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#小説
【小説】ごわさん(1)
納品しそこねた男
辛うじて、男は運転を続けている。
明け方の、まだ群青色に薄く染まる町と同じ顔色の男がハンドルを握っていた。
つい先程、男の心は千切れた。
キャベツ一玉をもぎ裂くような音がきこえた。
『……ルートから外れています』
男は株式会社アマゾン社長、三俣(みまた)ケイスケ。
アマゾンといっても大手通販会社ではない。
安物のエアポンプがあげる泡のような、細々とした経営状況の爬虫類専門、
納品しそこねた男
辛うじて、男は運転を続けている。
明け方の、まだ群青色に薄く染まる町と同じ顔色の男がハンドルを握っていた。
つい先程、男の心は千切れた。
キャベツ一玉をもぎ裂くような音がきこえた。
『……ルートから外れています』
男は株式会社アマゾン社長、三俣(みまた)ケイスケ。
アマゾンといっても大手通販会社ではない。
安物のエアポンプがあげる泡のような、細々とした経営状況の爬虫類専門、