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子どものセルフコントロールスキルは大人になってからのQOLを予測する?!

前回の記事では、セルフコントロールの概要についてお伝えしました。

このセルフコントロールは、大人になってからの生活の質・QOL(Quality of life)に影響を与える一つの要因とも言われています。

そのことを示している論文を、ご紹介します。
2020年にPsychological Bulletinに掲載された「Self-regulation in childhood as a predictor of future outcomes: A meta-analytic review.」です。
この論文では、幼少期のセルフコントロールが、その後の仕事や学業上の業績・成績、対人的な行動、精神的健康、生活様式と関連しうるかどうかについて、調査しています。
その結果、以下の4点について明らかになりました。

  1. 4歳までの幼児期のセルフコントロールは、社会的能力、学校への参加、学業成績と正の相関がありました。つまり、セルフコントロールが高い子は、社会的能力、学校への参加、学業成績も高いことを示しています。

  2. 8歳までの早期学齢期のセルフコントロールは、内在化問題(抑うつ・不安など)、友人関係の問題、外在化問題(攻撃的行動など)と負の相関、学業成績(数学と読み書き能力)と正の相関がありました。つまり、セルフコントロールが高い子は、内在化問題、友人関係の問題、外在化問題の問題が低いことを示し、学業成績が高いことを示しています。

  3. 13歳までの後期学齢期のセルフコントロールは、外在化問題、抑うつ症状、肥満、喫煙、違法薬物の使用と負の相関がありました。つまり、セルフコントロールが高い人は、外在化問題、抑うつ症状、肥満、喫煙、違法薬物の使用などが、低いまたは少ないことを示しています。

  4. 幼児期のセルフコントロールは、成人期(38歳まで)の失業や攻撃的行動、抑うつ・不安、肥満、喫煙、アルコール・物質乱用、身体疾患の症状と負の相関がありました。つまり、幼少期のセルフコントロールが高い子は、成人期に失業や攻撃的行動、抑うつ・不安、肥満、喫煙、アルコール・物質乱用、身体疾患の症状が、低いまたは少ないことを示しています。

※相関関係は、あくまでも関連性を示す言葉であって、因果関係を示す言葉ではありません。

これらの結果から、幼少期にセルフコントロールを身につけるかどうかが、その後の人生におけるQOLを予測するというエビデンスが提供されました。

KNOTでは、お子さまに合わせて専門家による多角的なアプローチを提供しています。お子さまに関する困りごとを丁寧に評価することで、スキルの獲得や強化によって、認知的な弱みの影響を最小限に抑えられるような介入方法を選ぶことを目指しています。

残念ながら、詳細な評価を行っている機関はまだまだ少なく、そのような支援につながれる機会を得られないことも多い現状があります。

もし、お子さまのセルフコントロールについて気がかりがあれば、適切な評価と支援がある場所を探してみてください。大きく困る前に手を打つことが肝心です。

ご希望の方は、こちらからお申込みください。

Robson DA, Allen MS, Howard SJ. Self-regulation in childhood as a predictor of future outcomes: A meta-analytic review. Psychol Bull. 2020 Apr;146(4):324-354. doi: 10.1037/bul0000227. Epub 2020 Jan 6. PMID: 31904248.


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