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2023.4〜 キューバ在住、開発協力コーディネーター、芸大院生。 言葉を紡ぐことがラ…

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2023.4〜 キューバ在住、開発協力コーディネーター、芸大院生。 言葉を紡ぐことがライフワーク。詩やエッセイを通してキューバの暮らしをお伝えしていきます。

記事一覧

キューバ日記 #10 スターバックスはないけれど

大抵の国はファーストフードやカフェのチェーン店があちこちにあるものだが、 キューバにはマクドナルドもスターバックスも一切ない。 ときどき、チェーン店特有の「安定…

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4か月前

キューバ日記 #9 古さに宿る美

愛読してる辻仁成のブログで、 フランスに住み続ける理由の一つに 色の話が書かれていて、 ものすごく共感した。   キューバに住んでいて なんだか落ち着くのは、 目に入…

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4か月前
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キューバ日記 #8 希望を辿り、命の稜線を描く

あるキューバ人女性は、 泣きながらおもむろに語った。 「私が若い頃、まだこの国に期待できた。 しかし、今は娘たちの未来を考えると、 本当に胸が痛い。 この先を生き…

M i U@ C U B A
4か月前
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キューバ日記 #7 この世界に生きて

この世界も悪くないじゃん、って 思える瞬間を積み重ねよう 毎日地球に焦がれよう

M i U@ C U B A
4か月前
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キューバ日記 #6 ハバナの早朝、美しい満月とともに

早朝ですが、 ハバナの空に美しい満月が見られました 先日の一時帰国中からキューバに戻るまで、 さまざまな心の葛藤がありました   決して快適とは言えない 辺境の…

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10か月前
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キューバ日記 #5 MOTTAINAI精神

米国の経済制裁をはじめとして 海外からの輸入も限られているキューバ。 慢性的に物資不足なわけだが、 その代わりに何でも再利用する精神が根付いている。 とある農園を…

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キューバ日記 #4 アートは日常、リズムは呼吸

社会主義国という独自の社会システムを突き進んできたキューバ。 それが良い・悪いというジャッジをここでするつもりはないが、 他の国と比較すれば、どうしても悪い部分…

キューバ日記 #3 広告・宣伝のない街並み

キューバの街を歩いていると、 広告・宣伝の看板がないことに気づく。 街歩きが好きな私にとって 純粋に風景そのものを楽しめるのは、かなりありがたい。 さらに、建物も…

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キューバ日記 #2 選択肢が多い=幸せ?

ハバナの空港に降り立った後、ホテルに向かい、 早速近くのスーパーに足を運ぶ。 事前に色々と聞いてはいたものの、 この国、本当に物が無いのである。 陳列棚にはたった…

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キューバ日記 #1 碧い島に吸い込まれて

久しぶりの空の旅で緊張したのか、 それとも新天地へ向かう高揚感からか、 機内ではほとんど眠れずにいた。 気づけば暗闇は消え去り、 目に飛び込むのは青一色のカンバス…

