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OMOI-KOMI 我流の作法 -読書の覚え-

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私の読書の覚えとして、読後感や引用を書き留めたものです。
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#岩波書店

山びこ学校 (無着 成恭 (編))

山びこ学校 (無着 成恭 (編))

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 以前から気になっていた本です。

 戦後の教育に大きな影響を与えた著作だと評されていますし、当時の生活を知る民俗学的観点からも貴重な資料とも位置づけられているようです。
 本書に収録された詩や作文を書いたのは1950年ごろの中学生とのことですから、1935年ごろの生まれの私の父母とほぼ同年代ですね。

 自分の親や兄弟が出征し、自分たち自

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検証 政治改革 なぜ劣化を招いたのか (川上 高志)

検証 政治改革 なぜ劣化を招いたのか (川上 高志)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 いつもの図書館の新着本リストの中で見つけた本です。

 興味を惹いたタイトルではありましたが、何より、著者の川上高志くんが大学時代の友人だったというのが手に取った最大の要因です。
 大いに期待して読んでみたのですが、予想どおり重要な論点を押さえつつ、しっかりした立論が展開されていました。

 まず、著者は、本書で検証を試みた対象である「平

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霞が関のリアル (NHK取材班)

霞が関のリアル (NHK取材班)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 いつも利用している図書館の新着本リストで目に付いたので手に取ってみました。

 政界スキャンダルや新型コロナ禍対応等に係る国会対応で霞が関官僚の常軌を逸した労働実態が話題になっていますが、本書は、昨今の「中央官僚の実態と官僚機構の構造的課題」をレポートしたものです。

 「NHK取材班」とあるので、ちょっと期待して読んでみたのですが、正直

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ジョブ型雇用社会とは何か : 正社員体制の矛盾と転機 (濱口 桂一郎)

ジョブ型雇用社会とは何か : 正社員体制の矛盾と転機 (濱口 桂一郎)

(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)

 いつも利用している図書館の新着書の棚で目に付いた本です。

 「ジョブ型雇用」は、新型コロナ禍対策のひとつであるリモートワークの進展に伴い、日本企業においても導入が加速されつつありますが、私としてもその概要程度は頭に入れておこうと手に取ってみました。

 著者の濱口桂一郎さんは労働法・社会政策の専門家です。
 その立場からの、昨今の関係論

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岸惠子自伝 (岸 惠子)

岸惠子自伝 (岸 惠子)

(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)

 著者の岸恵子さん。日本を代表する女優のおひとりですが、エッセイストとしても何冊も著作を世に出しています。

 私としては、岸さんが出演された映画は「悪魔の手毬唄」「女王蜂」「たそがれ清兵衛」ぐらいしか観てはいませんが、それでも流石の存在感でした。

 本書は、ご本人による自伝。岸さんの様々な面を垣間見ることができるとても興味深いエピソード

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ブルシット・ジョブ ― クソどうでもいい仕事の理論 (デヴィッド・グレーバー)

ブルシット・ジョブ ― クソどうでもいい仕事の理論 (デヴィッド・グレーバー)

(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)

 このところ “仕事” に関係するような本はできるだけ読まないようにしているのですが、かなり話題になっているようなので、ひととおり目だけでも通しておこうと手に取ってみた次第です。

 “ブルシット・ジョブ” というのは「くだらない、どうでもいいような仕事」のことで、著者はこう定義しています。

 ひとつの「作業」という単位でブルシットなもの

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子どもの算数,なんでそうなる? (谷口 隆)

子どもの算数,なんでそうなる? (谷口 隆)

(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)

 いつも利用している図書館の「新着書」のリストを眺めていて、目を惹いたタイトルだったので手に取ってみました。

 著者の谷口隆さんは数学者です。
 谷口さんは、子どもを相手にした算数の学びの機会を通して、数々の興味深い気づきを得ていきました。

 その中から2つ、特に印象に残ったものを紹介しましょう。

 まずは「第3話 マルとペケ」から。

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日本問答 (田中 優子・松岡 正剛)

