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第119話 rescue me
これは本当だろうか。
一体いつのことだろう、殺された私の過去世が見えた。出てきたビジョンを忘れないように日記帳に書き記していると、やはり止めどなく涙が出てきて息苦しくなることからも、おそらく間違いではないと思った。
だからいつものように探りに行くと……。
その時の私は北欧の小さな町に住む、二十歳前くらいの若い女性。記憶の中を漂いながら、今世の子宮の傷と、それから喉が弱い原因はこれかもしれないと思った。
当時の私は性被害に遭ったのちにそのまま殺されて、冷たい湖の中へと沈められてしまったらしい。相手のこともわからなければ、詳しい状況もわからなかった。それでも伝わってきたのは、最期、首に錘(おもり)をつけられていたということ。
過去世の私は死体もあがらなかったんだ……。
“私”の意識が湖底に沈んだ彼女のことを発見すると、そこでようやく解放されて、一気に浮上していった。明るく陽の射す水面へと一直線に上がっていく彼女のことを、まるで人魚のようだなと思いながら見上げた。
ん?誰かいる。
文字通りに、浮かばれていったその娘のことを、抱きかかえて陸へと運んでくれた人がいた。首元に青いあざを作った“私”のことを太い腕で掬いあげ、膝くらいの水の中を、ザッザッと歩いていく大きな男の人。
この人は一体誰だろう。スサナル先生なのかな。ツインレイが過去の波動の地球の中でも、稀に出会えていた話は聞くけど、私たちもそうだったのかな。
その真相がわかったのは、またほんの少し間が空いてから。
ある時下腹部に痛みが上がってきたので、その痛みを感じることにフォーカスしながらその内面を観察していた。すると驚いたことに、普段の私よりゆったりした低めの声で、その彼女が私の口から喋り出したのだ。
「私は長いことそこに沈められていたの。もうきっと、死体も誰にも見つからないだろうって思ってた。」
そんなことを自分が喋り出すなんて、最初は本当に、これはとんでもない妄想ごっこかもしれないとさすがに自分を疑った。
なぜならこんな、一番証拠がないようなことを喋り出しても、まるでなりきり遊びのようでしかなく、正直この時は自分で自分のことをどうしよかと思ったのだ。
そこでひとまず、『無』になってみようと考えた。私の思考を使わずに、完全に無となり明け渡してみる。
彼女が長いこと沈んでいたであろう私の子宮を見つめながら、その上で、“こっち側”の私の意識は彼女の思考をいじらずに、介入しないように気をつけながら、質問してみようと考えてみた。
「……みんなが私を探していたの。だけど錘のせいで、結局私は沈んだままだった。」
……でもさ、最後はあなたを抱えてくれた人がいたでしょ?
「その人が来てくれて、私はようやく帰れた気がした。」
……それって誰?スサナル先生?
「わからない。その人ではないと思う。」
……あなたのお父さんとか?兄弟とか?
「お父さんじゃないと思う。たぶん兄弟でもない。」
……知ってる人かどうかもわからない?
「わからない。思い出せない。」
……うーん、スサナル先生、お父さん、兄弟、あとは……じゃあ、恋人とか?
「!!」
肋骨の下がゴリゴリッと激しく擦れると、いきなり激しく嗚咽した。
「そうよ、そう。どうして忘れていたんだろう。あの人は私の、私の恋人だった人。」
それ不動さんだ!!
今度は私がびっくりした。根拠なんて何もないけど、パーンと彼だと直感した途端、今度は私が泣き出した。
その時の過去世の私をずっと探してくれてたんだ。あれからずっと私を探し、最後は迎えに来てくれた人。
そんな彼がビジョンで指さした先にこそ、スサナル先生が待っていたのだ。時代を越え、転生を越え、不動さんへと生まれ変わった当時の彼に手をひかれて、今の私はスサナル先生のところへと連れてきてもらったことになる。
魂の世界の繋がりとは本当に、深淵で計り知れないと思った。
そしてとても後になってから、その当時の彼の気持ちが実は彼女から離れ始まっていて、他に好きな人がいることを彼女は察していたこと。だけど彼は、自分が彼女を捨てなければ、あるいは失踪などせずに済んだのかもしれないと、葛藤していたことなどがわかった。
過去世を知るということは、魂のもつれを解く(ほどく)ということなのだと、改めて思い知った出来事だった。
私の過去世のアルバムの中には、結ばれなかったちょっぴり切ない愛の話が眠っていた。
written by ひみ
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実話を元にした小説になっています。
ツインレイに出会う前、出会いからサイレント期間、そして統合のその先へ。
ハイパーサイキックと化したひみの私小説(笑)、ぜひお楽しみください。
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このお話を書いている時、マライアキャリーの♪Dreamloverという曲が頭の中に流れてきました。
そこで、和訳サイトを検索した上で私の心の奥に見つかったのは、当時の私の彼への未練。すでに自分に対して気持ちがなくなってきた彼が、それでもいつか私を救いに来ることを夢見ている歌。
♪dreamlover come rescue me(夢の恋人が助けに来てくれるの。)って歌ってます。
なのでそこからタイトルを拝借。
その想いは最後、確かに彼に救い出されることで一応叶うのですが、“不動さん”という現在の彼の態度に、今世の私は求める答えを見つけることができませんでした。
でもね、それでも当時の彼は、突然いなくなった私を必死で探してくれたんです。それがきっかけかのか、形は変えたけど、理学療法士として人を救う仕事に就いている現在に繋がっているようです。
meetooをはじめた頃の記事で私は、目の前の人間関係がツインレイにとって全部大切だと書きました。意味のない関係などありません。『すべての人間関係がツインレイに通ず』、です。目の前の人間関係をやりきってください。
うーん、今回も、rescue meが119番へと繋がってしまいましたよ。怖い怖い笑
不動さんとの出会いから彼との間の不思議体験を経て、スサナル先生へとバトンが繋がっていくのは第16話『ツインレイ』から続いていきます。お楽しみください。
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←今までのお話はこちら
→第120話 8の字の真ん中はあの人の真ん中
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