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発達が気になる子に評価はなぜ必要なのか? Part2

具体的に読みの困難があるお子さまの例を通して、評価の必要性を考えてみましょう。

読むために必要な力は、

  • 見る力(視力、眼球運動、両眼視、視知覚など)

  • 読みスキル(単語の音読の正確さ、読みの速度・流暢性、読解)

  • 認知プロセス(音韻意識、呼称速度、音韻の記憶、正字法処理、口語言語、聴理解、ワーキングメモリ、実行機能)

が関わっています。
これらのうちいくつかに不全があって読みの困難として、表面化していることが多いのです。何が大きく影響しているのか特定することは、介入のターゲットを明確にしてくれます。
適切な介入ターゲットにアプローチすれば、より早く、高い効果が期待できるのは想像に難くないでしょう。

読みスキルは、小学校低学年までに取り組み始めることが重要だと言われています。早く発見し、介入できれば、より大きな読み困難を防げることが研究で指摘されています(Shaywitz et al., 2002)。いくつかの行動研究から、未就学児の音韻認識トレーニングが小学校1、2年生での読解力を有意に向上させることや(Lundberg et al.,1988) 、幼稚園児の音韻認知がその後の学校での数年間の読解力を予測することなどが示されています(Perfetti et al., 1982)。また、小学校高学年の2年生から4年生、3年生から5年生においても、音韻認知がその後の読解能力を予測することが示されています(Torgesen et al., 1997; Wagner et al, 1997)。
これらの知見から、小学校2年生までに見る力、音韻処理の困難を発見できるよう評価しておくことが推奨されます。

保護者の方が苦手さに気づいても、成長すればできるようになるだろうと見過ごされてしまうことで、学年が上がるにつれて学習の困難が大きくなってしまうことは少なくありません。
そのうちできるようになるか、できないままで困難が強くなるか、どちらなのかも適切な評価がないと判断がつきません。
困ってからではなく、気になった時点で、適切な評価をすることが、その後により大きな困難にならないためにできる最善の行動です。

このようにお子さまの表面化している困難の背後にあることを詳細に調べ、介入のターゲットを明確にしていくために、評価を実施します。
評価と介入の連動が重要なのです。

KNOTでは、読みだけでなく、さまざまな困難に対して、評価パッケージ(テストバッテリー)を提供しています。丁寧に評価することで、お子さまのスキルの獲得や強化によって、認知的な弱みの影響を最小限に抑えられるような介入方法を選ぶことを目指しています。

残念ながら、詳細な評価を行っている機関はまだまだ少なく、そのような支援につながれる機会を得られないことも多い現状があります。

もし、お子さまのことで気がかりがあれば、適切な評価と支援がある場所を探してみてください。大きく困る前に手を打つことが肝心です。

ご希望の方は、こちらからお申込みください。

Lundberg, I., Frost, J., & Petersen, O. P. (1988). Effects of an extensive program for stimulating phonological awareness in preschool children. Reading research quarterly, 263-284.
Perfetti, C. A., Beck, I., Bell, L. C., & Hughes, C. (1982). Phonemic knowledge and learning to read are reciprocal: A longitudinal study of first grade children. Merrill-Palmer Quarterly, 283-319.
Shaywitz, B. A., Shaywitz, S. E., Pugh, K. R., Mencl, W. E., Fulbright, R. K., Skudlarski, P., ... & Gore, J. C. (2002). Disruption of posterior brain systems for reading in children with developmental dyslexia. Biological psychiatry, 52(2), 101-110.
Torgesen, J. K., Wagner, R. K., Rashotte, C. A., Burgess, S., & Hecht, S. (1997). Contributions of phonological awareness and rapid automatic naming ability to the growth of word-reading skills in second-to fifth-grade children. Scientific studies of reading, 1(2), 161-185.
Wagner, R. K., Torgesen, J. K., Rashotte, C. A., Hecht, S. A., Barker, T. A., Burgess, S. R., ... & Garon, T. (1997). Changing relations between phonological processing abilities and word-level reading as children develop from beginning to skilled readers: a 5-year longitudinal study. Developmental psychology, 33(3), 468.

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