日本問答 (田中 優子・松岡 正剛)

(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)

 変わったタイトルだったので目に付きました。

 松岡正剛さんも著者のひとりということで挑戦することにしました。対談の相方は社会学者(法政大学総長(注:当時))田中優子さんです。

 まさにお二人ならではのとても面白そうなテーマの対談だったのですが、私にとってはちょっと荷が重すぎました。著者と読者の持っている基本的な知的素養の量と質があまり

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上を向いて歩こう (佐藤 剛)

上を向いて歩こう (佐藤 剛)

(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)

 いつも聞いているpodcastの番組に著者の佐藤剛さんが登場したとき話題になった本なので、気になって手に取ってみました。

 坂本九さんの代表曲「上を向いて歩こう」をテーマにしたノンフィクションです。
 確かにとても興味深いエピソードが盛りだくさんの内容ですが、その中から私の印象に残ったものをいくつか書き留めておきます。

 まずは、「上

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神話の心理学 (河合 隼雄)

神話の心理学 (河合 隼雄)

(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。)

 河合隼雄さんの著作を読むのは久しぶりです。

 本書は新潮社の季刊誌の連載を書籍化したものです。
 神話を読む際の入門書ですが、学問的な解説ではなく、主としてユング心理学を背景とした河合氏なりの神話の「読み解き方」のヒントが紹介されています。

 ただ、本書を読み通しての感想ですが、その国・地方の「神話」の解釈をもってその国・地方の人々の

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ドリトル先生航海記 (ヒュー・ロフティング・井伏 鱒二 (翻訳))

ドリトル先生航海記 (ヒュー・ロフティング・井伏 鱒二 (翻訳))

(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。)

 福岡伸一さんのお薦め本だったので、「この歳になって」という気がしますが手に取ってみました。

 読む前に私が勝手に想像していた “航海記” というイメージとはかなり違っていましたが、確かに良質の物語だと思います。

 読むとしたら「小学校の中高学年」ぐらいがちょうどいいのではないでしょうか。
 この歳になって読むと、あの井伏鱒二さんの訳な

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行動経済学の使い方 (大竹 文雄)

行動経済学の使い方 (大竹 文雄)

(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。
   この投稿以降しばらくはあっさりとした内容が続きます。)

 大竹文雄さんの著作に限らず「行動経済学」の本は久しぶりですね。

 冒頭、行動経済学の基本概念として、「プロスペクト理論」(確実性効果・損失回避)「ヒューリスティックス」の説明がほんのお飾り程度に触れられていますが、大半は、行動経済学的観点からの働きかけの実例を紹介した内容です。

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短篇小説講義 増補版 (筒井 康隆)

短篇小説講義 増補版 (筒井 康隆)

(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。
   この投稿以降しばらくはあっさりとした内容が続きます。)

 私が中学生のころ、最初に手にした「短編小説」といえば「星新一」さんか「筒井康隆」さんの文庫本でした。ともかく、その “発想の奇抜さ” に驚いたものでした。
 その後しばらくして、お二人の作品はほとんど手に取らなくなってしまいましたが・・・。

 この本は、図書館の新着本のコーナー

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紛争・対立・暴力 ― 世界の地域から考える (西崎 文子/武内 進一)

紛争・対立・暴力 ― 世界の地域から考える (西崎 文子/武内 進一)

(注:本稿は、2019年に初投稿したものの再録です。
   この投稿以降しばらくはあっさりとした内容が続きます。)

 今、この瞬間にも世界各地で紛争や対立が現在進行形で存在しています。
 それらの起因・背景等について、実は、私自身、ほとんど分かっていません。

 恥ずかしながら、それらの基本を理解しておこうと手に取った本です。「岩波ジュニア新書」ですが、私のレベルではこのぐらいからでないと・・・