こどもとかぞくのサポートルームKNOT

サポートルームKNOT(ノット)は、医療、福祉、教育の枠を超えた科学的根拠に基づく専門…

こどもとかぞくのサポートルームKNOT

サポートルームKNOT(ノット)は、医療、福祉、教育の枠を超えた科学的根拠に基づく専門的な支援を行います。問題が起こる前から課題を見つけて対策し、ご家族が前向きになれるようにトータルでサポートします。 https://knot-support.com/

マガジン

  • 発達支援と発達評価 support & assessment

    早期の発達支援と発達評価の重要性についてまとめた記事となります。 当施設では,知能検査や発達評価だけでなく,専門職による評価を導入しています。 ご興味のある方は是非,お問い合わせください。 https://knot-support.com/

  • ワーキングメモリ Working Memory

    ワーキングメモリについてまとめた記事となります。 当施設では,コグメドというワーキングメモリトレーニングを導入しています。 ご興味のある方は是非,お問い合わせください。 https://knot-support.com/

  • セルフコントロール self-control

    セルフコントロールについてまとめた記事になります。

  • 吃音

    吃音についてまとめた記事になります。

  • 書き Handwriting

    書きの困難さについてまとめた記事となります。 当施設では,各種検査に加えて、Tracecoderというデジタルデバイスを導入して評価・介入をしています。 ご興味のある方は是非,お問い合わせください。 https://knot-support.com/

最近の記事

保護者が子どもにうまく関わるための専門家サポートの重要性

はじめに 自閉スペクトラム症(ASD)のある子どもを育てる保護者にとって、日常のコミュニケーションや行動調整は大きな挑戦です。専門家が保護者にサポートを提供することで、親子関係の質が向上し、子どもの発達に大きな効果が期待できます。本記事では、保護者の介入がどのように子どもの発達を助けるのか、具体的な研究結果を交えて解説します。 親主導の介入の効果 多くの研究(Deb et al.,2020;Oono et al.,2013など)が、保護者が子どもとの関わり方を学び、実践

    • ワーキングメモリートレーニング(コグメド)のすすめ

      ワーキングメモリは、情報を一時的に保持し、操作する能力であり、学習において非常に重要な役割を果たします。夏休みは、ワーキングメモリートレーニング(コグメド)に取り組むのにも最適な時期です。 ワーキングメモリートレーニングのメリット 学習効率の向上: ワーキングメモリを強化することで、情報の保持と操作が容易になり、学習効率が向上します。 集中力の向上: ワーキングメモリのトレーニングは、集中力や注意力を持続させる能力を高める効果があります。 問題解決能力の向上: 複雑な

      • 夏休みを活用して子どもの発達検査を受けよう!

        夏休みは、子供たちが学校のスケジュールから解放され、自由な時間を過ごせる貴重な期間です。この期間を有効活用して、子供の発達に関する詳しい検査を受けることをお勧めします。多くの保護者から寄せられた声をもとに、検査がどのように役立つかをご紹介します。 保護者からの声 多くの保護者の方々が、検査を通じて自分の子供のことを詳しく知ることができたと話しています。 「検査を受けたことで、子供の強みや弱みが明確になり、接し方を見直す良い機会となりました」 「思っていた通りの結果が出

        • 大人になってからでも、セルフコントロールを獲得するのは遅くない!

          前回の記事では、幼児期のセルフコントロールがその後のQOLを予測する可能性について載せました。 幼いころからセルフコントロールを身につけることが重要であると示されていますが、大人になってからセルフコントロールを身につけるのは手遅れなのでしょうか? 2021年にPNASに掲載された「Childhood self-control forecasts the pace of midlife aging and preparedness for old age」では、興味深い結果

        保護者が子どもにうまく関わるための専門家サポートの重要性

        マガジン

        • 発達支援と発達評価 support & assessment
          6本
        • ワーキングメモリ Working Memory
          6本
        • セルフコントロール self-control
          4本
        • 吃音
          2本
        • 書き Handwriting
          3本

        記事

          子どものセルフコントロールの苦手さって具体的にどんなこと?

          セルフコントロールが苦手な子供たちは、どのような行動面の難しさを示すのかというと: 癇癪を起したり、暴れたりする 友達の話を遮る おしゃべりが止まらない 過度に活動的で落ち着きがない 最初に尋ねる代わりに、ものをつかんでしまう 列に割り込んだり、順番を守ることができない すぐにイライラして、あきらめてしまう からかうと泣き出してしまう 批判に耳を傾けることができない では、子どものセルフコントロールを育てるためにはどうしたらいいのでしょうか。 ここでは、セ

          子どものセルフコントロールの苦手さって具体的にどんなこと?

          子どものセルフコントロールスキルは大人になってからのQOLを予測する?!

          前回の記事では、セルフコントロールの概要についてお伝えしました。 このセルフコントロールは、大人になってからの生活の質・QOL(Quality of life)に影響を与える一つの要因とも言われています。 そのことを示している論文を、ご紹介します。 2020年にPsychological Bulletinに掲載された「Self-regulation in childhood as a predictor of future outcomes: A meta-analyti

          子どものセルフコントロールスキルは大人になってからのQOLを予測する?!

          子どものセルフコントロールスキルとは?

          子どもが成長する過程で身に着けるスキルのうち、セルフコントロール(自制心)という概念が近年注目されています。 簡単にセルフコントロールとはどんなものかというと、 自分の考え、行動、感情を管理し、物事を成し遂げられるようにするための一連のスキルです。 このスキルは「実行機能」の一部とも言えます。 具体的には、セルフコントロールは以下のような特徴があります。 時間をかけて発達する複雑なスキルである じっとしている、列に並ぶ、順番を守るなど、私たちは簡単そうに見えることから

          子どものセルフコントロールスキルとは?

