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ひとつなるもの すべてなるもの

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ひみの連載ストーリー
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2021年11月の記事一覧

第122話 藤模様のラブレター

第122話 藤模様のラブレター

 ある朝起きる時、頭の中に歌が流れていた。目が覚めてくるまでの間に、そのメロディーをぼんやりとなぞる。
 有名なその曲を改めて調べてみると、私にとって、こんなメッセージを含んでいた。動画を再生している間、脳裏でずっと、父がニコニコ笑っていた。

「俺はね、あんたと一緒にそっちまで進むことはできないんだよ。それに、三途の川の際までしか行けないけど、でもちゃんと見守っているよ。
あんたとその人とが結ば

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第121話 二つの心音

第121話 二つの心音

 お風呂場の電球のシェードの中に、小さなヤモリを捕獲した。知らぬ間に天井裏へと迷い込み、そこから落ちて出られなくなってしまったのだろうか。

 今までも年に数回は、窓の外に張りついた小さな手足とお腹を見かけることはあったけど、今月だけですでに三匹目となる家の中での迷いヤモリ。そんなことは、ここに住んで初めてのことだった。
 ゆっくりとシェードを外し、怖がらせないように縁側まで持っていくと、あっとい

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第120話 8の字の真ん中はあの人の真ん中

第120話 8の字の真ん中はあの人の真ん中

【ご案内】

本日の小説は、自分という魂を知りたい方と、ツインレイとの統合を早めたい方に向けて書いています。『気づき』と『拡張』のためのエネルギーをふんだんに込めて書きました。
よってハイヤーセルフからの指示により、
小説『ひとつなるもの すべてなるもの』初の有料掲載とさせていただきました。

また、『簡易版 誘導瞑想用アファメーション』として応用していただけるように、普段から私が使っている文言を

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第119話 rescue me

第119話 rescue me

 これは本当だろうか。

 一体いつのことだろう、殺された私の過去世が見えた。出てきたビジョンを忘れないように日記帳に書き記していると、やはり止めどなく涙が出てきて息苦しくなることからも、おそらく間違いではないと思った。
 だからいつものように探りに行くと……。

 その時の私は北欧の小さな町に住む、二十歳前くらいの若い女性。記憶の中を漂いながら、今世の子宮の傷と、それから喉が弱い原因はこれかもし

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第118話 ツインレイの体

第118話 ツインレイの体

『いつの日かやがて、サイレントは終わりを迎える』

……そうなったらいずれは、私はあの人と暮らすのだろうか。統合してしまったら私は、私という“個”はどうなってしまうのだろうか……

 連日のように気づきがあって、連日のようにアセンションしている。サイレントに入ってからというもの、その飛躍の幅は今までの人生の比ではなく、闇を視れば視るほど筋トレと一緒で土台から強くなり、さらにより高い視点へと私を連れ

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第117話 記憶の音を奪還しに行く

第117話 記憶の音を奪還しに行く

 ぐるぐると目眩がしてる。さっきから部屋が回ってる。頭痛も腹痛も酷く、左右の肋骨の下がゴリゴリと鳴るように擦れて、そこから闇が上がってくる。

 一日を通して、目を閉じて瞑想状態になると、脳裏に頻繁に“警察官”の姿が出てきた。交番前に立っている姿、オートバイや、あるいは白バイに跨っている姿、それから歩道や施設内にいる姿……。
 慎重にその正体を見つめていくと、やはり彼らは男性原理社会のメタファーだ

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第115話 ミイラ取りがミイラ

第115話 ミイラ取りがミイラ

 四次元の、光と闇とを混同していた。

 このころの私はまだ、あれほど毎回集合意識の闇と闘ったりもしてきたのに、それでも“そのこと”を混同していた。日々内観し精査して、一つ一つを確認すればするほど逆に、高次四次元体であっても全てが怪しく思えてきた。

