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【展覧会レポ】中野美術館「日本画・洋画の名品」

【約2,500文字、写真約45枚】
奈良・学園前にある中野美術館に初めて行き「日本画・洋画の名品」を鑑賞しました。その感想を書きます。

※本展覧会はすでに終了しています。

【この投稿で伝えたいこと】
❶池を望む「ラウンジ」の居心地が最高!初めて「住みたいと思った美術館」、❷アート収集が趣味なセンスのいい人の家に入った感覚で「家と美術館の中間」のような存在、❸大和文華館とセットの訪問がおすすめ、❹開館期間が短い(年間で約3ヶ月)のがネック。

おすすめ度:★★★★☆
会話できる度:★★★☆☆
混み具合:☆☆☆☆☆
展覧会名:日本画・洋画の名品
場所:中野美術館
会期:令和6年6月4日(火) ~ 6月30日(日)
休館日:月曜日
開館時間: 午前10時~午後4時
住所:奈良県奈良市あやめ池南9丁目946−2
アクセス:学園前駅から徒歩で約7分
入場料(一般):600円(HP提示で100円引き!)
事前予約:ー
展覧所要時間:約40分
撮影:全て可能
URL:https://www.nakano-museum.jp/exhibition/index.html 


▶︎訪問のきっかけ

外観

大和文華館に行った後に寄りました。中野美術館は年間約3ヶ月しか開館していないため、タイミングを逃さず行ける時に行くことにしました。

大和文華館の駐車場から見た中野美術館

▶︎アクセス

大和文華館前の案内看板

中野美術館は、学園前駅(奈良市)から徒歩約7分。大和文華館からは約2分です。案内看板がそこらじゅうに立っているため、迷わないと思います。

中野美術館の看板よりも「PIZZA LUNCH」が気になる
高級住宅街の中に美術館がポツンとあります
PIZZAが気になる…

住所:奈良県奈良市あやめ池南9丁目946−2

▶︎中野美術館とは

入り口

中野美術館は、林業を家業とする中野皖司かんじにより、1984年3月に開館。中野皖司は、奈良県御所市生まれ。畝傍中学卒業→同志社大学 美学及び芸術学専攻卒業→家業の林業を継いだそうです。

中野皖司の写真とプロフィール

凡そ個人のコレクションは、その人の好みや、情熱によってなされたものが大部分であり、それぞれのコレクターの個性なり美意識なりがうかがわれる

中野皖司のコトバ

約25年にわたり中野皖司が収集した近代日本の洋画・日本画コレクションを中心に収蔵・展示されています。

なぜか入り口前に鉄下駄(作品名は見当たらず)
スリッパに履き替えます
スリッパで入場する美術館は初めてかも
いざ、展覧会へ

▶︎「日本画・洋画の名品」感想

看板

夏の風物詩を描いた冨田渓仙とみたけいせん村上華岳むらかみかがく、入江波光の日本画をはじめ、久米桂一郎、鹿子木孟郎かのこぎたけしろう、須田国太郎、松本竣介などの洋画、駒井哲郎、清宮質文せいみやなおぶみの版画併せて約40点を館蔵品からセレクトして紹介いたします。

公式サイトより

展示室は2つ。展覧会の開催期間は6/4~6/30。なお、次の展覧会は、9/14〜10/14、10/22〜11/16!その間は閉館しているため、行ける期間が年間で約3ヶ月と非常にシビア。

✔️洋画展示室(2階)

佐藤忠良《若い女・夏》

最初の展示室に入ると、中央に鎮座(鎮立?)している《若い女・夏》。1972年の作品ですが、今見てもランウェーでポーズをとっていそうな、シュッとしたモデルの立ち姿が素敵!

シャツがはだけていてセクシー!
萬鉄五郎《風景》
岸田劉生《青年の首》
久米桂一郎《夏の少女(村娘)》
1894年とは思えないイラスト調
須田国太郎《牛の居る風景》
須田国太郎《ヴアイオリン》
村山槐多《松の群れ》
クロード・モネ《エプト川のポプラ並木》みたいな作品
展示室の様子
清宮質文《黒夜の鳥》
長谷川潔《 薔薇と時》
長谷川潔の略歴

✔️ラウンジ

建築は、万国博、日本庭園の迎賓館を設計した彦谷邦一によるもの。特に、2階から1階に向かうラウンジが最高でした!

さざなみを思わせるオシャレ照明
贅沢な吹き抜け空間!
この空間がたまらない
この椅子に座って眺める景色が最高!

この椅子に座った瞬間「こんな家に住みたいなぁ」としみじみ思いました。特に、蛙股池を望む景色が最高です。こんなところに座れば、何時間でも読書ができそうです。

目の前に静かに広がる蛙股池
永遠にゆらゆら揺れる水面を見ると心が洗われる

蛙股池では、亀がスイスイ泳いだり、魚がたまに跳ねたり、鳥が池に潜って魚を取ったり。池の色が透明や青ではなく、緑であることも心の安寧にドライブをかけます。まるで東山魁夷の作品を生で見ている気持ちでした。

奈良県にもデ・キリコ展が忍び寄る
天井のさりげないシャンデリア
スリッパに履き替える点も「人の家」感を加速させます

中野美術館は家の造りが良い!最高のラウンジと展示室も含めて「品のいい誰かの家に来た」感が強いことに加え、来場者もいないため、ゆったりと過ごせます。私が初めて「住みたいと思った美術館」でした。

✔️日本画展示室(1階)

展示室の様子
富岡鉄斎《題詠避暑蕉陰》《浮巒暖翠圖》
大和文華館で5/19まで富岡鉄斎の展覧会を開催
冨田溪仙《 鵜飼》
高村光雲《 西王母》
入江波光《川ゑび》
徳岡神泉《茄子》
日本画展示室から見たラウンジ

展示室、ラウンジも含めて、アートに造詣の深いセンスのいい知り合いの家に行った印象でした。まるで、家と美術館の合の子的存在。全体的にとても心が落ち着く、伸びやかな気持ちになれる美術館でした。

ただし、来場者が少なそうなことから、このままではいつか美術館がなくなってしまう気もしました。建物も素晴らしく、収蔵作品も素敵なため、もうちょっとフィーチャーされてもいいと思います。

▶︎まとめ

買ったポストカード。久米桂一郎《夏の少女(村娘)》

いかがだったでしょうか?閑静な住宅街に佇む品の良い美術館でした。美術品収集が趣味なセンスのいいお宅に訪問したような感覚で、美術館と家の中間のような存在だと思いました。特に、蛙股池を望むラウンジからの景色は最高!何時間でも座っていられる空間は、とても居心地が良かったため、私が初めて「住みたいと思った美術館」でした。開館期間が短いのがネックですが、是非、大和文華館とセットで訪問をおすすめします!

▶︎今日の美術館飯

★3.6/AIDA (奈良県/平城山駅) - 日替わり定食 (¥1,450)

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