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【小説】ごわさん(1)
納品しそこねた男
辛うじて、男は運転を続けている。
つい先程、男の心は千切れた。
キャベツがもぎ裂かれるような音をたてて。
『……ルートから外れています』
男は株式会社アマゾン社長、三俣(みまた)ケイスケ。
アマゾンといっても大手通販会社ではない。
うす暗い部屋の隅で水槽のエアポンプがあげる泡のような、細々とした経営状況の熱帯魚専門の卸販売会社だ。
ケイスケはトラックを運転し、ネオンテトラ三
納品しそこねた男
辛うじて、男は運転を続けている。
つい先程、男の心は千切れた。
キャベツがもぎ裂かれるような音をたてて。
『……ルートから外れています』
男は株式会社アマゾン社長、三俣(みまた)ケイスケ。
アマゾンといっても大手通販会社ではない。
うす暗い部屋の隅で水槽のエアポンプがあげる泡のような、細々とした経営状況の熱帯魚専門の卸販売会社だ。
ケイスケはトラックを運転し、ネオンテトラ三