臨床心理士 箪笥【from Container Counseling Spot】
記事一覧
たんすの本棚〜マガジンラインナップ〜
マガジンについてテーマ別に連載の形式でマガジンを作成しています。
いくつかのマガジンを同時並行で連載しておりますが、クライエントとカウンセラーのやりとりが登場するものに関しては、有料での公開としています。
やりとりの流れを公開することに対しては、クライエントの方々に了承いただいており、また個人が特定できないようにかなりの加工を施してはいます。
ただ、やはり不特定多数の人がいつでもアクセスできる状
「日常」と「非日常」
非日常の世界に行くことで、日常も頑張れる。
夢の国に行ったり、好きなアーティストのライブに行ったり、自己啓発のワークショップに行ったりして、精神的なエネルギーを充電して、またつらい日常を頑張る。
そういうサイクルで生活を回していく人は多いと思うのだけれど、そこに、なんとなく違和感を覚えた。
古くから、日本には、ハレとケという考え方がある。
ハレ(晴れ)は冠婚葬祭や年中行事などの特別な日をさ
現代の子どもたちが求めているもの
現代の社会におけるつながりとは、どういうものなのだろう。
春、新たな出会いがある。
特に、若い人たちと話すと、新たな気づきがある。
最近驚いたのは、「地元」や「地域」という感覚の薄さである。
生まれた時からスマホやSNSがある世代の子たちが、もう新入社員として配属になってくる。
そんな彼らの話を聞いていると、地元や地域でつながる、ということより、趣味でつながる、ということを自然におこなっ
箱庭を制作した後のやりとり
箱庭は、言葉では表現できないことが表れると言われる。
だから、それを無理やり言葉にすることは、あまり好ましいことではないのかもしれないけれど、実際の臨床では、箱庭を作ってもらった後に、箱庭について話してもらうことが多い。
でも、話してもらった際には、うまくいく時とうまくいかない時があり、それは、クライエントとセラピストの間の関係性による部分も大きいように思う。
うまくいかない時は、
箱庭につ
何も変わっていないけれど、明日もなんとか生きていける
人間の悩みというのはほとんどすべて人間関係の悩みである、というようなことを、アドラー先生が言っていたような気がするけれど、たしかにそうだよなあと思うことがある。
そして、その人間の悩みのほとんどすべてを占める人間関係の悩みというのは、ほとんどの場合、解決することはない。
上司が嫌なやつだったとして、その上司をいいやつにすることなんてできない。
隣の席の先輩の声の周波数が、どうしても耐えられな
とらわれのことが少し気にならなくなる
頭を空っぽにするための方法を考えることがある。
頭が空っぽになりさえすれば、物事のほとんどはうまくいくような気がしている。
ほとんど全ての人は、何かにとらわれている。
そのとらわれている何かとは、目の前の仕事かもしれないし、子育てかもしれないし、介護かもしれないし、どうしても癇に障るあの人かもしれない。
あるいは、過去の親との関わりかもしれないし、友人や恋人に裏切られたトラウマかもしれない
説明しようとしてズレる
歩くのが好き。
なぜ好きなのかというのを説明しようとして、少し躊躇する。
いつもの感覚。
カウンセリングで、子どもたちとかけがえのない時間を過ごす。
それは、自分にとって、価値があると信じることができるし、子どもたちにとっても、価値があると信じることができるものである。
子どもたちと自分との間では、そこまででしかない。
それで終わり。
なのだけれど、子どもたちがクライエントの場合には
「あなたには価値がある」ということを伝えるだけ
世の中には、自分と合わない人なんて、いくらでもいる。
自分と合わない人とやりとりをすると、やっぱり傷つくことなんかがあったりして、落ち込んだりもする。
「あの人はなんでこんなことを言うんだろう」と考えたりすることもあるけれど、それは、その人のことで頭がいっぱいになってしまって落ち着かない自分が、ただ自分が落ちつくための理由を探しているだけであって、本当にその人に寄り添って、その人の背景を考えよ
いつも何かに追われている人へ
いつも、何かに追われながら生きているような気がしている。
何かに追われながら、とりあえずあの場所まで到達すれば、何かが得られるような気がして、必死で走る。
目指していた場所まで到達してみると、一旦はホッとするのだけれど、またすぐに何かに追われる。
目指した場所に到達した喜びを噛み締めることはほとんどできないまま、ずっと追われていた何かがどこかに消えたことにただ一瞬だけホッとして、また新たに現
頭がごちゃついている状態
頭の中がごちゃついていることがある。
ごちゃついていることがある、というより、だいたいごちゃついている。
頭の中が整理されていると、ただそれだけで、自分が進みたい方向に自然に進めるような気がする。
世の中には自分以外にも、頭の中がごちゃついている人は、結構いるんじゃないかなあという気もする。
今はなんとなく、頭の中がごちゃついているとき、「自分は今頭がごちゃついているなあ」ということを意識
重きをおくということ
何事にも重きを置かない生き方をしたいと考えることがあります。
何事にも重きを置かないなんて、
そんなことはおそらくはできません。
「何事にも重きを置かない!」
と意識している時点で、
それはもうそこに重きを置いています。
カミュ『異邦人』の主人公ムルソーは、
共に一夜を過ごした女性から
「私のことを愛しているか」
と聞かれて、
「おそらく愛してはいないと思う」
と答えます。