碇 邦生(大分大学/合同会社ATDI)

大分大学経済学部の教員&大学発シンクタンクATDI代表。(主なトピック:採用や育成等の… もっとみる

碇 邦生(大分大学/合同会社ATDI)

大分大学経済学部の教員&大学発シンクタンクATDI代表。(主なトピック:採用や育成等の人材マネジメント、新規事業開発など)※日経電子版キーオピニオンリーダー ※コメント返信は原則控えています。質問はTwitter(@IkariOita)へお願いします。

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外国人材が日本で働きたいと思う魅力をつくれているか?

「外国人材=中国」は過去の話 少子化による人口減少に起因する人手不足のなかで、外国人材を幅広く受け入れようという動きが進んでいる。その中で、日本で働きたいと考えてくれる国が時代とともに変化している。 10年ほど前は、外国人材というと中国と韓国の出身が多かった。しかし、近年では東南アジアからの人材が増えているという。特に増加傾向にあるのが、ベトナム、ミャンマー、ネパールだ。特に、ミャンマーとネパールは今から10年前に低廉な人件費を求めて、新たな生産拠点を築こうと多くの日系企業

    • 生成AIで教員の働き方が変わるか?

      生成AIで教員の働き方改革を目指す 文科省は生成AIを活用して、教員の長時間労働を効率化し、働き方改革を推進する実証事業を9月からスタートさせるという。 教員の労働環境の悪さは、近年、問題になっている。学生や保護者からは教員の仕事は授業だけにみえるが、実際には入試や進路指導などの学校運営や部活動の顧問、学内行事の企画・運営、地域の活動など多岐に及ぶ。業務過多で残業や休日出勤が常態化し、サービス残業として隠れて働いていることも少なくない。 生成AIの活用によって、特に事務作

      • 説明会はメタバースが当たり前になるか?

        多くの学生が説明会で何を情報収集すべきかわかっていない 勤務校でもそうだが、他の大学の学生から就職活動の相談を受ける中で、数十年前から変わっていないなと感じることの1つが会社説明会に臨む学生の態度だ。世の中にどのような企業があるのかという知識が不足し、尚且つ、自分がどのような業界や職種に興味があるのか、就職活動が本格化する3年生の夏休み前に固まっている学生は少ない。 多くの学生が企業を知り、業界や職種の興味を固めるのが会社説明会だ。企業が単体で行うものもあるが、就職活動を

        • 有給インターンシップで人材の流動性を高める

          圧倒的に足りないIT人材 世の中の急激なDXが進む中、IT人材の不足は深刻さを増している。経済産業省が2016年に公表した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査」では、2030年には最大で約79万人のIT人材が不足する試算だとしている。IT人材をどのように賄うのかは大きな問題だ。 そのような中、サイバーセキュリティ企業のトレンドマイクロ社が思い切った取り組みをしている。非IT職を対象として有給インターンシップを募り、そこでトレーニングを積ませて、IT人材としての新たな

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          販売店の現場でコンプライアンス違反が起きやすいメカニズム

          販売現場では驚くようなことが起きる この1か月、世間を大いににぎやかせた話題として、ビッグモーターの不正事件がある。次から次へと出てくるコンプライアンス違反に対して非難が集まる中、一方で「大なり小なり似たようなことはウチにもある」というような同業者の声も聞こえる。 中古車販売だけではなく、全国展開する小売業や飲食業が現場の店舗でコンプライアンス違反があり、それが致命的な打撃となるケースは珍しいものではない。今回のケースがそうとは言わないが、このような事件ではコンプライアン

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          人手不足を外国人雇用で解決するか、テクノロジーで解決するか、両方同時に行うか

          専門学校の留学生の選択肢が広がる 日本企業での働き方は「メンバーシップ型」と呼ばれ、特定の職種や専門性への従事に限定しないゼネラリスト的な運用が良く知られている。しかし、このような「メンバーシップ型」は幹部候補生が中心で、以前から「ジョブ型」で運用されている従業員が多数いる。代表的なのは、工場の派遣労働者や事務系の契約社員のような非正規雇用の従業員だ。 そして、正社員であっても「ジョブ型」な働き方をする従業員として、専門学校を卒業した留学生がいる。専門学校を修了すると「専門

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          人手不足対策の外国人雇用に必要なのは言語対応よりも働きたくなる労働環境つくり

          「外国人=言語対応」が脊髄反射になっていないか 日本はおもてなしの国だ。日本に来た外国人が嫌な思いをしないようにと細かいところまで気を遣っている。非英語圏の先進国に旅行に行くと思っていたよりも英語が通じなくて困ったという経験を持つ人は多いだろう。日本も店員の英語力には難があっても、外国人観光客が訪れるようなところは複数言語での説明書きや写真メニューなどが準備されるようになった。外国人観光客に対してはこれで良いだろう。しかし、日本で働く労働者に対しても同じ対応で良いのだろうか

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          長期雇用と50代からの転職を両立させる

          転職後の新たな職場への適応は簡単ではない 少し前までは「転職35歳限界説」という言葉がまことしやかに囁かれ、転職をするなら35歳までという考え方が根強かった。しかし、高齢化社会と生産年齢の引き延ばしによって、年齢に関係なく、転職することも珍しくなくなってきた。特に、役職定年制度がある企業では、50代後半になると役職がつかなくなり、収入も大幅に下がってしまう。その前に別の環境で挑戦したいと考える人も増えている。 しかし、転職先で適応し、パフォーマンスを発揮できるかどうかは簡

