澤 祐典

音楽家、社会福祉士。15分のお話から世界に二つとない曲をおつくりする『あなたのうた』、…

澤 祐典

音楽家、社会福祉士。15分のお話から世界に二つとない曲をおつくりする『あなたのうた』、歌える人生の扉をひらく『歌い手冥利』、ハナウタから曲ができるまで伴走する『作曲事始』といった歌、作曲、子どもに関する仕事をしています。

マガジン

  • ピーターパン、父になる。

    2023年9月にわが家に赤ちゃんがやって来ました。 なにもかもがはじめての経験。バタバタしているうちに忘れてしまいそうなので、その日からの出来事や感じたことを、できるだけ毎日書き留めています。

  • あしたの小窓から。

    小窓のむこうに、ちいさな「あした」が見える。 ここでは音楽、教育、投資、霊性などについて、考えたり感じたりしたことをつれづれに綴っています。

  • 歌の音箱

    これまでにつくった歌を入れています。聴いてもらえたらうれしいです。

  • 暮らしの詩

    起きたことを文章で書くのが、おっくうになって、詩を書きはじめました。

  • 読書感想文

    読んで「これはいい!」と感じた本の感想文を集めています。

最近の記事

静かな静かな。

昼でも夜でも、赤ちゃんが寝てしまうと、わが家は静けさに包まれる。 寝た子を起こさぬよう、僕も妻もひそひそ声で話すようになるし、なるべく物音を立てないようにする。 すると、急に外界が身近に感じられるようになる。 窓の外でしていた車の走行音や子どもたちのはしゃぐ声が耳に入り、風が空気を切るすーっとした感じを味わうことができる。 食事をしているときには、料理の味がはっきりわかる。いつもより細かい味わいが感じられて、ぐっとおいしくなる。どこかのお寺で黙々と食べる修行があるそうだけ

    • 待って、待って。ほか

      ・下痢が続いていたので、妻が病院に連れていった。先生によると「元気だけど下痢が続く風邪」らしい。一週間下痢が続くこともあるとのこと。そんな風邪があるなんて知らなかった。たくさんの子どもたちを診ていなければ知ることのない知識。それを少し分けてもらうだけで「よくあることなんだ」と心配が消し飛ぶ。小児科ってありがたい。 ・保育園入園に向けての準備が進みはじめた。かつては想像すらできなかった送り迎えや職場復帰のイメージがにわかに具体的になってきている。つい数ヶ月前までは「全然無理だ

      • 出産前に男性が心がけること。

        「子どもが生まれる前に心がけることとかって、ありますか」 たしか、そう聞かれた気がする。子どもプラザで赤ちゃんと遊んでいる最中、若い男性スタッフさんが近づいてきて、突然尋ねられたのだ。結婚を考えているパートナーがいる、みたいな話だったと思う。 「聞かれた気がする」「だったと思う」などと輪郭がぼやけてしまうのは、気が動転していたからだ。こんなふうに身の上相談がくることなんて十年に一度もない。しかも子育ての話を聞かれるなんて。僕はなぜかとても照れてしまい、平静を装っていたが、

        • 塩と飴。

          いつものように朝から海まで散歩。いろんな人とすれ違う。 みな赤ちゃんを見ると微笑む。僕自身もそうだけれど、赤ちゃんに向ける笑顔は心から出る笑顔だ。例えば、地下鉄の中でむっつりとスマホを覗き込んでいた人が、赤ちゃんを見てふわぁ〜とほどけるのを見る。たぶんそれは多くの人には見せていない顔だ。大人のこんなにも自然ないい顔を引き出せるなんて、名カメラマンでもできないだろうな。そんなことを思いながら、見てはいけないものを見てしまったような気持ちで笑顔の大人を見る。 海の散歩のとき、

        静かな静かな。

        マガジン

        • ピーターパン、父になる。
          296本
        • あしたの小窓から。
          720本
        • 歌の音箱
          67本
        • 暮らしの詩
          4本
        • 読書感想文
          12本
        • 歌の日記帳
          84本

        記事

          let it be.

