碇邦生(九州大学ビジネス・スクールQBS/合同会社ATDI)

九州大学ビジネス・スクール(QBS)の教員&大学発シンクタンクATDI代表。(主なトピ…

碇邦生(九州大学ビジネス・スクールQBS/合同会社ATDI)

九州大学ビジネス・スクール(QBS)の教員&大学発シンクタンクATDI代表。(主なトピック:採用や育成等の人材マネジメント、新規事業開発など)※日経電子版キーオピニオンリーダー ※コメント返信は原則控えています。質問はTwitter(@IkariOita)へお願いします。

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記事一覧

半導体で盛り上がっているが長期的なストーリーは描けているか?

半導体産業で盛り上がる九州の産学界 TSMCの進出によって、最近の九州は「台湾」「半導体」の2つが大いに盛り上がっている。筆者の勤務する大学でも半導体人材を育成する…

成長するスタートアップで産業の新陳代謝は起きるのか?

スタートアップが雇用を生む ここ10年余りの人材業界で最も大きな変化の1つが、スタートアップ企業への就職のハードルの低さだろう。かつては、ベンチャー企業やスター…

同意無い異動はいつまで続けられるのか?

転勤への手当てを厚くして社員の負担を軽減 日本経済新聞の記事によると、明治安田生命やみずほFGをはじめとして、転居を伴う異動(いわゆる、転勤)に対して、手当を厚く…

グローバル化で日本企業だからと言って日本人が中枢にいられるとは限らなくなる

グルーバル化と経営幹部の国際化 ファーストリテイリングが2030年をめどに、外国人管理職を8割に引き上げ、執行役員の外国人比率も4割にすると発表した。ファーストリテ…

「昔は苦手だった」を得意とするビジネスリーダーは多い

「苦手な仕事」を強みにした人は多い 日経COMEMOの企画にて、「#苦手な仕事克服のコツ」というテーマで記事が募集されている。誰でも苦手だなと思う仕事はあるだろう。そ…

様々なタイプの起業家がスタートアップを活性化させる

起業家のバリエーションが増えてきた 一昔前までは、起業家、特にスタートアップの起業家というとITや先端テクノロジーを駆使する20代~30代の若者というイメージが強かっ…

1人で開発した「コーヒー店経営ゲーム」が世界的なヒットとなる時代

iPhoneでヒットを飛ばす「コーヒー店経営ゲーム」 iPhone向けの有料ゲームで、米国在住の日本人クリエイターが1人で開発した「Coffee Inc 2」が世界的なヒットを飛ばして…

ファミレスの都市部展開、コロナ前のリベンジなるか?

コロナ禍もひと段落して元気が出てきた外食産業 外食産業にとってはまさに天災だった新型コロナウイルスも5類に移行し、飲食店もかつての賑わいをみせてきた。私の住む九…

サイヤ人式で仕事のキャパシティを増やし、モチベーションを高める

武器となる「バイタリティ」を如何に身につけてきたか 日本経済新聞とnoteが共同で開催している「仕事や働き方」に関するお題企画にて、「#仕事のコツ」をテーマとして記…

外国人労働者の長期的なキャリアの構築をどうするか?

順調に増え続ける外国人労働者 日本で暮らす外国人が国の予測を超えるペースで増えているという。このことは普段の生活からも実感する人が多いのではないだろうか。一昔前…

地方都市は外国人受け入れの基本方針をどう設計すべきか?

人手不足と外国人受け入れ 労働人口の減少からくる人手不足は深刻だ。特に、地方部における中小企業や農水産現場の人手不足はまったなしの状態に陥っている。「人手不足倒…

世界にトビ立て、日本の焼き鳥文化

「鳥貴族」が世界進出 庶民の味方で格安で美味しい焼き鳥が楽しめる居酒屋フランチャイズ「鳥貴族」が本格的にグローバル事業に乗り出す。まずは米国で直営店を出し、同時…

商用車の改造EVは日本らしいEVシフトのあり方かもしれない

中古車を改造して宅配EVに EVシフトの話題はとてもセンシティブだ。ニュースに上がるたびに、賛否両論が沸き上がる。特にビジネス系雑誌では、EVシフトで困難に直面したと…

「食」と「農」は日本の次世代基幹産業候補

アメリカで日本のイチゴ 日本発の農業スタートアップ企業オイシイファームが200億円を調達し、日本のイチゴを米国で栽培し、販売するビジネスで注目を集めている。イチゴ…

地銀であっても「学生が応募してこない」、地方企業の採用の厳しさ

地銀の初任給引き上げ 世界的な物価上昇に伴い、数年前から日本企業でも賃上げに積極姿勢を見せる企業が増えてきた。賃上げの動機は大きく2つあげられる。 1つは、物価…

「出向起業」で鳶が鷹を生め!

