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三十一文字・短歌・tanka

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歌誌の紹介や一首評など、短歌にまつわる記事をここに集めます。
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#短歌

永田淳さん第4歌集『光の鱗』を読む

永田淳さん第4歌集『光の鱗』を読む

短歌結社・塔短歌会の選者である永田淳さんの、選者となった以降の445首を収めた第4歌集。帯にはタイトルにもなった代表歌が。

琵琶湖かあ。うちの旦那さんは関西出身、兄弟が滋賀県住まいなので琵琶湖はとても近しい存在のよう。その話から聞く琵琶湖はとにかく大きく悠大なイメージがあります。表紙写真は永田さん撮影だそう。

気になる7首評歌集は2015年から2021年までの歌を収めていて、それは同時に父であ

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短歌同人誌『柊と南天』第5号、5冊セットをお送りしています

短歌同人誌『柊と南天』第5号、5冊セットをお送りしています

塔短歌会の中の「昭和48〜49年生まれ」で作った会「柊と南天」では、同人誌を発行しています。2018年から2022年9月までで5冊。

たくさんの方に読んでいただけるよう、最初から販売ではなく配布をしています。私のBASE(丘村堂)でも実質送料だけでお送りできるページを作りました。

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A5判/48ページ
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出詠者
加茂直

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最近の5冊+3冊:昔のことをもっと知りたい欲

最近の5冊+3冊:昔のことをもっと知りたい欲

5冊読んだら感想を書こう、という個人企画の一環。今回はこんなラインナップ。前回は4月か! と思って確認したら5冊+3冊でした。

織田武雄『地図の歴史 世界篇・日本篇』(講談社学術文庫)ちょっと前の「講談社学術文庫セール」で買った1冊。文字通り「地図史」についての超基本的な内容。開いてすぐ面白かったのは、地図は最初紙や皮のようなところに「書き付ける」ものとは限らなかったこと。石や木の実などを使って

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西巻真さん歌集『ダスビダーニャ』を読む

西巻真さん歌集『ダスビダーニャ』を読む

未来短歌会の西巻真さんが、クラウドファンディングを使って第一歌集を出版しました。なぜその選択に至ったのか、どれほどの勢いで支援が集まったのかは実際のサイトが一番詳しいと思います。

私もささやかながらサポートをお送りして、先日歌集が届きました。

西巻さんと知り合ったのは2005年頃、インターネット短歌が流行りだして私も参加していました。まだハンドルネームで投稿していたのでお互いに本名を知ったのは

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短歌の連歌に挑戦中 複数人で57577を回す

短歌の連歌に挑戦中 複数人で57577を回す

五七五七七の定型で完結する短歌。これを複数の人たちでつないでいく「連歌」という形式がある。

Aさんが「五七五」を詠み、Bさんがそれにつながる「七七」を詠む。Cさんがまた前を踏まえて「五七五」を詠み、Dさんが「七七」を詠むのを繰り返していく。18句や36句、100句、1000句などつなげる句数によって連歌の形式にも名前がついているらしい。

参加する人数によっても両吟とか三吟とか呼び名があるらしい

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『塔』 2021年4月号 新樹集に載った

『塔』 2021年4月号 新樹集に載った

入会したのが2012年、最近は欠詠してしまうことも多い中、初めて「新樹集」に載ることができた。自分のような詠み方でここに載るチャンスがあるとは予想していなかったので、素直に嬉しいです。

*   *   *

モノクロのフィルムカメラを構えれば光と影と私ひとり

前髪の分け目を少し変えただけでもお茶漬けがとてもおいしい

年末と年始の文字が交じり合いながらうねってゆくツイッター

もう別のうちの子

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香川のお店に丘村のZINEが入りました

香川のお店に丘村のZINEが入りました

香川県高松市にある素敵な本屋「BOOK MARUTE」さんに、丘村のZINE2種類をおいていただくことになりました。

<ざっくり説明>
★半分くらいの - 短歌/英語 ZINE
★裏も表も - 短歌/豆本 ZINE

写真を見ると海のそばの本当に美しいところ。首都圏で作ったZINEがこんな景色を見られるなんて。四国の方、瀬戸内海界隈の方はぜひお店へ行って手に取ってみてください。

