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「損切丸」-「日銀」編

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「損切丸」が20年以上 ”お付き合い” させて頂いた「日銀」に関するより突っ込んだ記事をご紹介。
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2022年11月の記事一覧

「米国債」と「米株価」、どっちが正しいの?

「米国債」と「米株価」、どっちが正しいの?

 ”景気後退時の株高”

 こういう相場格言があるが、今の米国市場はまさにこれ。解釈としては:

 米国債は景気後退= "リセッション" に突っ込んできており、10年米国債金利は遂に@3.7%割れ。2023年初にもFRBの政策金利が@5%に達しようとしているのにも関わらず、である。

 そしてこれも ”定石通り” 米株価は急反発。金利の低下に後押しされるように一時@29,000ドル近辺まで落ちてい

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遂に始まった ”切り捨て” の時代と ”返ってきた円安” 。

遂に始まった ”切り捨て” の時代と ”返ってきた円安” 。

 筆者の地元・福島県で起きた事故が珍しく全国ニュースになっている。実はこの件で実家の母と一悶着起きた。

 80代の母は視力低下が著しく、筆者も周りの友人も「もう運転は止めた方がいい」とずっと言ってきた。池袋の事故以来真剣に説得してきたが、そこへこの地元の事故。ニュースを見れば見るほど状況が酷似している。

 そして本人の "抵抗" の理由も一緒:「車がないと生活できない」

 突き詰めていくと結

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上がらない「家賃」が救い? - 何でもかんでも "むしり取る" ことに奔走する今の日本は異常。

上がらない「家賃」が救い? - 何でもかんでも "むしり取る" ことに奔走する今の日本は異常。

 10月CPIが年率+3.7%(←9月+3.0%)に上昇。その直後、計ったように「CPI低下」発言。いつものように自信満々だがこの手品には "種" がある。首相自身が「CPIを▼1.2%引下げる!」と言い切っているが、また「GOTO方式」で「電力会社への兆単位の補助金 → 見た目のCPI引下げ」だ。

 首相も総裁もこれで騙せるという認識なのだろうが、我々国民も随分舐められたものだ。何度も言ってい

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「米中対立緩和」? - 重大イベントを乗り超えた ”両親分” 。

「米中対立緩和」? - 重大イベントを乗り超えた ”両親分” 。

 ハンセン指数と人民元急落が告げる事。- マーケットからの ”メッセージ” 。 |損切丸|note なんて書いたので、続報を書く責任として(苦笑)

 一時15,000 bps も下回った香港ハンセン指数だが、直近2週間で18,000 bps 超へ急反発。 ”ゼロコロナ政策見直し” なんていう怪しげな噂が出回っていたが、買い戻しのキッカケに使われただけのようだ。*中国株ショートで仕掛けて一時「大儲

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「円安」で追い詰められて、いよいよモデルチェンジを迫られる「日本型」。

「円安」で追い詰められて、いよいよモデルチェンジを迫られる「日本型」。

 物価も賃金も上がる「アメリカ型」と、どちらも上がらない「日本型」はどちらが幸せなのか。|損切丸|note の姉妹編。

 「あれっ、ここの店も潰れたか…」

 このところ「損切丸」の自宅近辺では、小規模の飲食店や小売店舗の閉鎖が目立つ。まあ、あまり流行っている店ではなかったので、逆にパンデミックの2020~2021年の2年間をよく凌いだものだが、ここに来て力尽きるパターンが増えてきた。利用者とし

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アメリカの「インフレ」と 中国に忍び寄る「デフレ」の影。

アメリカの「インフレ」と 中国に忍び寄る「デフレ」の影。

 注目の米CPIはコアも予想を下回り、米国債は幅広く買われ金利は▼0.3%近く急低下。2023年半ばから「利下げ」突入のシナリオに変った。

 まあ待ちに待った「インフレ」鈍化 →「金利低下」なだけに飛びつきたい気持ちもわからなくは無いが、これまでの鬱憤を晴らすようにNYダウで+1,200ドルははしゃぎ過ぎ。今年のボーナスに間に合うか(苦笑)。

 このところ「ドル売り」に傾きつつあったFXも一気

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忘れた頃にやって来た「ビットコイン」- 全てをひっくり返す「デフォルト」

忘れた頃にやって来た「ビットコイン」- 全てをひっくり返す「デフォルト」

 "FTX追加資金なければ破産法申請と警告、80億ドル(≓1.2兆円)不足"