会社ではできないけど挑戦したい思いをどうするか? 勤め人であっても、本気で物事に取り組んでいると、「組織の事情で挑戦できないが、どうしてもやりたい」何かと出会う…

半導体で盛り上がっているが長期的なストーリーは描けているか?

半導体産業で盛り上がる九州の産学界

TSMCの進出によって、最近の九州は「台湾」「半導体」の2つが大いに盛り上がっている。筆者の勤務する大学でも半導体人材を育成するコースが新設され、熊本大学では新たな学部までできた。そこに将来性を感じてか、長年の課題であった理工系の女子学生不足を払拭するかのように3割とダイバーシティも進んでいるという。
TSMCのおかげで、大学も経済界も大いに活気付いている形だ

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成長するスタートアップで産業の新陳代謝は起きるのか?

スタートアップが雇用を生む

ここ10年余りの人材業界で最も大きな変化の1つが、スタートアップ企業への就職のハードルの低さだろう。かつては、ベンチャー企業やスタートアップ企業への就職はリスクのある選択として考えられていた。内定はもらったものの、両親や親族、家族からの反対で入社を諦めたという声も珍しいものではなかった。いまでもまだその風潮が完全に消えたわけではないが、スタートアップ企業への就職は当た

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同意無い異動はいつまで続けられるのか?

転勤への手当てを厚くして社員の負担を軽減

日本経済新聞の記事によると、明治安田生命やみずほFGをはじめとして、転居を伴う異動(いわゆる、転勤)に対して、手当を厚く支給しようという動きが広がっているという。転勤が従業員の人生設計に及ぼす影響は大きい。特に、記事にもあるように転勤によって配偶者がキャリアを諦めざるを得ない状況に陥ることは社会的な問題でもある。

一方で、少し古い人事制度を知っていると

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グローバル化で日本企業だからと言って日本人が中枢にいられるとは限らなくなる

グルーバル化と経営幹部の国際化

ファーストリテイリングが2030年をめどに、外国人管理職を8割に引き上げ、執行役員の外国人比率も4割にすると発表した。ファーストリテイリングは、今や日本を代表する世界有数のファストファッションブランドだ。海外でも高い評価を得て、ファーストリテイリングのブランドである「ユニクロ」は欧米とアジアを中心に事業展開を広げている。

ここ30年間で大きく成長してきた日本企業

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「昔は苦手だった」を得意とするビジネスリーダーは多い

「苦手な仕事」を強みにした人は多い

日経COMEMOの企画にて、「#苦手な仕事克服のコツ」というテーマで記事が募集されている。誰でも苦手だなと思う仕事はあるだろう。それが、性格や個性に繋がっている人も少なくない。
例えば、ADHDの傾向がある人はコツコツとした仕事やミスが許されない堅実な仕事が不得手だ。また、ASDの傾向がある人は人の出入りが激しい仕事や突発的なイベントが多く定型的な要素の少ない

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様々なタイプの起業家がスタートアップを活性化させる

様々なタイプの起業家がスタートアップを活性化させる

起業家のバリエーションが増えてきた

一昔前までは、起業家、特にスタートアップの起業家というとITや先端テクノロジーを駆使する20代~30代の若者というイメージが強かった。代表的な起業家は、24歳でサイバーエージェントを立ち上げた藤田晋氏や、32歳で楽天(当時はエムディーエム)を立ち上げた三木谷浩史氏だ。そして、成功した起業家はそのまま自分の会社の経営者を継続するか、バイアウトをして投資家として起

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1人で開発した「コーヒー店経営ゲーム」が世界的なヒットとなる時代

1人で開発した「コーヒー店経営ゲーム」が世界的なヒットとなる時代

iPhoneでヒットを飛ばす「コーヒー店経営ゲーム」

iPhone向けの有料ゲームで、米国在住の日本人クリエイターが1人で開発した「Coffee Inc 2」が世界的なヒットを飛ばしている。「アップストア」の有料ゲームアプリランキング1位を獲得し、世界150ヶ国以上で売れている。
開発したのは、野田智博氏だ。18年に「Side Labs」を起業し、ひとりでゲーム開発を始めた。

なぜ、独りで開発

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ファミレスの都市部展開、コロナ前のリベンジなるか?

ファミレスの都市部展開、コロナ前のリベンジなるか?

コロナ禍もひと段落して元気が出てきた外食産業

外食産業にとってはまさに天災だった新型コロナウイルスも5類に移行し、飲食店もかつての賑わいをみせてきた。私の住む九州ではインバウンド観光客の増加もあって、繁華街はかなりの賑わいをみせている。週末などは、少し気の利いた店に入ろうとおもうと、前日予約をしないと満席だ。
ファミリーレストラン業界も、物価上昇という逆風はあるものの、友人や家族と楽しむ日常生活

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サイヤ人式で仕事のキャパシティを増やし、モチベーションを高める

サイヤ人式で仕事のキャパシティを増やし、モチベーションを高める

武器となる「バイタリティ」を如何に身につけてきたか

日本経済新聞とnoteが共同で開催している「仕事や働き方」に関するお題企画にて、「#仕事のコツ」をテーマとして記事が募集されている。「新社会人の方々に向けて、あなたのノウハウを投稿してみませんか?」ということだ。
さて、そうは言われたものの、自分を振り返ったときに「仕事のコツ」として自慢できるようなものは何があるのか、改めて考えると結構悩ましい

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外国人労働者の長期的なキャリアの構築をどうするか?