オンラインショ

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裏も表も  『塔』2018年1月号 掲載

裏も表も  『塔』2018年1月号 掲載

会誌『塔』2018年1月号の特別作品ページで掲載の14首です。
テーマは人間ドック。

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問診を倦まず書き切る体力を試されている前日の夜

胃カメラはつるっと飲むと豪語する父という名の胃病のプロは

内臓の裏と表を見せますが間のことはメニューにあらず

年配と若手が交じる検体は窓の向こうでみんなが数字

京風の訛りを添えて歌うように呼吸指示する超音波技師

肺活量た

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柊と南天 web歌会を開催

柊と南天 web歌会を開催

短歌結社「塔」の中の昭和48年度生まれの有志で集まって「柊と南天」という会を作っている。主宰、というか発案されたのは「塔」の編集委員でもある永田淳さん。10名足らずだったメンバーも徐々に増えてきた。

私は歌歴も短くその末席を汚している状態なのだけど、寛容な皆さんのおかげで会報やメーリングリストの仲間に入れてもらっている。

本当ならリアルで対面する「歌会」が各地域やグループで開かれているはずだっ

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歌人49名の短歌51首をよむ、池田行謙さん『Easy traveler 01』が面白い

歌人49名の短歌51首をよむ、池田行謙さん『Easy traveler 01』が面白い

塔短歌会に所属、昭和48/49年生まれの歌人同好会「柊と南天」のメンバーでもある池田行謙さん。すでに第一歌集『たどり着けない地平線』(青磁社)を上梓され、会報誌でもコラムを担当しています。商業書籍とは別で、2017年には『Easy traveler 01』を自費出版されています。

自費出版、ZINE、リトルプレス。こういった冊子だと本人が詠んだ歌が載っているケースがほとんどですが『Easy tr

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池田行謙さん歌集『たどり着けない地平線』を読む会に参加しました

池田行謙さん歌集『たどり着けない地平線』を読む会に参加しました

短歌結社の一つである塔短歌会。その中でさらに、1973年・1974年生まれの会員で構成された会「柊と南天」があります。歌歴や入会時期はバラバラですが、同い年なのは共通点。昨年結成されて「柊と南天 第0号」を発行したのち、2回目の大きなイベントが今回の読む会でした。

著者の池田行謙さんも「柊と南天」のメンバー。2016年に第一歌集『たどり着けない地平線』を刊行されているので「柊と南天」主催で読む会

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ネットプリント歌誌 射手座短歌アンソロジー『半人半馬』一首評

ネットプリント歌誌 射手座短歌アンソロジー『半人半馬』一首評

まずネットプリントから説明したほうがいいかもしれない。今回のネットプリントとは、セブンイレブンやローソン、ファミリーマートなどコンビニの複合機からプリントアウトして紙の発行物を手に入れること。

事前にユーザー番号を教えてもらい、複合機を操作してその番号を入力し、その場でコピーの要領でお金を払って出力する。少なくとも電子書籍や出版より手軽に「紙」の発行物を出せる。

歌誌『半人半馬』には射手座短歌

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歌誌『柊と南天』第0号、昭和48/49年生まれの会から

歌誌『柊と南天』第0号、昭和48/49年生まれの会から

いくつか短歌の結社がある中で、塔短歌会は歴史があり会員数が多い結社の一つです。さらにそこから「昭和48年/49年生まれ」の会として発足したのが「柊と南天」。昨年11月発刊の生まれたて第0号をいただいたので、寄せられた5名の方々の歌から一首ずつ選んでみました。(掲載順)

題詠 虎
いつの日か虎になる日を夢見つつ牙を研ぐでもせいぜいトラ猫/乙部真実

トラ猫の身分を嘆く言葉が並んでいるものの、実

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日本語に飢えて短歌に出会う

日本語に飢えて短歌に出会う

短歌を始めようと思ったのは、中国へ語学留学している最中でした。毎日中国語の新出単語を覚えて、作文を書いて、中国のスーパーで買い物をして、中国語で会話して、という生活の中で無性に日本語に飢えていました。

留学したのは2004年から2005年。当時はちょうど「インターネット短歌」と呼ばれるムーブメントがあって、サイトを賑わせていました。それまで短歌のタの字も考えたことがなかったのに、そこでやり取りさ

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