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          リスキリングで人手不足解消は、キャリアの観点からはお勧めしない

          リスキリングは必要なのか? 政府主導で「リスキリングによる能力向上支援」が推進されている。生産年齢世代が拡大し、65歳以上での就労も珍しいものではなくなる中で、1つの企業で社会人人生を完結させることが難しくなっている。そのため、転職などのキャリアチェンジのときに、市場ニーズにあった専門性を身に着けるための学び直し(リスキリング)に注目が集まっている。特に、40代~60代のミドル・シニアで長年1つの会社に留まっていると、専門性が陳腐化して時代のニーズと合わないことがある。その

          リスキリングで人手不足解消は、キャリアの観点からはお勧めしない

          私が日経COMEMOを書くときに気を付けていること【お題企画「#仕事のポリシー」】

          おそらく日経COMEMO最古参勢の私が思うこと 私がnoteを使い始めたのは、当時の担当者から日経COMEMOがnoteに移行するのでそちらで書いて欲しいと言われたのがきっかけだ。もともと、日経COMEMOはnoteではなく、独自サイトで運営されていた。そのサイトができるときに、前職に在籍していたころ、上司から書いてみないかと提案されて書き始めた。そのため、私のnoteはほとんど日経COMEMO専用だ。2018年6月からスタートして、5年以上、毎月5本の記事を書いている。お

          私が日経COMEMOを書くときに気を付けていること【お題企画「#仕事のポリシー」】

          「世界最低水準な日本の男女平等指数」と「無理のない改革」の結果にある未来とは?

          過去最低を更新した日本の「ジェンダー・ギャップ指数」 今年も世界経済フォーラム(WEF)が、男女平等がどれだけ実現できているかを数値で評価する「ジェンダー・ギャップ指数」が発表された。調査対象国は146ヶ国で、「経済」「教育」「健康」「政治」の4分野で男女平等の現状を指数化している。 日本は、毎年、「ジェンダー・ギャップ指数」で厳しい評価が下されている。主要7か国はおろか、調査対象国の中でも最底辺が定位置となっている。そして、この残念な結果は好ましくないほうで更新されるこ

          「世界最低水準な日本の男女平等指数」と「無理のない改革」の結果にある未来とは?

          自治体とスタートアップの契約はカオスをどれだけ許容できるかが大切

          自治体の調達は安定した会社からの常識が変わる? 自治体の案件は、税金が原資なこともあって、できるだけ失敗のリスクがない安定した実績のある会社が選ばれがちだ。特に、国レベルの政府調達では審査も厳しく、大企業か、前例や実績のある企業がほとんどを占めてきた。しかし、スタートアップ育成支援として、小規模な事業者に限って実施できる事業規模の比較的小さな競争入札や、随意契約の時に経済産業省が認めたスタートアップ企業にも契約を呼びかけるよう改める動きがでている。 特に、コロナ禍のような

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          定年後のキャリアの準備をいつ始めるか?

          定年後の人生が30年以上ある 1990年代、100歳まで生きることは珍しく、長寿の良いこととされてきた。当時、100歳を超える双子姉妹のきんさんとぎんさんがメディアによく取り上げられていたのを覚えている人も多いだろう。それから20数年、100歳を超える高齢者の数は急増している。2020年には100歳以上の高齢者が8万人を突破したとニュースが流れたかと思えば、わずか2年後の2022年には9万人を超えてしまった。医療技術の発展と健康寿命の延伸を考えると、この人数はこれからも増え

          定年後のキャリアの準備をいつ始めるか?

          人生100年時代と介護とキャリア

          介護と仕事の両立のために 人生100年時代と言われるように平均寿命が延び、高齢化社会が深刻化するなか、介護の問題は日に日に大きくなっている。働き盛りの40代で親の介護問題に直面する人もいれば、早いと孫世代が曾祖父の面倒をみなくてはならない事態も珍しくなくなってきた。介護負担が大きくなる中で、「ヤングケアラ―」という言葉もみられるようになった。本来大人が担うと想定されていた家事や家族の介護を18歳未満の子供が担うことだ。 介護の負担が大きく、キャリアを諦める人も多い。仕事との

          人生100年時代と介護とキャリア

          若手社員の自己啓発費をどう使うか?

          自己啓発ために賞与上乗せ 世界的な給与上昇の動きと同じように、欧米ほど劇的ではないが日本でも給与を引き上げる動きが大企業やスタートアップ企業を中心にみられる。そのような中、三菱自動車が面白い施策を行っている。新卒社員の夏のボーナスを倍増させ、そのうちの15万円を自己啓発に充てるようにするという。 企業にとって人材育成は重要な課題だか、近年でその意味合いが大きく変わってきている。日本企業では伝統的に人材育成というと職務経験を通じて身に着けることができる、いわゆるOJT(On

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          イノベーションのジレンマならぬ、問題解決のジレンマ

          問題解決につながらない問題解決がなぜ採択されるのか? 行政や大企業がメディアで打ち出す施策には、第3者の目線で見ると「なぜ、この企画が通ったのだろう?」と首を傾げたくなるときがある。最近はSNSが発達したこともあって、そういった施策に対して、ネットで騒ぎになったり、有識者が疑問を呈する場面も増えている。 例えば、教員人材の不足に対して、その解決策として文科省が打ち出した施策も厳しい評価が集まった。民間企業に教員志望の学生がとられないように、採用試験を1か月前倒しし、民間に

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