こどもとかぞくのサポートルームKNOT

サポートルームKNOT(ノット)は、医療、福祉、教育の枠を超えた科学的根拠に基づく専門的な支援を行います。問題が起こる前から課題を見つけて対策し、ご家族が前向きになれるようにトータルでサポートします。 https://knot-support.com/

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    マガジン

    • 吃音

      吃音についてまとめた記事です。

    • 発達支援と発達評価 support & assessment

      早期の発達支援と発達評価の重要性についてまとめた記事となります。 当施設では,知能検査や発達評価だけでなく,専門職による評価を導入しています。 ご興味のある方は是非,お問い合わせください。 https://knot-support.com/

    • 書き Handwriting

      書きの困難さについてまとめた記事となります。 当施設では,各種検査に加えて、Tracecoderというデジタルデバイスを導入して評価・介入をしています。 ご興味のある方は是非,お問い合わせください。 https://knot-support.com/

    • ワーキングメモリ Working Memory

      ワーキングメモリについてまとめた記事となります。 当施設では,コグメドというワーキングメモリトレーニングを導入しています。 ご興味のある方は是非,お問い合わせください。 https://knot-support.com/

    最近の記事

    吃音が最優先?それとも?

    前回の記事では,幼児期に併存する別の問題が吃音の症状を引き起こしやすくなることを説明しました。 (前回の記事;実は吃音症だけではないかも?) 吃音症に対しては,他の疾患情報なども精査したうえで介入方法を選択することが必要となります。 実際の臨床場面では、吃音が主訴であっても、その他の発達に関するアプローチが優先されるべきケースも少なくありません。 上図のフローチャートのように,吃音を評価するのではなく,吃音以外の言語症状や発達,行動上の問題がないか,全体像を見ることが重

      • 幼児の吃音は本当に吃音なのか?実は吃音症だけではないかも?

        幼児期の言葉の問題として,発達性吃音(developmental stuttering)があります。 この発達性吃音については,多くの方々が説明されており、その記事が大変参考になると思います。 本記事では,吃音だけに焦点を当てるのではなく,他の疾患が隠れているかもしれない?という臨床的な視点について説明します。 吃音症には他の診断が併存することは多くの研究から示唆されています(Blood & Seider, 1981; Blood et al., 2003; Arndt

        • 発達が気になる子に評価はなぜ必要なのか? Part2

          具体的に読みの困難があるお子さまの例を通して、評価の必要性を考えてみましょう。 読むために必要な力は、 見る力(視力、眼球運動、両眼視、視知覚など) 読みスキル(単語の音読の正確さ、読みの速度・流暢性、読解) 認知プロセス(音韻意識、呼称速度、音韻の記憶、正字法処理、口語言語、聴理解、ワーキングメモリ、実行機能) が関わっています。 これらのうちいくつかに不全があって読みの困難として、表面化していることが多いのです。何が大きく影響しているのか特定することは、介入のタ

          • 発達が気になる子に評価はなぜ必要なのか? Part1

            子どものことで専門機関に相談すると、評価(知能検査など)を実施します。知能検査以外では、聞き取り式やアンケート式の検査をすることが多いようです。以下は、KNOTの初回面談からの流れです。 当施設では、プログラムを開始する前に必ず評価を実施します。 地域の福祉機関や医療機関では、とても混んでいることが多く、プログラムを開始するまでに、時間がかかります。その上、プログラムが開始される前に評価をすることで、さらに時間がかかるため、評価をスキップしてプログラムを開始できないものかと

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          記事

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            発達が気になる子どもへの介入は量より質!

            発達が気になる子どもへの介入の効果は研究によって異なり、その効果を疑問視する見方もあります。 これは、研究によって介入のポイントが違ったり、必ずしも専門家が介入しているわけではないことが、要因であるとの指摘があります。 平成24年から令和元年までの7年間で、児童発達支援事業所の数は3倍以上に増えています。 場所を作るのに比べて、人を育てるのには時間がかかります。 ここ数年で児童発達支援事業所数は多くなりましたが、専門的な知識・スキルを持っているスタッフがいない、または不十

            早くからの発達支援は効果的!

            早期発見,早期介入が重要であることは,よく知られるようになってきました。それに伴い,児童発達支援施設も多くなり,国内の障害児通所サービスの費用は増加してきました。 実際に早期から発達支援を行った効果についての研究はいくつもあります。 早期からの介入により,子どもたちの中には,成長したときに自閉症スペクトラムの診断から外れる子もいます。後に自閉症スペクトラム(以下,ASD)から外れる子どもたちの多くには,次のような共通点があります(Helt et al., 2008)。

            文字を書くスキルはどのように評価されるのか?