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キューバ日記 #10 スターバックスはないけれど

キューバ日記 #10 スターバックスはないけれど

大抵の国はファーストフードやカフェのチェーン店があちこちにあるものだが、
キューバにはマクドナルドもスターバックスも一切ない。

ときどき、チェーン店特有の「安定の味」が恋しくなることもあるが、
その代わりにキューバでは個人経営ならではの独自のスタイルを楽しめる。

先日、無性にスタバのフラペチーノが飲みたくなり、
とあるレストランで頼んだところ、バーテンダー特製のそれは
個人的にスタバを上回る美

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キューバ日記 #9 古さに宿る美

キューバ日記 #9 古さに宿る美

愛読してる辻仁成のブログで、
フランスに住み続ける理由の一つに
色の話が書かれていて、
ものすごく共感した。
 
キューバに住んでいて
なんだか落ち着くのは、
目に入る色のほとんどが
情緒と歴史を帯びているからだ。

メキシコの賑やかなポップカラーも、
アジア独特のネオンカラーも、
国の個性を感じられて好きだけど、

年齢を経た今、
自然に馴染む色に囲まれている方が
妙にしっくりくる。

「老いる

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キューバ日記 #8 希望を辿り、命の稜線を描く

キューバ日記 #8 希望を辿り、命の稜線を描く

あるキューバ人女性は、
泣きながらおもむろに語った。

「私が若い頃、まだこの国に期待できた。

しかし、今は娘たちの未来を考えると、
本当に胸が痛い。

この先を生きる彼女たちに、
どんな苦難が待っているのだろうか。

そして、私達の世代は
どれほどのことをしてあげられるだろうか。

この国に期待はできないかもしれない。

しかし、悲観的にとらえるよりも、
私は希望を持ち続ける生き方をしたい。」

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キューバ日記 #6 ハバナの早朝、美しい満月とともに

キューバ日記 #6 ハバナの早朝、美しい満月とともに

早朝ですが、
ハバナの空に美しい満月が見られました

先日の一時帰国中からキューバに戻るまで、
さまざまな心の葛藤がありました  

決して快適とは言えない
辺境の地に住み続けることに、
果たして意味があるのだろうか。  

かと言って、正直、 今の日本に
居続けることにも 疑問や不安が拭えない。

結局、どこに居たって
さまざまな問題が付き纏う。

それならば、もう一度
開発協力に

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キューバ日記 #5 MOTTAINAI精神

キューバ日記 #5 MOTTAINAI精神

米国の経済制裁をはじめとして
海外からの輸入も限られているキューバ。

慢性的に物資不足なわけだが、
その代わりに何でも再利用する精神が根付いている。

とある農園を訪れたとき、写真のように
半分に切ったアルミ缶が苗のポットに活用されていた!

日本でもようやくSDGsが広まってきているが、
キューバではかなり前から、日常的にリユース・リサイクルが実践されている。

その他、フリーマーケットや物々

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キューバ日記 #4 アートは日常、リズムは呼吸

キューバ日記 #4 アートは日常、リズムは呼吸

社会主義国という独自の社会システムを突き進んできたキューバ。

それが良い・悪いというジャッジをここでするつもりはないが、

他の国と比較すれば、どうしても悪い部分が

荒目立ちしてしまうことは否めないだろう。

現に、亡命するキューバ人の数も増えている。

一方、この国における音楽や芸術、文化の浸透度とクオリティは凄まじく、

“アートは日常”であり、“リズムは呼吸” なのである。

例えば、キ

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キューバ日記 #3 広告・宣伝のない街並み

キューバ日記 #3 広告・宣伝のない街並み

キューバの街を歩いていると、
広告・宣伝の看板がないことに気づく。

街歩きが好きな私にとって
純粋に風景そのものを楽しめるのは、かなりありがたい。

さらに、建物も圧倒的に古いものが多く、
まるで過去にタイムスリップしたかのよう。

今は世界中どの国も発展し続けているなかで、
こんなに簡素で風情のある景色が残っている国は
なかなか貴重ではないだろうか。

そう、私がキューバという国を選んだのも、

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キューバ日記 #2  選択肢が多い=幸せ?

キューバ日記 #2 選択肢が多い=幸せ?

ハバナの空港に降り立った後、ホテルに向かい、
早速近くのスーパーに足を運ぶ。

事前に色々と聞いてはいたものの、
この国、本当に物が無いのである。

陳列棚にはたった1種類だけの
ビール、ジュース、パスタ、クッキー、トマト缶。

優柔不断な私、日本のスーパーでは
よくウロウロして何を買うか悩んでいたけれど、
ここではその必要が無さそうだ。

実際、物が溢れすぎている日本の生活に
どこか辟易としてい

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キューバ日記 #1  碧い島に吸い込まれて

キューバ日記 #1 碧い島に吸い込まれて

久しぶりの空の旅で緊張したのか、
それとも新天地へ向かう高揚感からか、
機内ではほとんど眠れずにいた。

気づけば暗闇は消え去り、
目に飛び込むのは青一色のカンバス。

空と海が混じり合った絵の具に
白い雲が点描されたような景色。

絵でも写真でもない、
紛れもなく本物の色がそこに在る。

碧い島に吸い込まれるかのように、
飛行機はそのカンバスに飛び込んだ。

高鳴る鼓動とともに降り立つと、
ハバ

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