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あしたの小窓から。

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小窓のむこうに、ちいさな「あした」が見える。 ここでは音楽、教育、投資、霊性などについて、考えたり感じたりしたことをつれづれに綴っています。
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2020年7月の記事一覧

ゆっくり、ゆっくり、登ってく。

ゆっくり、ゆっくり、登ってく。

今日の名古屋は夏空、快晴。
長かった梅雨ももうすぐ終わるかと予感させる日だった。

この長い長い下り坂を君を自転車の後ろに乗せて、ブレーキいっぱい握りしめて、ゆっくりゆっくり下っていくのは、ゆずの『夏色』だが、バイト先の障がい児デイサービスの子どもたちは逆にゆっくりゆっくり登っていく。

ある子が、算数の宿題をしていた。
「8を足す足し算」とあり、1+8 から12+8 までの問題がランダムに並んで

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奥さんのすなるアルコールインクアートを夫の僕もしてみむとてすなり。

奥さんのすなるアルコールインクアートを夫の僕もしてみむとてすなり。

男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてすなり

と書いたのは、『土佐日記』の紀貫之だが、最近の僕はそんなノリで奥さんのしているアルコールインクアートというのをしている。

アルコールインクアートというのは、コピックというペンのインクに高濃度のアルコールを混ぜて、その液体をドライヤーなどで飛ばしてつくるアートのことだ。

インクの色の出かたもドライヤーで吹き飛ばしたときの液の流れ方もコントロー

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音楽語の習得。

音楽語の習得。

先月から編曲を習っている。
もともと「編曲とはなんじゃらほい?」という感じだったのだけれど、友人に歌とギターだけの曲にちゃんと伴奏をつけたいと話したら「それは編曲だよ」と導いてもらったのだった。

先生について週に一度、一時間。教わるたびにビックリしている。
「Am7 は何の音でできているか」「このコード進行はどのスケールから由来しているか」「この音とこの音は何度の関係にあるか」、先生から聞かれる

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未来はいまに流れ込んでいる。

未来はいまに流れ込んでいる。

友だちが喫茶店を開店するという報を聞いて、喜んでいる。
日にちを限定したお試しオープンらしいが、それでも嬉しい。

僕たち夫婦は、数ヶ月前、彼がカウンターの向こうでコーヒーを淹れたり、食事をつくったりするのを見ていた。その姿はとても様になっていて、もう「マスター」という感じがしたし、そう呼びたくて仕方がなかった(実際呼んだと思う)。

その頃から彼が喫茶店をやる気だったのかは知らない。でもカウンタ

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ともに生きながら、違う夢を見る。

ともに生きながら、違う夢を見る。

「同床異夢」という四字熟語がある。

意味は、

同じ寝床に寝ても、それぞれ違った夢を見ること。転じて、同じ立場にありながら、考え方や目的とするものが違うことのたとえ。
(三省堂 新明解四字熟語辞典)

僕はこの言葉を、結婚生活において強く実感することになった。

まったく同じ場面に出くわしても、感じることが違う。解釈が違う。意味づけが違う。そんなの当たり前と思われるかもしれないが、実際に違うと気

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勝手知ったるうちのメシ。

勝手知ったるうちのメシ。

三泊四日の旅行中、外食が続いたからか、ひさしぶりにうちでごはんを食べて「落ち着くなあ!」と驚いた。

「ごはんは、つくった人のエネルギーを食べている」と友人が言っていたが本当にそう。顔が見えない外食が続いた後の奥さんの手料理には、家に帰ってきた時と似た安心感があった。

そういえば、僕が好きなお店は、決まって店員さんの顔が見える。「あの店のあの人」と顔が思い浮かぶお店では、人と人として関わっている

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私たちは小さな存在だが、思うよりは大きい。

私たちは小さな存在だが、思うよりは大きい。

一昨日までの博多行きが思ったより強烈だったので、いつもお世話になっているキュットンさんにカードを引いてもらった。

キュットンさんのカード占いのことは、これまでに何度も書いているが、いずれも人生の岐路の強い助けとなった。

最初に奥さんから紹介されたとき、若干いぶかしく感じたのもなつかしい。いまでは肩が凝ったら整体に行くように、認識のゆがみを補正するためにたびたび相談させてもらっている。100分の

