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吃音が最優先?それとも?

前回の記事では,幼児期に併存する別の問題が吃音の症状を引き起こしやすくなることを説明しました。

(前回の記事;実は吃音症だけではないかも?)

吃音症に対しては,他の疾患情報なども精査したうえで介入方法を選択することが必要となります。
実際の臨床場面では、吃音が主訴であっても、その他の発達に関するアプローチが優先されるべきケースも少なくありません。

幼児吃音臨床ガイドライン2021 p.25より引用

上図のフローチャートのように,吃音を評価するのではなく,吃音以外の言語症状や発達,行動上の問題がないか,全体像を見ることが重要と考えられます。
そのため,吃音以外に自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症などが併存しているお子さんでは,どの症状に対して優先的にアプローチすべきか検討するためにも,十分な評価が必要となります。
例えば,普段遊んでいる時の様子や他の子どもとの関わり方,感覚・運動面の発達,ライフスキルの獲得状態など多面的に評価することで,吃音以外の問題点が明らかになるかもしれません。
また,子ども一人一人によって,吃音の重症度や,その他の症状の程度は異なるため,吃音を優先的に対処していくことがベストとは限りません。
優先順位をつける際に考慮すべきことは,主に3つあります。

  • それぞれの障害の重症度と,現状の生活や将来の学習・社会性への影響の大きさを比較し,考慮すること

  • それぞれの障害などの介入開始の適期があれば,それを逃さないようにすること

  • 一つの問題のみに対応するのではなく,問題の重要性に応じて対応の時間配分など,適切な妥協点を探ること

神経発達症(自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症など)の確定診断をされていなくても,これらが疑われる場合も,できる限り早期から対応する必要があります。

そのため,吃音症状に対して適切なアプローチを行うためにも,併存する可能性のある神経発達症などの評価も合わせて行うことを推奨します。
当施設では,言語聴覚士だけでなく,公認心理師や作業療法士,理学療法士の評価も行い,吃音症のみならず,お子様の発達全般のサポートを提供しています。
また,吃音症に対して,言語聴覚士によるリッカムプログラムをはじめとして,お子さんに合わせて様々な選択肢をご提示しています。

ご興味のある方は,以下のURLからお問い合わせください。

日本医療研究開発機構(AMED)「発達性吃音の最新治療法の開発と実践に基づいたガイドライン作成」研究班.幼児吃音臨床ガイドライン.http://plaza.umin.ac.jp/kitsuon-kenkyu/guideline/v1/YoujiKitsuonCGL2021.pdf(2023年2月1日参照).

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