          それは昨日の、夜。 僕は赤ちゃんとお風呂に入るため、浴室で全裸になってベビーバスの準備をしていた。妻は僕からの準備完了の合図を待ちながら、部屋で赤ちゃんと過ごしている ……はずだった。 「きゃーーー!」 聞こえてきたのは妻の悲鳴。その直後に赤ちゃんの「ぎゃー!」という火のついたような泣き声がしはじめた。 「ごめんね!ごめんね!お母さんが悪かった!」 何事が起きているのか分からず「どうしたのー」と声をかけると 「大丈夫!」 と鋭く短い返答。でも赤ちゃんの泣き方も、

          意を決して髪を切る。ほか

          ・赤ちゃんが下痢をしてしまった。ウンチが出にくいことはあったけれど、出すぎるのははじめての経験で、おむつ交換が頻回になることに戸惑う。なにか食べているものの影響かとも思ったが、離乳食のメニューはほぼ変わっていないのでそれも考えづらい。幸い、赤ちゃんは笑いながら元気に遊んでいるので、そのうち治るといいなと思っている。 ・意を決して、赤ちゃんの髪を切った。前回切ったのは7月末だから約3か月ぶり。 髪を切るのは子育てイベントの中でも最上級に面倒なので、僕も妻も億劫だった。でも明

          意を決して髪を切る。ほか

          僕たち夫婦の、目の届かない未来へ。

          今日、以前見学に行った保育園をもう一度訪れた。 来年4月からの入園申し込みにあたり、再見学が必要になったためだ。 二度目だったけれど、行ってよかった。 そして、やっぱり素晴らしい園だった。 前回行ったとき、赤ちゃんは月齢4か月でハイハイどころか、ずり這いもできなかった。見学の間じゅう抱っこひもに入って、すぅすぅ寝息を立てていた。僕たち夫婦は同じ0歳児の先輩たちが縦横無尽に動きまわっている姿を見て「あんなふうになるなんて信じられない」と驚いていた。 それから8か月経ち、1

          僕たち夫婦の、目の届かない未来へ。

          数々の意思疎通。

          ・赤ちゃんが僕を「ぱぱ」として呼んでくれるようになった(気がする)。以前から「ぱぱぱぱ……」と発語してはいたのだけれど、このところ明らかに「ぱぱ」で止めて、僕のほうを見ている(気がする)。朝起きて「ぱぱ、ぱぱ」と言いながらこっちに向かってくるのを見たりすると、ぎゅーっと抱きしめたくなる。 ・おもちゃを持っているときに「ちょうだい」と言って手を出すと、ぽとん、と落としてくれるようにもなった。「ありがとう」と言って「どうぞ」とふたたび手渡す。「ちょうだい」「ありがとう」「どうぞ

          数々の意思疎通。

          おお、心の友よ。

          赤ちゃんといると、己の器の小ささを思い知ることがある。 たとえばそれは夜、赤ちゃんがなかなか寝付かず暴れはじめてしまったとき。あやす振動を大きくし、強引に寝かしつけてようやく寝た後、息を荒げながら達成感、安堵感とともに罪悪感にさいなまれる。たった一歳の幼な子にこんなにもムキになってしまった自分が情けなくなる。 あるいは、子どもプラザで立って歩く同年代の子たちを見たとき。まだ歩かないわが子と比べないようにしようと思えば思うほど、モヤッとしてしまう。他人と比べてつらい思いをさせ

          おお、心の友よ。

          愛してるけど、とても疲れる。ほか

          ・最近、赤ちゃんが事あるごとに「ぱぱ、ぱぱ」と呼んでくれる。しかも、意味なく言っているのではなく、僕のほうを見て言っているようなのだ。以前「まま、まま」ばかり言ってママ優勢なのに焦っていたが、 このところはパパ優勢でにんまり。あわててママが「ママ、ママ」と教え込んでいるこの頃である。 ・腕はW、脚はMのかたちで曲げて寝るのが、生まれた頃からの赤ちゃんの寝姿で、僕らはこれを「チャンピオンポーズ」と呼んで親しみを感じていた。でも、このところ、赤ちゃんも大人と同じように腕と脚を

