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#328 「学び直し 世界が競う 出遅れる日本 所得格差が壁に」を読んで

6月6日(日)の日経新聞朝刊1面の記事を読んで、メモ。


1、どんな記事?

「学び直し 世界が競う 出遅れる日本 所得格差が壁に」という記事で、新型コロナウイルスの感染収束後の経済成長に向け、DXが加速する中、欧米主要国が人材の「学び直し(リスキング)」を競っている。一方で出遅れる日本は公的支援の改善が課題だ、という内容です。

記事中ではOECDのデータから、学び直しと生産性は一定の相関関係があるとし、仕事に関する再教育へ参加する人の割合が高い国ほど時間あたり労働生産性が高くなっていることを示しています。

例えば、仕事関連の再教育への参加率が50%を超えるデンマークやスウェーデンなど北欧は生産性も上位となっています。

両国とも共通するのは政労使が連携した訓練の充実で、解雇規制が緩やかな一方、再就職支援の組織も充実し、成長産業にスキルを持つ人材が移動しやすい環境です。

日本については、再教育の参加率は35%とOECD平均より5ポイント少なく、生産性は北欧各国の半分程度で37カ国中21位にとどまり、出遅れています。

これに対し、民間は対策に動いているものの、「勤務先でスキルが習得できているか」とのアンケートに、年収1,000万円位以上の人の54%は肯定的だったが、年収300万円未満は28%にとどまったとする結果から、スキルの活用度合いは年収に左右されます。

所得格差を縮めるには公的支援の役割が重要ですが、現状では国や自治体が提供する職業訓練は行政主導でカリキュラムを作り、現場のニーズとずれがちであると指摘しています。

記事は最後に、以下のように結んでいます。

生産性向上に必須のスキルを幅広い人材が高められる仕組みを整えなければ、コロナ後の国際競争で出遅れる恐れがある。


2、まとめ(所感)

いかがでしたでしょうか?

欧米諸国では、不足する職種、現在では特にIT関連の人材を充実させるために、国、企業、従業員が協力し合い、必要なスキルを持った人材を成長産業にシフトしていけるような仕組みを整え、効果を出している。
一方で、日本は、民間に任せられていることに加え、年収による差が認めらる、という内容の記事でした。


が、今回の記事で学び直しがうまくいき生産性が高い(必ずしもそれだけが原因とも言えない気はしますが)とされる北欧諸国と日本との最大の違いは、国が提供する職業訓練の内容や、年収の差、などではなく、「緩やかな解雇規制」ではないでしょうか?

ニワトリタマゴではありますが、「辞めさせることができる」から「新しい事業モデルに必要な人材を採用できる」のであり、辞めてもらう前提として「充実した学び直しの機会を整備、提供する体制」が必要、ということです。

日本で、今のままで「学び直し」の機会だけ提供したところで、意欲のある若手は活用するかもしれませんが、分厚い中高年層に動機付けをする仕組みがないことには、いくら良い教育プログラムでも効果を発揮することは難しいでしょう。

この、「辞めさせることの企業側の権利」の拡充(というか、適正なレベルへのリバランス、ですね)なくして、学び直して新しい仕事へ、という流れを作ることは難しいのではないでしょうか?

変な話ですが、今の中高年は(自覚しているかいないか別として)終身雇用制度の残存者利益を謳歌しているので、わざわざ学び直して未知の世界へ、という人の割合はかなり少ないのではないでしょうか?

もう、目覚ましは鳴っているのですが…


最後までお読みいただきありがとうございました。

記事の紹介+40代である私の独断と偏見と危機感の内容でしたが、どこか参考になるところがあれば幸いです。

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