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編集ブランコ6-仕事の恩人
恩師は学校の先生ばかりではない。仕事の恩師もいる。こちらは一生の糧を得るためだから恩人と言える。
僕は大学受験に失敗して家を飛び出し、18歳で版下屋という仕事に就いた。印刷機にかける刷版の元の台紙を作る仕事だ。割付どおりに台紙に図版を描いて活字の写植を貼り付ける。フィニッシュ・アートとも言った。その仕事の上司が僕の恩人である。その人と出会っていなければ、今日の僕はなかったと思う。
名前はス
編集ブランコ4-”書き屋” という病気
かの出版社の社長室。呼ばれて入ると、いきなり「君は今日から社長室長だ。給料は変わらない、いいか」と、社長が山積みの本のデスクの向こうからゴルフ焼けした赤黒い首だけをのぞかせて、いつもの命令口調で言った。
僕は、ほんの二、三日前に大きな誤植を指摘されてひどく怒られたばかりだった。もちろん、そのゲラは目の前で破られ、僕は再び印刷所に清刷を頼まなければならなかった。だからまた誤植があったのかと思い、