 夢の中で闇と闘い闇へと愛を込めたあと、次に場面が変わって見えたのは、体育館の高さくらいの石膏のような聖母マリア。
 本来だったらミカエルと共に出て

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第114話 反乱分子よ気高くあれ

第114話 反乱分子よ気高くあれ

 ここのところ、肉体と幽体との関係性がまた色々と変わってきた。

 例えば内観を本格的に始めたウエサクの頃、自分主観の悲しみの感情はハートチャクラ(第4チャクラ)で感じることが多かった。それが最近では、ある時はセイクラル、ある時はソーラープレクサス(同第2、第3)で、悲しみに“似た物”を感じている。
 かつて一度、イワナガヒメと同期していた時も、やはりその悲しみは第三チャクラからやってきていた。

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第113話 異次元タイムキーパー

第113話 異次元タイムキーパー

 ツインレイとは『対の霊』。女性である私が黄泉まで潜って見えない世界で奮闘しているのと呼応して、ツインレイ男性は現実崩壊を乗り越える側を担っていると言われている。
 今朝の夢は果たして、その彼が今、現実崩壊に遭遇しているというお知らせだろうか……。

 どこかのフードコートのような場所で、スサナル先生が保護者のお母さんたち三人程に囲まれている。
 珍しくいつもの弁が立つ姿は身を潜め(ひそめ)、どう

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第112話 「性の大きさは命の大きさ」

第112話 「性の大きさは命の大きさ」

 父の新盆の相談で、母から電話がかかってきた。口では母は、「こんな時勢だから無理して来なくていいよ。」と伝えているのだけど、そこに留まらない“念”のようなものを奥に感じる。

 離婚したのだから、戸籍をこっちに戻したらいいのに……。

 それこそ“血の念”のような、触手のような気持ち悪さを感じた。一度は家系のカルマワークを受けているというのに、相変わらず母に対して、前と全く変わっていない苛立ちを感

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第111話 白を纏って黒へと潜る

第111話 白を纏って黒へと潜る

 シャボン玉色の淡い光の太陽の元、私とあの人とが踊っている。

 今とは姿の違うスサナル先生が、こちらも姿の違う私を見つけると、“彼女”はくるくると回っている間に外見を少し変えた。
 すると今度は“彼”も外見を少し変え、二人は交互にちょっとずつその姿を変えていくと、やがて真っ白い服を着た私とあの人になって手を取って踊った。

「最後には、参加者全員がウェディングドレスになっていました」と報告のあっ

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第110話 観音の手

第110話 観音の手

 生ぬるい気温の中を、ぽつぽつと弱い雨が降ってたり止んだりしている。通りに面したゴミ捨て場にその日収集のゴミを捨て終わると、歩いてくるけーこの存在に気がついた。ペットに引っかかれて穴の開いた、おまけに毛まみれの上着を着ていて、傘の代わりにフードを被って雨を凌いでいた。
 なんとなく、お互いにちょっとだけよそよそしく、だけど自然に手を振り合った。

「……で、ひみは、夏至は?」

「前に少し話したと

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第107話 蠢く

第107話 蠢く

(うごめく)

 彼女たちが浄化のために用意していたエネルギー場とは、明かりひとつない真っ黒い空間に浮かぶ、ごく薄手の円筒を縦に起こしたもの。例えていうなら、さつまいもの天ぷらを立てたような形状のものだった。大きさは観覧車くらいだろうか。

 そのお芋の皮の部分。円の外側を、さっきからずっと別の私……ライトボディーの光の私がくるくると何周も回っているのを、こちら側の私が眺めている。
 そしてそのも

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第106話 幽閉してきた代償

第106話 幽閉してきた代償

 あきらの妊娠後期、その胎内の羊水の中で大きくなった身体に“伸び”をされるようになると、はっきりとお腹の形が斜めにグニョンと曲がって、手だの足だので押されていることが見てわかった。

 今、どういう訳だかそれと同じようなことが起きている。スサナル先生からの教えを意識しながらお風呂の中で観察すると、まるで胎児が中にいるかのように、ゆっくりと、しかし派手に盛大に、お腹全体の皮膚が大きく移動する。(※)

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