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「損切丸」-「日銀」編

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「損切丸」が20年以上 ”お付き合い” させて頂いた「日銀」に関するより突っ込んだ記事をご紹介。
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2023年2月の記事一覧

「ドル高問題」再び。ー 「ドル建債務」が重くのし掛かる。

「ドル高問題」再び。ー 「ドル建債務」が重くのし掛かる。

 FRBが重視している個人消費支出価格指数(PCE)だが、もろに 米CPIの ”反転リスク” Ⅲ。ー 金融政策効果の ”タイムラグ” をどう読むか。|損切丸|note が裏目に出てしまった。いかに物価指標が遅効性でタイムラグがあるとはいえ、少なくとも「利下げ」を論じられる状況ではない。

 これを受けて米国債は売り込まれ、年内「利下げ」はほぼ消滅。政策金利 > 2年米国債の「逆イールド」も3ヶ月振

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揺れるドル金利市場。ー より詳細な「利上げ」予報から。

揺れるドル金利市場。ー より詳細な「利上げ」予報から。

 アメリカも日本も「ゼロ金利」時代にはまさに ”死んだ市場” だった短期金利。だが中央銀行が動き出すと途端にマーケットの主役に躍り出る。

 本来短期金利が専門家の「損切丸」だが、1年以内の金利は正直余り見てこなかった。だがFRBが激しく動くようになると3ヶ月や6ヶ月の金利動向が重要になる。ここは本気になって(苦笑)「利上げ」予報を出してみよう。

 これがまた変な「予報」↓ が出ている:

 も

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 "正気" に戻りつつあるマーケット。ー もう銀行の思い通りにはならない。

"正気" に戻りつつあるマーケット。ー もう銀行の思い通りにはならない。

 米国債の売りが加速している。流れが反転すると一気に傾くのが金利市場の特性ではあるが、ここはFRBの言うことに従った恰好。ようやくマーケットが "正気" に戻りつつある。同時に牛耳っていたはずの米国債市場で ”反乱” (自滅?)が起き、「銀行」主導型経済の "終わり" - "周回遅れ" の日本はぐるっと回って先頭に?|損切丸|note も感じさせる。

 1ヶ月前のイールドカーブが ↓ だから随分

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"想定外” じゃない。ー 「逆イールド」から「大幅利上げ」への逆噴射?

"想定外” じゃない。ー 「逆イールド」から「大幅利上げ」への逆噴射?

 マーケットの雰囲気が大分変わってきた。従前から 米CPIの ”反転リスク” Ⅲ。ー 金融政策効果の ”タイムラグ” をどう読むか。|損切丸|note シリーズなどで "預言" (苦笑)してきたのは、物価@5%が1つの "壁" になるのではないか、と感じていたから。

 大きな理由の1つは「米中対立」でグローバリゼーションが瓦解し、潜在成長率(≓物価上昇率)が+1.5~2%程上がった事がある。日銀

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「お金」も「信用」も失う時は一瞬。ー 「危機」は突然やってくる。

「お金」も「信用」も失う時は一瞬。ー 「危機」は突然やってくる。

 「あ~、俺何やってんだろうなぁ…」

 これはFXや株をやってる人は実感できると思うが、儲かっている時はトレーディングほど良い仕事はない。結果さえ出せば時間的拘束もないし「自由」を満喫できる。筆者も若気の至りなのだが、とかく20代は ”全能感” があり、相場の読みがピタリと当ると自力で何でもできる気になってしまう。

 だが世の中そんなに甘くない。「危機」は突然やってくる。

 ポンド危機で筆者

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米CPIの ”反転リスク” Ⅲ。ー 金融政策効果の ”タイムラグ” をどう読むか。

米CPIの ”反転リスク” Ⅲ。ー 金融政策効果の ”タイムラグ” をどう読むか。

 注目された1月米CPIは何というか絶妙な数字。 ”反転” まではなかったが、とにかくFRBがドンドン「利下げ」に走る状況ではない。

 6ヶ月、1年の米国債金利は遂に@5%を突破し、ターミナルレートは@5.25%に到達。年内はほぼ@5%近辺での推移となりそうだ。10年超の金利が「逆イールド」で頑張っているがどこまで保つやら。

 もっともCPIは遅行指標であり、半年前の「利上げ」の結果が今数字に

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「通貨」って何だろう。

「通貨」って何だろう。

 (参照) 「お金のマニュアル」 -損をしないコツ- 其ノ5 「お金」って何?|損切丸|note

 ↑ 標題の「お金」、何かお判りになるだろうか?

