きて娘の弁当を用意し、1時間の道

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母であり妻であり私である自分のこと

母であり妻であり私である自分のこと

昨夜、2年以上ぶりに、ひとりで缶ビールを開けた。

「プシュッッッ!」

その音と感触が、予想していたよりもさらになつかしくて、ああほんとうに、長らくここから遠ざかっていたんだな、と気づく。

妊娠、授乳期間はアルコールを断っていたから、お酒を飲むようになったこと自体、ここ2、3ヵ月の話だ。ひとりでプシュッ、なんていつぶりか。

あえてグラスには注がず、冷たい缶に直接口をつけた。

ごく、ごく、ご

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「身近なおとな」が多様になったら

「身近なおとな」が多様になったら

ちょっとした夢がある。

夢というか、時折ふと妄想してしまう、憧れのイメージみたいなものだ。

簡単にいうとそれは「気ままスタイルの週末カフェ」である。

家族と一軒家に暮らして、自宅の一角をカフェスペースとして区切って独立させ、週末だけ、そのスペースをカフェとして開放する。

カフェといってもお客さんは来たり来なかったりだろうから、売上がなくても成り立つくらいのゆるすぎるカフェだ。飲み食いをする

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30年前、自分と同世代だった親が買ったもの

30年前、自分と同世代だった親が買ったもの

飽きるほど慣れ親しんだ土地のはずなのに、時間が経ってから再訪すると、まったく違ったふうにその土地が見えてくる、ということはないだろうか。

連休のいま、ふるさとへ帰省している方も多いだろう。

その土地は、こどものころ見ていたのと同じ印象で見えているだろうか。

それとも、年齢やライフステージが変わるとともに、その土地の見え方も変わってきただろうか。

わたしは、完全に後者だ。

* * *

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あたりまえなんて、変わりつづけるものでして

あたりまえなんて、変わりつづけるものでして

夜中にふと起きて隣を見ると、枕の位置に娘の足がにょきにょき、と2本並んでいた。

つまりは暴れまわったすえに時計のようにくるりと一回転して、布団のなかに頭をつっこみ、すぴーすぴーと寝ていたのである。

あら、今日はまたずいぶんきれいに回ったなぁ……。ねむいし、いいかな、そのままでも……。と半目でぼんやり思う。

夏場なら布団も軽いしそのまま寝かせておきたいところだが、一応まだ冬でいろいろ心配なので

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よく休むことは、よく働くこと

よく休むことは、よく働くこと

夫が先週、“昼休憩”なるシステムを導入していた。

事の発端はある日のこと。

お昼過ぎ、私がいつものように娘とふたりきり、自宅で過ごしていると、ドアの方からガチャガチャ、と開ける音。

むむ?と思っているうちに、夫の声がした。

夫:「ただいまー」

私:「あれ? おかえりー」

夫の職場は家から歩いて5分とかからない。これまでも仕事中、ちょっとした用事で突然家に戻ってくることは時折あった。

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