            文字を書く(Handwriting)スキルは標準的な検査(Movement Assessment Battery for Children-Second Edition: MABC-2やDevelopmental Development Test of Visual-Perception-Third Edition: DTVP-3など)では,トレース(なぞり書き)課題によって算出される,「ズレの量」が重要な指標として使われています。 ズレの量は,目と手を協調的に動かす運筆動作

            不器用な子どもの多くは書きの困難さを持つ

            主に不器用な子と表現される、発達性協調運動症(Developmental Coordination Disorder; DCD)児において書きの困難さが指摘されていることが多くあります(Prunty et al., 2013; Prunty et al., 2014; Rosenblum and Livneh-Zirinski, 2008)。DCD児の76%は手書きのスキルに困難さがあることが明らかになっています(Missiuna et al., 2008)。 DCDとは、

            文字を書くスキルは学齢児にとって重要なスキルである

            人が文字を書くときに必要な能力は、その言葉に関する記憶的知識や参考にする視覚的な文字情報を正しく捉えるだけでなく、手先の器用さも重要です。 学業において成功するためには文字を上手に書くスキルが必要不可欠である(Graham et al., 1998)とも言われています。いくつかの研究からは、手書きのスキルが高い児童ほど学業成績が高く、社会参加に積極的で、自尊心が成長していることが示されています(Cunningham et al., 1992; Engel-Yeger et

            コグメドによる算数(数学)の伸びは、1年後に現れている。変化量は、小学生で6か月分、中学生で1年分に相当する。

            コグメドの実施が学習に効果があるのか? ワーキングメモリは、数学と読解の成績と高い相関があります。しかしながら、注意とは違って、数学や読解の能力は、長期記憶に保存されている知識など、他の多くの要因に依存します。したがって、ワーキングメモリトレーニングによって数学(あるいは読解)を向上させるのは、注意よりも困難であると言えます。 コグメドの実施後に数学の成績が向上したことを報告した研究はいくつかありますが、その中でより効果が大きかったのは、ワーキングメモリと注意の問題を自認

            コグメドによるワーキングメモリの発達は、通常の2年分に匹敵する!

            Cogmed Working Memory Training(コグメド)とは? コンピューター上のトレーニングを通じてワーキングメモリを改善するためのエビデンスベースのプログラムです。コグメドは、トレーニングを通じてワーキングメモリの容量を増やすことができることを示す研究に基づいています (Klingberg et al., 2002; Klingberg et al., 2005)。 コグメドは、言語性ワーキングメモリ、視空間性ワーキングメモリの双方を伸ばすことができま

            ワーキングメモリの困難さは、ほとんどの教科に影響する!

            学習困難とワーキングメモリの関連 1.       読みの困難  読みに困難を抱える子どもは、単語の音の学習や区別が難しく、綴りや読みに問題が見られます。このような場合は、言語性ワーキングメモリに弱さがあり、視空間性ワーキングメモリには問題がないことが多いようです。 2.       算数の困難  算数に困難を抱える子どもは、数のルールや事実を学習することに問題が見られます。このような場合は、視空間性ワーキングメモリに弱さがあり、言語性ワーキングメモリに問題がないことが多

            ワーキングメモリには、言語性ワーキングメモリと視空間性ワーキングメモリがある。

            ワーキングメモリのメカニズム ワーキングメモリのメカニズムについて、最も代表的なものとしてBaddeley & Hitch(1974)のモデルが挙げられます。 このモデルでは、ワーキングメモリは、言語的短期記憶(音韻ループ)、視空間的短期記憶(視空間スケッチパッド)、中央実行系の3つのコンポーネントから構成されるシステムとして捉えられています(図)。 記憶したい情報の種類によって短期記憶の保存方法は異なる 言語的短期記憶は音声で表現される情報(数、単語、文章など)を保持

            ワーキングメモリは、IQよりも学習成果に関連する?!

            ワーキングメモリと学習 ワーキングメモリ(working memory:作業記憶、作動記憶)とは、短い時間に心の中で情報を保持し、同時に処理する能力のことを指します。ワーキングメモリは、会話や読み書き、計算などの基礎となる、私たちの日常生活や学習を支える重要な能力です。 ワーキングメモリの研究者として著名なAlloway博士は、自身の研究のなかで3つの重要な点を挙げています。 - ワーキングメモリは、学習成果の重要な予測因子である。 5歳時点でのワーキングメモリのスコア