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離陸のとき。

離陸のとき。

きのう、福岡空港から離陸する時の天気は、雨。
なので機体は、厚い雨雲をつんざくように飛んだ。

飛行機に乗ったときに、一番興奮し、不安と緊張が高まるのは離陸だ。
それまでの速度から一気にギアが上がり、後ろから激しく圧される。と同時に身体が座席に引きつけられ、なにかが破裂しそうな感じがしたかと思うと、お尻の下がぐっと持ち上げられ、機体が空に浮かぶ。

雨雲を貫いた昨日は、飛んだ後、気流が荒く、機体は

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わかりようもない未来を見こんで。

わかりようもない未来を見こんで。

いま、新しく住む家を探している。
どんな引っ越しでもそうだが、本当のところ、住んでみないとわからないのに、住んでどうなるだろうかと一生懸命想像する。内心「わかりっこないよ」と思いつつも、やっぱり想像力をあれこれ働かせて、見えるはずのない未来の手触りをつかもうとする。

どうしてこんなにわからないことだらけなのかな、と今日ちょっと思った。
もう少し先が読めたら、もっと安心して未来のことを決められるの

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道は一本じゃない。

道は一本じゃない。

進路相談とか進路指導がはじめてあったのは、中学生の頃だったか。

その頃は内申点や偏差値からどの学校に行くかが自動的に決まって、「進路」は、ほぼ一本道だった。二つか三つ選択肢があったにしても、次は高校ということに変わりはなく、大学受験においても同様だった。

大学四年で就職試験になると、急に選択肢が日本の全会社に広がったが、「会社に入る」という意味では一本道だった。迷いながらなんとか意中の会社を決

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街になじむ。

街になじむ。

博多二日目。ビジネスホテルで目覚めて、朝食のために昨日歩いた博多駅のあたりを散策すると、すでに身体が街になじんでいることに気づく。

あの道も、あの道も、昨日は目新しかったのに、いまはもうなじみの道になっている。どの目印を記憶したわけでもないのに、身体がもう「知っている」という感じになっているのだ。

宿泊を伴うワークショップなんかでもそう感じるが、寝泊まりすることの効果ってすごい。特にそうしよう

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空をこえて。

空をこえて。

いま、博多のホテルにいる。
今日のお昼に名古屋の中部国際空港から飛行機に乗ってやってきた。

飛行機に乗るのは一年ぶりだったが、空を飛ぶ体験は毎回不思議だ。
富士急のドドンパみたいに加速した後に、お尻のあたりがぐぐっと持ち上げられて宙に浮く。さっきまで目線が合っていた街並みがどんどん下に行き、雲がまわりに現れたかと思ったら、気づくとその上にいる。

普段は意識することがないが、雲の上にも世界はある

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眼鏡を忘れる。

眼鏡を忘れる。

(今日は本当にどうでもいい話ですが、人生ではじめて起きた出来事です。)

朝、5時51分。起床。

ビビった。

スーパーでの品出しバイトの出勤時刻は6時。
普段は、5時45分に家を出ているのにすでに 51分。

あせる。が、焦っているひまもない。
あわてて着替えと洗面を済ませ、脱兎のごとく家を出る。
この時間だと自転車をフルで漕いで間に合うかどうか。

外は快晴。朝日がまぶしい。

と、そこで気

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ファミレスと「けしからん」。

ファミレスと「けしからん」。

いま、ファミレスにいる。
僕のちょうど後ろの席では、お婆さん二人がおしゃべりをしている。

一人が「息子や嫁たちがけしからん」というようなことを話している。
この人は先ほど、お子様用のメニューを頼もうとして店員さんを困らせていた。お婆さんだが、どうしてもお子様うどんが食べたいのだという。そういうことは「けしからん」ことには入っていないらしい。

その口調や勢いを聞きながら、亡くなった祖父母のことを

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