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波打ちぎわの物を探しに
いつもの書店で、三品さんの新刊を見つけた。
わたしはいつも彼の雑貨店の並びの書店で本を見つけて買う。『波打ちぎわの物を探しに』には最近もやもやしていたことが、ゆっくり読みたい文体で綴られていたので2ヶ月半もかけて読んだ。この本はその間、東京と京都を二往復した。
やはりこの二十年余り、ネットの情報社会が世の中に変化を起こしたことによる、さまざまな影響と考察がかなりおもしろい。前著『雑貨の終わり』で
お洒落じゃない自分とInstagram的なもの
最近、SNSがおもしろくない、という声を聞く。
Threadsのタイムラインに流れてきた知らない誰かからも、会ったら何時間でも話していられる友だちからも聞く。
友だちの一人は、何を投稿していいのかわからないと、開口一番にのたまう。国内外のあちこちに頻繁に旅をして、グローバルに物ごとを考え、おもしろい人物と会う機会が多く、食に対しても高い意識を持つ友だちの日々は投稿するネタにこと欠かないはずだが、
Lost and Found (MONKEYのための習作)
公園のごみを拾い始めたのは、犬が死んだからだ。
目鼻の奥にいつも水風船のようなものがあって、たまに破裂する。あとに残る暗く湿った洞穴のような時間を、毎朝ごみを拾い、集積所に預けて帰ることで埋めていた。
ペットボトル、缶、瓶、スナックの袋、煙草の箱、吸い殻、マスク、ボールペン、イヤホン、コンドーム、靴、ハンガー、絵画、薬、台本、花火……。
捨てられたもの、落とされたもの、忘れられたもの。そ
50代後半の女で集まって読書会をしたら
最初は確か『流しのしたの骨』だったと思うが、江國香織の小説と自分の実人生とで、登場人物の考え方や感覚がかなりな頻度でシンクロするので、「どこかで見てた?って思うことがあるよね」と当時、友達と話した。前世紀のことだ。自意識過剰というより代弁。感じていたことや考えていたことが、あの美しく確かな日本語で表現されているのを、ドキドキしたりうれしく思ったりしながら読む。
江國香織はわたしにとってそんな作家だ
Interview#63 ニューヨークのテイスト。ロブションさんの思い出。
食の仕事に携わる人々のパンとの関わり、その楽しみについて伺う企画、第63回64人目は、巨匠ジョエル・ロブションのもとでロブション世界初のパン専門店の統括シェフを務め、ニューヨークでも系列店のパンを焼き、帰国して自身の店、ブルーポピーベーカリーを開業した山口哲也さんにお話を伺いました。
ニューヨークのテイスト。ロブションさんの思い出。ブルーポピーベーカリー オーナーシェフ 山口哲也さん
ブランチ
アボカドトーストはダサい?という話から
「アボカドトーストというのはミレニアル世代が好んで食べたもので、Z世代から見るとcheugy(時代遅れでダサい)なのだそうです」
週末になると地元のカフェで朝食をとり、街の定点観測をしているEさんが先日、アボカドトーストを前にして、感心したふうに投稿していた。
わたしも「へぇ〜」となった。
「じゃ、彼らにとってcoolな(イケてる)食べものって何だろう?」
Eさんはわたしの疑問に答えるのは難