 元・銀行員で専門家のはずの「損切丸」でも "0" の数が多過ぎてすぐに金額を答えられなかった。答えは「100兆ジンバブエドル」。この天文学的金額の紙幣も当時の価値はたったの@0.3円(300兆ジンバブエドル ≓ 1円)。2015年には廃止になって

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米CPIと新興国の「通貨切下げ」。ー 「利下げ」幻想の消滅がもたらすもの。

米CPIと新興国の「通貨切下げ」。ー 「利下げ」幻想の消滅がもたらすもの。

 FRBの「利上げ」局面では恒例だが、「ドル高」で自国通貨が「切り下げ」になってデフォルト危機に瀕する新興国が急増する。既に ↑ 3カ国が「通貨切下げ」を実施したが、まだまだ続きそうな不穏な気配。ドルで多額の「借金」をしている国がほとんどで「ドル高」は負担を重くする。

 年初まではFRBによる「早期利下げ」期待で「逆イールド」が形成され、ほっと一息ついていたのも束の間。ドル金利の反騰でまたも「通

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"財源" は「国債」? ー ”借金” の基本。

"財源" は「国債」? ー ”借金” の基本。

 「車を買いたいのでローンを組みたい。お金は ”借金” して返します」

 皆さんが車のディーラーで顧客がこう言ってきたらローンを組んで車を売るだろうか。「損切丸」ならこんな人には絶対に売らない。「お金」が返ってくるか不安だからだ。

 「防衛費増額の "財源" は国債で」

 ??? 本気でこんな事を議論しているのだろうか。「借金」をしたことがないか、あるいは悪質なレトリック(詭弁)だ。とにかく

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「大緩和」のあとしまつⅡ。

「大緩和」のあとしまつⅡ。

 「植田さんかぁ...」

 随分懐かしい名前が出てきた。1998年~2005年日本銀行の政策審議委員を努められたが、丁度*速水総裁(1998~2003)下の日銀で活躍された方。

 「大緩和」のあとしまつ。|損切丸|note に担ぎ出した新総裁候補が71歳...。東大を出てMITの大学院まで行った超エリートではあるが、 "非常にソフトな人" という印象しかない。まあ政治家にとっては御しやすいとい

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続・米CPIの ”反転リスク” 。ー この辺が頃合い? 大事なのは「先を読む事」。

続・米CPIの ”反転リスク” 。ー この辺が頃合い? 大事なのは「先を読む事」。

 何かネタを知っていて 米CPIの ”反転リスク” 。ー 令和版 ”ゴルディロックス” 経済の落とし穴。|損切丸|note を書いたわけではないが、こうなると少し "預言" めいてくる(?)。アメリカの中古車価格がこの4週間で突如高騰しているという( ↑ 標題「マンハイム指数」ご参照)。

 自動車オークションを手がけるマンハイムのデータによれば、昨年1年間で▼15%下げていた米中古車平均価格は1

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「インフレ」に追い付き始めた「賃金」。

「インフレ」に追い付き始めた「賃金」。

 またまた 日本の「インフレ」の正体。|損切丸|note の "証拠" が出てきた。今度はモロに「賃金」。しかも*「実質賃金」がプラスに転じた( ↑ 標題グラフ)というおまけ付き。

  いずれにしろ「インフレ」に追い付き始めた「賃金」の事実は重い。

 タイミング良くこんな記事 ↓ が出て話題になっている。いわゆる「人手不足倒産」。本格的現象としてはバブル期以来ではないだろうか。

 「賃上げ倒

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始まるか? 相場の「逆回転」。ー ”2022年相場の逆” のそのまた逆?

始まるか? 相場の「逆回転」。ー ”2022年相場の逆” のそのまた逆?

 前稿.「利下げ」期待を完全には排除しなかったパウエル議長。続編。ー "金利は株やFXとは違う"。|損切丸|note で2023年相場は ”2022年相場の逆” で始まった ”いじわる相場” と指摘したが、雰囲気が変ってきた。

 (参考)「2022年に儲かった相場」 ↓

 年初の飛び出しとして、いつも3ヶ月ぐらいはウォール街が引っ張るのだが1ヶ月でもう息切れ。FRBに次いでECB、日銀と「お金

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「利下げ」期待を完全には排除しなかったパウエル議長。続編。ー "金利は株やFXとは違う"。

「利下げ」期待を完全には排除しなかったパウエル議長。続編。ー "金利は株やFXとは違う"。

 「利下げ」期待を完全には排除しなかったパウエル議長。|損切丸|note の続編。

 想定を大きく超えた米雇用統計 ↑ で、ウォール街が煽った② ”クラック” シナリオ ↓ は①「利下げ」できない方向に大きく修正を迫られた。

 発表前の「利下げ」予報:

  発表後の「利下げ」予報は大きく後退:

 どの国でも国債市場を牛耳る銀行は「お金」を扱う性質上、どうしても「製造業」に目が向く。自らも「

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