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Twitter詩「遊魚」
障子に透ける花焔
尾引く遊魚は濃紺の色
座敷流るる青竹の香に
童女の声染み入らむ夜
刹那震わす琴の音は
我が衣手の綾とならんや
障子に透ける花焔
帳は夜霧
世は帳
身のはかなさを抱えつつ
遊魚尾を引き空昇る
紅くれないの
唐紅
障子に透ける花焔
我が衣手には曼珠沙華
咲いてひらいた魚の鰓
【読み】
・香(か)
・童女(わらしめ)
・鰓(えら)
Twitter詩「廃色」
俺らの汚した暗闇で近所の親父はのら犬をぼう
ヒビの入った瓶底の叙情ぶってるウィスキー
白樺の枝を手折るよに乱れる性は冬に腐りて
突き立てられた月光に我ら臓物を破かれている
夜を迎える人間の野生が皿を割っており
夕陽に焼かれ膿んでいる乳房は女だけのもの
月に背かれた悔しさで俺らは今日も泣き疲れ
路地に聖歌は降り止まぬ落葉風の祈るよに