          愛してるけど、とても疲れる。ほか

          はじめてのしゃぶしゃぶ食べ放題。

          お昼にしゃぶしゃぶ食べ放題に行った。 ちょうどお肉が食べたくなっていたのと、60分1,500円という値段がお手頃だったのが決め手になった。 とても親切なお店だった。赤ちゃん連れの僕らを気にして、事前に子供椅子の位置を詳しく確認してくれたり、食べはじめる前に「赤ちゃんにうどんやごはんにかけるふりかけをご用意しましょうか」と尋ねてくれたり、そこまでしてもらえるとは予想していなかったのでとても驚いたし、うれしかった。 とんかつ、スシロー、マックといった普段の外食と違い、しゃぶし

          はじめてのしゃぶしゃぶ食べ放題。

          なんとかなるさ。

          わからないことだらけである。 赤ちゃんが生まれて一年経ったが、視界良好で進んだことなんて、ほとんどなかったように思う。 何冊本を読んでもなかなか寝付かないままだし、鼻水が出ればあわて、うんちが出ないことを気にして、熱が出たらオロオロし、授乳がつらいと言われたら心配し、今日は離乳食のことで揉めた。 赤ちゃんの調子が悪い(あるいは何か心配なことがある)と妻の調子も悪くなる。その二人を支えるのがしんどくなって、時々僕の調子も悪くなる。三人ダメになると大変で、赤ちゃんの調子が悪

          なんとかなるさ。

          鼻水ブッシャー。ほか

          ・おとといぐらいから、朝、海まで散歩する途中でくしゃみをして、両鼻から豪快に鼻水を出している。「鼻水ブッシャー」と名付けたこの技は、両方の鼻からいっぺんに大量の鼻水が出せるのがすごい。僕たち大人はたぶんやろうと思ってもできないだろう。赤ちゃんは夜、寝相を360度回転させることができるが、あれに並ぶ驚異の技だと思う。 ・今日も今日とて、子どもプラザ。午前中からお昼までは混んでいるけれど、昼食の時間になると一気に空く。今日は9か月の女の子とおもちゃが競合した。うちの子が先に手を

          鼻水ブッシャー。ほか

          おかあさんに好かれたい。

          今日も赤ちゃんと二人で子どもプラザに行った。 この記事を書いた時には初めてだったけれど、以来、足繁く通うようになった。家で入ってほしくない場所や触らせたくない物から引き離すことばかりしている僕にとって、ほぼなにもせずに見ていられる場所はとてもありがたかった。 いつもは午後に30分くらいしかいられないけれど、今日は長めに遊ばせてあげたいと思い、午前中から出かけた。到着してドアを開けると中にはたくさんの親子連れがいて、乳幼児のディズニーランドのよう。「これが午前中の景色か」と

          おかあさんに好かれたい。

          ズレた間の悪さも。ほか

          ・ぐっと気温が下がって秋らしくなってきた。今朝も18℃と涼しかったせいか、散歩の途中、赤ちゃんが大きなくしゃみをした。その途端、両方の鼻の穴から滝のように鼻水が出た。「ドバッ」という効果音がぴったり。自分が風邪をひいてもこんなには出ない。滝のことを瀑布(ばくふ)と言ったりするけれど、ほんと「瀑」な出っぷりで拭ったハンカチがべしゃべしゃになって驚く。 ・赤ちゃんがうまれて以来、よくも悪くも赤ちゃん中心の生活になった。起きているときには赤ちゃんが王様で、寝ていると自由に自分たち

          ズレた間の悪さも。ほか

          きらきらひかる。ほか

          ・「そういえば、子どもプラザで遊ぶ赤ちゃんは、家よりおとなしいね」という話になった。家では大声をあげながら動きまわったり、ぐずってウーウーうなったりするのに、子どもプラザでは黙ったまま、そこにあるおもちゃをひたすらいじっている。今日行ったら、いろんな人に絡んでいく社交的な子がいて、うちの子とぜんぜん違うなあと思った。こういう内向性も遺伝かしら。でも地下鉄では家と同じようにあばれる君なのだけれど。 ・最近、爪を切らせてくれなくて困っている。以前は授乳中であれば、手を持って切る

          きらきらひかる。ほか