外国人労働者の長期的なキャリアの構築をどうするか?

順調に増え続ける外国人労働者

日本で暮らす外国人が国の予測を超えるペースで増えているという。このことは普段の生活からも実感する人が多いのではないだろうか。一昔前と比べて、首都圏だけではなく、日本全国で外国籍の住民を目にする機会は飛躍的に増えている。特に、アジア圏の人々にとって、日本で暮らすことの魅力は大きい。差が縮まっているとはいえ、日本の平均所得は多くのアジア諸国よりも高水準で、治安が良く、先

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地方都市は外国人受け入れの基本方針をどう設計すべきか?

地方都市は外国人受け入れの基本方針をどう設計すべきか?

人手不足と外国人受け入れ

労働人口の減少からくる人手不足は深刻だ。特に、地方部における中小企業や農水産現場の人手不足はまったなしの状態に陥っている。「人手不足倒産」という、仕事はあるが、従業員不足から業務遂行が困難になる事例も珍しいものではなくなってきた。
人口減少からくる人手不足は採用活動をいくら頑張っても解消しない。そもそもない袖は振れないためだ。そこで、業務の担い手として外国人の受け入れを

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世界にトビ立て、日本の焼き鳥文化

世界にトビ立て、日本の焼き鳥文化

「鳥貴族」が世界進出

庶民の味方で格安で美味しい焼き鳥が楽しめる居酒屋フランチャイズ「鳥貴族」が本格的にグローバル事業に乗り出す。まずは米国で直営店を出し、同時に台湾と香港に出店し、アジアでの展開を広げていく方針だという。
日本の飲食フランチャイズの世界展開も珍しいものではなくなってきた。古くは世界に「牛丼(Beef Bowl)」文化を創った吉野家を筆頭に、ラーメンの一風堂、焼き肉の牛角、うどん

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商用車の改造EVは日本らしいEVシフトのあり方かもしれない

商用車の改造EVは日本らしいEVシフトのあり方かもしれない

中古車を改造して宅配EVに

EVシフトの話題はとてもセンシティブだ。ニュースに上がるたびに、賛否両論が沸き上がる。特にビジネス系雑誌では、EVシフトで困難に直面したという海外のニュースを見つけると「それみたことか!」と鬼の首を取ったような記事を掲載する。しかし、嫌だろうがなんだろうが、EVシフトは来てしまう現実だ。
まず言っておくと、私個人の趣味としては内燃機関が大好きだ。好き好んで10km/L

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「食」と「農」は日本の次世代基幹産業候補

「食」と「農」は日本の次世代基幹産業候補

アメリカで日本のイチゴ

日本発の農業スタートアップ企業オイシイファームが200億円を調達し、日本のイチゴを米国で栽培し、販売するビジネスで注目を集めている。イチゴ農家というとハウス栽培のビニールハウスの中で土に苗が植えてあるイメージが強いだろう。しかし、農業テクノロジーの発展は目覚ましく、米国内で日本産のような甘いイチゴを完全無農薬の工場で生産することを可能としている。ロボットとAIを活用し、作

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地銀であっても「学生が応募してこない」、地方企業の採用の厳しさ

地銀であっても「学生が応募してこない」、地方企業の採用の厳しさ

地銀の初任給引き上げ

世界的な物価上昇に伴い、数年前から日本企業でも賃上げに積極姿勢を見せる企業が増えてきた。賃上げの動機は大きく2つあげられる。
1つは、物価高で従業員の生活が厳しくなるため、生活支援とモチベーション低下を防ぐための賃上げだ。もう1つは、人材獲得競争が激しくなる中で、条件を良いものとしなくては応募者が集まらない問題だ。
後者の理由からくる賃上げは、特に新卒採用でみられることが多

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「出向起業」で鳶が鷹を生め!

「出向起業」で鳶が鷹を生め!

会社ではできないけど挑戦したい思いをどうするか?

勤め人であっても、本気で物事に取り組んでいると、「組織の事情で挑戦できないが、どうしてもやりたい」何かと出会うことがある。それは会社員もそうだし、大学教員もそうだ。私の場合は、学生の起業に対して授業の枠にとらわれない支援がしたく、同時に企業に対しても直接的なかかわり方を通して自分の研究成果の実践がしたくなり、教員をしながら会社も作った。組織には組

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