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間合いについて考えることがある。

戦闘などでの間合いではなく、話をするときの間合い。

少し前に、雑談力なんていう言葉が流行ったことがあったけれど、雑談の間合いとお悩み相談の間合いは異なる。


カフェなんかで、バリスタがコーヒーをドリップする間に、少し雑談したりする。

あるいは、保険の営業を受ける時に、本題に入る前に少し雑談したりする。

また、エレベーターで会社の上司とちょうど一緒になったときなんかに、少し雑談したりする。

この間合い。

これは雑談の間合いである。


一方、カウンセリングなどで相談を受ける際の間合いは、雑談の間合いとは異なる。

はじまりは雑談の間合いから入り、少しずつ間合いを詰め、最終的にはほぼ密着しているくらいの間合いでのやりとりになることもある。

これを相談の間合いとしておく。

相談の間合いは、ものすごく親しい間柄でないと基本的には起こり得ない。

たとえばそれは、恋人同士だったり、親子だったり、親友だったり。

それが、ほとんど初対面の、知らない人との間で展開されるというのが、カウンセリングの特殊性であるように思う。

相談の間合いでやりとりするような関係の人は、基本的には長期的な関わりを前提とした人である。

恋人や、親子や、親友や、学校の先生などもあるかもしれないが、それらは、その後も関係が続いていくことを前提として、相談の間合いでやりとりをする。

しかしながら、カウンセリングでのやりとりは、長期的な関わりを期待したものではない。

カウンセリングに来なくていいような状態になることを目指してやりとりをするし、「もう行かない」と決め込めば、ぶちっと関係が断絶したりもする。

ほとんど密着するような相談の間合いでのやりとりが起こるにもかかわらず、それは継続的なかかわりを前提としていないし、恋愛関係に移行することもない。

そんな、ある種特殊な関係だからこそ、話せることがある。

いつでも離れられるし、自分が話したことが他の人間関係に影響を与えることもない。

そんな関係の中で、自由に、自分が思うことを話し、受け止めてもらう。

それは、カウンセリングでしかできないことかもしれない。


カウンセラーは、話を聞くことの専門家で、クライエントと会話をすることが仕事であるにもかかわらず、カフェなどのオープンな場での雑談が苦手な人も多いような印象である。

それは、場と間合いの違いというのがあるのかもしれないと感じた、そんな土曜の朝。


オシャレなバリスタがすまし顔でカウンターに立っているカフェにて

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