記事一覧
【往復書簡8通目】寺子屋脇には野芥子が咲いて。(2020/4/19)
拝啓 テル様
お手紙有難うございます。テルの文章に触れると、やはり元気になります。懐かしさの安心感もあるんでしょうね。Summer Eyesに寄せて、テルは僕の耳穴から知性が溢れ流れていると指摘してくれましたが、残念ながら僕から垂れ流れているのは「脳汁」です。エリートスクールだのなんだの揶揄される西日暮里にある我が母校は、一定数の「運動会バカ」が存在しまして、詰め込んだ物理の知識で、棒倒しの棒は
【往復書簡6通目】入学式は、忘れられない青空でした。(2020/04/07)
拝啓 テル様
随分と間が空いてしまいました。気づけば桜も散りゆくほど春は深まっていますが、お元気ですか。花びらは知らずと舞いますが、僕は知らされることの多さに滅入っています。ですから、週末は何週間ぶりでしょうか、ニュースを追いかけるのを止めました。たぶん「休肝日」のような感覚です。ニュースを毎日「呑み続ける」仕事なので、おそらく「中毒」になっていたのでしょう。いやはや、少しは「酔い」が醒めました
【Open Letter】寛生からテルへ、3通目。(2019/11/18)
拝啓 テル様
冬の訪れがどうしても厳しいから、挫けちゃいそうだから、北半球の人類は、ハロウィン→クリスマス→正月と季節イベントを立て続けに仕込んで、ワイガヤすることで体内温度を維持する生物種なのだという仮説を流布する季節ですが、お元気ですか。
そして、冷気に挫けた僕が言います。「逆に、湯冷めしそうだからみんなで銭湯行くのは止めようか」と。しかしそんな発言自体が、むしろ心持ちの寒々しい発想で、逆
【Open Letter】寛生からテルへ、2通目。(2019/11/9)
拝啓 テル様
秋空に泳ぐ鱗雲を見上げた愛猫は、舌舐めずりでしょうか。またはあまりに空が高いから、改札口の向こう側に恋人の背中を見届けるような寂寥の眼差しでしょうか。貴方の返信は、そんな孤高な秋空のようで、僕の想定の標高を軽く超えてくれる素晴らしいものでした。往復書簡の有り難さと温もりで冬を迎えられそうです。
あの怪奇な夜、渋谷の街に繰り出したマウンテンゴリラは、喧騒の道玄坂を登り切ったあたり、
【Open Letter】テルから寛生へ。(2019/11/2)
拝啓 ヒロキ様
あれほどまでに愛しかった平成を踏み抜いて令和を得たというにもかかわらず一向に成長しない、変わらない、変わろうとしない、いや変わろうとするふりだけはするがそんなつもりは毛頭ない、僕をどうか優しくティッシュで包んで棄ててはくれませんか。
貴方の云う水溜まりとは私の記憶では西原小学校に音楽の教諭として赴任されていた水田まり先生を指していることなどまるっとお見通しなのですが、私が彼女に
【Open Letter】寛生からテルへ。(2019/10/31)
拝啓 テル様
土砂降りを眺める度に『天気の子』を想い、降り止まぬ雨粒は「若者たちの怒りの涙かもしれないなぁ」と思案する秋霖の折ですが、テルは直径2メートル超の水たまりを前にしていかがお過ごしですか。
今宵はハロウィンだそうです。「ジョーカー」のメイクで小躍りする若者をリーチマイケル面のサラリーマンがタックルするのでしょうか。テレビ局は今年もスクランブル交差点で煽動的な中継をするのでしょうか。「