          吃音が最優先?それとも?

          前回の記事では,幼児期に併存する別の問題が吃音の症状を引き起こしやすくなることを説明しました。 (前回の記事;実は吃音症だけではないかも?) 吃音症に対しては,他の疾患情報なども精査したうえで介入方法を選択することが必要となります。 実際の臨床場面では、吃音が主訴であっても、その他の発達に関するアプローチが優先されるべきケースも少なくありません。 上図のフローチャートのように,吃音を評価するのではなく,吃音以外の言語症状や発達,行動上の問題がないか,全体像を見ることが重

          幼児の吃音は本当に吃音なのか?実は吃音症だけではないかも?

          幼児期の言葉の問題として,発達性吃音(developmental stuttering)があります。 この発達性吃音については,多くの方々が説明されており、その記事が大変参考になると思います。 本記事では,吃音だけに焦点を当てるのではなく,他の疾患が隠れているかもしれない?という臨床的な視点について説明します。 吃音症には他の診断が併存することは多くの研究から示唆されています(Blood & Seider, 1981; Blood et al., 2003; Arndt

          幼児の吃音は本当に吃音なのか?実は吃音症だけではないかも?

          発達が気になる子に評価はなぜ必要なのか? Part2

          具体的に読みの困難があるお子さまの例を通して、評価の必要性を考えてみましょう。 読むために必要な力は、 見る力(視力、眼球運動、両眼視、視知覚など) 読みスキル(単語の音読の正確さ、読みの速度・流暢性、読解) 認知プロセス(音韻意識、呼称速度、音韻の記憶、正字法処理、口語言語、聴理解、ワーキングメモリ、実行機能) が関わっています。 これらのうちいくつかに不全があって読みの困難として、表面化していることが多いのです。何が大きく影響しているのか特定することは、介入のタ

          発達が気になる子に評価はなぜ必要なのか? Part2

          発達が気になる子に評価はなぜ必要なのか? Part1

          子どものことで専門機関に相談すると、評価(知能検査など)を実施します。知能検査以外では、聞き取り式やアンケート式の検査をすることが多いようです。以下は、KNOTの初回面談からの流れです。 当施設では、プログラムを開始する前に必ず評価を実施します。 地域の福祉機関や医療機関では、とても混んでいることが多く、プログラムを開始するまでに、時間がかかります。その上、プログラムが開始される前に評価をすることで、さらに時間がかかるため、評価をスキップしてプログラムを開始できないものかと

          発達が気になる子に評価はなぜ必要なのか? Part1

          発達が気になる子どもへの介入は量より質!

          発達が気になる子どもへの介入の効果は研究によって異なり、その効果を疑問視する見方もあります。 これは、研究によって介入のポイントが違ったり、必ずしも専門家が介入しているわけではないことが、要因であるとの指摘があります。 平成24年から令和元年までの7年間で、児童発達支援事業所の数は3倍以上に増えています。 場所を作るのに比べて、人を育てるのには時間がかかります。 ここ数年で児童発達支援事業所数は多くなりましたが、専門的な知識・スキルを持っているスタッフがいない、または不十

          発達が気になる子どもへの介入は量より質!

          早くからの発達支援は効果的!

          早期発見,早期介入が重要であることは,よく知られるようになってきました。それに伴い,児童発達支援施設も多くなり,国内の障害児通所サービスの費用は増加してきました。 実際に早期から発達支援を行った効果についての研究はいくつもあります。 早期からの介入により,子どもたちの中には,成長したときに自閉症スペクトラムの診断から外れる子もいます。後に自閉症スペクトラム(以下,ASD)から外れる子どもたちの多くには,次のような共通点があります(Helt et al., 2008)。

          早くからの発達支援は効果的!

          文字を書くスキルはどのように評価されるのか?

          文字を書く(Handwriting)スキルは標準的な検査(Movement Assessment Battery for Children-Second Edition: MABC-2やDevelopmental Development Test of Visual-Perception-Third Edition: DTVP-3など)では,トレース(なぞり書き)課題によって算出される,「ズレの量」が重要な指標として使われています。 ズレの量は,目と手を協調的に動かす運筆動作

          文字を書くスキルはどのように評価されるのか?

          不器用な子どもの多くは書きの困難さを持つ

          主に不器用な子と表現される、発達性協調運動症(Developmental Coordination Disorder; DCD)児において書きの困難さが指摘されていることが多くあります(Prunty et al., 2013; Prunty et al., 2014; Rosenblum and Livneh-Zirinski, 2008)。DCD児の76%は手書きのスキルに困難さがあることが明らかになっています(Missiuna et al., 2008)。 DCDとは、

          不器用な子どもの多くは書きの困難さを持つ

          文字を書くスキルは学齢児にとって重要なスキルである

          人が文字を書くときに必要な能力は、その言葉に関する記憶的知識や参考にする視覚的な文字情報を正しく捉えるだけでなく、手先の器用さも重要です。 学業において成功するためには文字を上手に書くスキルが必要不可欠である(Graham et al., 1998)とも言われています。いくつかの研究からは、手書きのスキルが高い児童ほど学業成績が高く、社会参加に積極的で、自尊心が成長していることが示されています(Cunningham et al., 1992; Engel-Yeger et

          文字を書くスキルは学齢児にとって重要なスキルである