 理由も無く@20,000ドル近辺をウロウロしていてつまらない相場だと思っていたビットコイン(BTC)が突然急落。暗号資産業者FTXが経営危機にあると報じられたからだ。バイナンス社が買収するのではないか、という憶測で何とか持ち堪えていたが、同社が方針を撤回。今年5月に破綻した韓国発の ”テラ・ショック” の再現となりそ

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「ドル建投資」の帰趨。- 「金利差相場」の真偽。

「ドル建投資」の帰趨。- 「金利差相場」の真偽。

 「ドル」が売られる時。|損切丸|note の姉妹編。

 2022年は「金利差相場」 "信仰" の「ドル買い」で随分儲けたFXトレーダーも多かったが、さすがに最近の ”異変” には気が付いているだろう。相変わらずFRBの「利上げ」が続いているがドルの上値は重くなってきている。もちろん日銀・財務省の「ドル売り介入」のお陰ではない(苦笑)。

 「金利差相場」と言っても、そこにはレトリック(詭弁)が

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「CPIの誤謬」。- 日本で「賃金」が上がらない理由。

「CPIの誤謬」。- 日本で「賃金」が上がらない理由。

 「CPIさえ下がれば庶民の騒ぎは収まる」。

 そういうたかをくくった態度が見て取れる。 "技術" 的には2022年度の補正予算29兆円で電力会社へ「補助金」を出すことに起因しているが、この "技術" が曲者。経済効果は一人当り29万円の「給付金」と一緒だが、本来物価やCPIとは全く関係がない。 

  ”リアル” な体感物価は+6%を超えている ↓ 。

 これと似たような "CPI操作" が

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生活が苦しいから「インフレ」が収まるわけでは無い。

生活が苦しいから「インフレ」が収まるわけでは無い。

 11/2FOMC後の記者会見で ↓ のようなパウエル議長発言があったため注目された米雇用統計だが、何とも微妙な結果が出た。

 FRBの変化 、日銀の変化 。|損切丸|note

 発表直後、長期ゾーンを中心に売り込まれた米国債は10年が一時@4.20%を付けたが、時間当り賃金の上昇率が+4.7%に減速(←9月+5.1%)を受けて買い戻されている。イールドカーブはややスティープニング(傾斜化)。

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FRBの変化 、日銀の変化 。

FRBの変化 、日銀の変化 。

 ほぼ予想通りとはいえ、4回連続の+0.75%「利上げ」はモンスター級。少なくとも「損切丸」現役中の22年間でも見たことが無い。スリランカのデフォルトなど波乱も見られるが、クラッシュもなく株価も含めこの程度で良く済んでいるな、というのが実感。

 だがFRBにも ”変化” が見られる。

 FOMC声明文、パウエル議長の発言(抜粋) ↓

 FX(為替市場)と株価の最初の反応は①~④ ↑ について

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FRBは ”肉”(=株価)を斬らせて "骨"(=インフレ) を断てるのか?

FRBは ”肉”(=株価)を斬らせて "骨"(=インフレ) を断てるのか?

 FOMC@11/2を直前に控え、米国債が金利低下方向に突っ込んでいる。これまでマーケットは+0.50~+0.75%もの「大幅利上げ」に脅え、米国債を売り込んできたが、今回はどうも様子が違う。

 絶対金利 が@5%に接近し「最終局面」と見る向きは多い。 ”複利効果” ↓ も考慮すれば@5%は「金利」が急激に効き始めるポイント。住宅ローンも@7%を突破し、20年で元金の約4倍も払う負担は半端ではな

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意外と効果的? "利食い" の「ドル売り円買い介入」。- 財務省・為替市場課は世界最大の "官制ヘッジファンド" 。

意外と効果的? "利食い" の「ドル売り円買い介入」。- 財務省・為替市場課は世界最大の "官制ヘッジファンド" 。

 「財務省・為替市場課は世界最大の "官制ヘッジファンド" だね」

 「損切丸」がロンドン本店のマネー関連のトップを財務省に連れて行った時にこんな "ジョーク" を言われた。当時東京支店では多額の「ドル預金」を預かっており(おそらく邦銀、外銀全部含めて1番多かった)、本店はホクホク。1つの「貸し手」としては断トツの1位で、「流動性管理」上多過ぎて問題になったぐらいだ。

 ”ミスター円” 榊原財

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