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保護者が子どもにうまく関わるための専門家サポートの重要性
はじめに
自閉スペクトラム症(ASD)のある子どもを育てる保護者にとって、日常のコミュニケーションや行動調整は大きな挑戦です。専門家が保護者にサポートを提供することで、親子関係の質が向上し、子どもの発達に大きな効果が期待できます。本記事では、保護者の介入がどのように子どもの発達を助けるのか、具体的な研究結果を交えて解説します。
親主導の介入の効果
多くの研究(Deb et al.,2020;
ワーキングメモリートレーニング(コグメド)のすすめ
ワーキングメモリは、情報を一時的に保持し、操作する能力であり、学習において非常に重要な役割を果たします。夏休みは、ワーキングメモリートレーニング(コグメド)に取り組むのにも最適な時期です。
ワーキングメモリートレーニングのメリット
学習効率の向上: ワーキングメモリを強化することで、情報の保持と操作が容易になり、学習効率が向上します。
集中力の向上: ワーキングメモリのトレーニングは、集中力
大人になってからでも、セルフコントロールを獲得するのは遅くない!
前回の記事では、幼児期のセルフコントロールがその後のQOLを予測する可能性について載せました。
幼いころからセルフコントロールを身につけることが重要であると示されていますが、大人になってからセルフコントロールを身につけるのは手遅れなのでしょうか?
2021年にPNASに掲載された「Childhood self-control forecasts the pace of midlife agin
子どものセルフコントロールの苦手さって具体的にどんなこと?
セルフコントロールが苦手な子供たちは、どのような行動面の難しさを示すのかというと:
癇癪を起したり、暴れたりする
友達の話を遮る
おしゃべりが止まらない
過度に活動的で落ち着きがない
最初に尋ねる代わりに、ものをつかんでしまう
列に割り込んだり、順番を守ることができない
すぐにイライラして、あきらめてしまう
からかうと泣き出してしまう
批判に耳を傾けることができない
では、子ど
子どものセルフコントロールスキルは大人になってからのQOLを予測する?!
前回の記事では、セルフコントロールの概要についてお伝えしました。
このセルフコントロールは、大人になってからの生活の質・QOL(Quality of life)に影響を与える一つの要因とも言われています。
そのことを示している論文を、ご紹介します。
2020年にPsychological Bulletinに掲載された「Self-regulation in childhood as a pred
子どものセルフコントロールスキルとは?
子どもが成長する過程で身に着けるスキルのうち、セルフコントロール(自制心)という概念が近年注目されています。
簡単にセルフコントロールとはどんなものかというと、
自分の考え、行動、感情を管理し、物事を成し遂げられるようにするための一連のスキルです。
このスキルは「実行機能」の一部とも言えます。
具体的には、セルフコントロールは以下のような特徴があります。
時間をかけて発達する複雑なスキルであ
吃音が最優先?それとも?
前回の記事では,幼児期に併存する別の問題が吃音の症状を引き起こしやすくなることを説明しました。
(前回の記事;実は吃音症だけではないかも?)
吃音症に対しては,他の疾患情報なども精査したうえで介入方法を選択することが必要となります。
実際の臨床場面では、吃音が主訴であっても、その他の発達に関するアプローチが優先されるべきケースも少なくありません。
上図のフローチャートのように,吃音を評価する
幼児の吃音は本当に吃音なのか?実は吃音症だけではないかも?
幼児期の言葉の問題として,発達性吃音(developmental stuttering)があります。
この発達性吃音については,多くの方々が説明されており、その記事が大変参考になると思います。
本記事では,吃音だけに焦点を当てるのではなく,他の疾患が隠れているかもしれない?という臨床的な視点について説明します。
吃音症には他の診断が併存することは多くの研究から示唆されています(Blood &
発達が気になる子に評価はなぜ必要なのか? Part1
子どものことで専門機関に相談すると、評価(知能検査など)を実施します。知能検査以外では、聞き取り式やアンケート式の検査をすることが多いようです。以下は、KNOTの初回面談からの流れです。
当施設では、プログラムを開始する前に必ず評価を実施します。
地域の福祉機関や医療機関では、とても混んでいることが多く、プログラムを開始するまでに、時間がかかります。その上、プログラムが開始される前に評価をするこ
発達が気になる子どもへの介入は量より質!
発達が気になる子どもへの介入の効果は研究によって異なり、その効果を疑問視する見方もあります。
これは、研究によって介入のポイントが違ったり、必ずしも専門家が介入しているわけではないことが、要因であるとの指摘があります。
平成24年から令和元年までの7年間で、児童発達支援事業所の数は3倍以上に増えています。
場所を作るのに比べて、人を育てるのには時間がかかります。
ここ数年で児童発達支援事業所数
文字を書くスキルはどのように評価されるのか?
文字を書く(Handwriting)スキルは標準的な検査(Movement Assessment Battery for Children-Second Edition: MABC-2やDevelopmental Development Test of Visual-Perception-Third Edition: DTVP-3など)では,トレース(なぞり書き)課題によって算出される,「ズレの量
もっとみる不器用な子どもの多くは書きの困難さを持つ
主に不器用な子と表現される、発達性協調運動症(Developmental Coordination Disorder; DCD)児において書きの困難さが指摘されていることが多くあります(Prunty et al., 2013; Prunty et al., 2014; Rosenblum and Livneh-Zirinski, 2008)。DCD児の76%は手書きのスキルに困難さがあることが明ら
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