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ともに生きながら、違う夢を見る。

「同床異夢」という四字熟語がある。

意味は、

同じ寝床に寝ても、それぞれ違った夢を見ること。転じて、同じ立場にありながら、考え方や目的とするものが違うことのたとえ。
(三省堂 新明解四字熟語辞典)

僕はこの言葉を、結婚生活において強く実感することになった。

まったく同じ場面に出くわしても、感じることが違う。解釈が違う。意味づけが違う。そんなの当たり前と思われるかもしれないが、実際に違うと気づかされるとびっくりする。

僕の中ではポジティブな経験が、奥さんにとってはネガティブになる。同じ人と会っても、見ているところがぜんぜん違う。同じように感じていると思っていたのに、聞いてみたらぜんぜん違う。

この違いは、それぞれが過去の人生経験に照らして物を見ることによるものだ。

別の言い方をすれば、それぞれの本(物語)が違うということ。
たとえば、Aという同じ経験をしても、僕は 378ページで、年下の奥さんは324ページでそれが起こるようなもので、それまでのページに書かれた内容(過去の物語)が違うから、経験A の見え方や解釈も違ってくる。

つまり、誰かとともに生きることは、相手の本を読ませてもらうことなのだ。それを繰り返すうちに「僕にとってはこう思えたけれど、相手の本で読んだら、どういう見え方になるのだろう」と想像力を働かせるようになる。相手の話もこれまで以上に興味をもって聞けるようになる。

そうして、自分の本と相手の本とを行き来できるようになると、誰かとともに生きることが何倍も楽しくなる。逆に自分の本だけが真実だと思い込むと急激に苦しくなる。

同床異夢は「同じ寝床に寝ても、それぞれ別の夢をみる」ところから来た言葉だ。でも実際の人と人は、起きているときにも別々の夢を見ている。

その夢について語り、聞き、分かち合うことで、自分の夢の成就と同じくらい、誰かの夢の達成を喜ぶことができる。

そういう「誰か」が増えてくると、だんだん「自分」とはなんなのかが、あやふやになるけれど、それはそれでいいんじゃないかと思っている。

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