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コラム(音楽や生活など)

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音楽コラムや暮らし、人生、社会課題などについてのコラムを書いています。
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映画「サマー・オブ・ソウル」の興奮と熱狂と、ちょっとしたツッコミ

映画「サマー・オブ・ソウル」の興奮と熱狂と、ちょっとしたツッコミ

8月27日(金)より、映画「サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)」が日本公開された。

ありがたいことにご厚意でオンライン試写会に招いてもらい、一足先に観た。

観る前からわかってはいたけど、やっぱり家の貧弱な再生環境では物足りない、絶対に映画館で観たい。そう思わずにはいられないパワフルなドキュメンタリーであった。

そう、こちらの映画はドキュメンタリー映像なんですね。

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AI「IN THE MIDDLE feat.三浦大知」お二人の楽曲への思いについて私が思ったこと

AI「IN THE MIDDLE feat.三浦大知」お二人の楽曲への思いについて私が思ったこと

歌手のAIさんが三浦大知さんを客演として「IN THE MIDDLE」というタイトルの楽曲をリリースするそうで、お二人の楽曲へ込めた思いが文章で公開されていた。

実は私も、全く同じタイトルで、文章なりZINEなりを作ろうと思っていた。具体的には何も進んでなくて単なる構想にすぎないのだけれど。

由来は、大好きなJames Brownの「IN THE MIDDLE」という1968年〜69年の楽曲か

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永久に知ることのできない味噌ラーメンの味

永久に知ることのできない味噌ラーメンの味

今から33年ほど前のことじゃった。

私のふるさと福岡県は、今でこそさまざまなラーメン屋が軒を連ねているが、当時はラーメンといえばとんこつをおいて他になかった。

私が生まれ育った田舎町も例外ではなく、実家の近所の香龍園、塾の帰りの天龍軒、バス停の前の長浜ラーメン、高校の近くの薩摩ラーメン、すべからくとんこつラーメンであった。

そんな中、異彩を放つラーメン屋が1店舗だけあった。

実家から車で1

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「ブルースだってただの唄」最近読んだ本

「ブルースだってただの唄」最近読んだ本

今にして思えば完全に偏見でしかないのだけど、初めてアメリカ南部(ジョージア州とテネシー州)に行くまで、私はアフリカ系アメリカ人の方々を特別視していた。

ラップや映画を嗜む過程で、アフリカ系アメリカ人は自らの権利を取り戻すために高い意識や強い言葉を持っているのが普通、みたいな先入観ができあがっていたんだと思う。たとえばそれは、黒人はみんなラップやダンスが好きとか運動神経がいいとか陽気だとか、そうい

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突発性なので当然なんだけど、ある日突然、突発性難聴になった

突発性なので当然なんだけど、ある日突然、突発性難聴になった

今年の2月末、本を読んでいたら左耳のほうでキーンと耳鳴りがした。

まあ耳鳴りなんて珍しいことじゃないので気にせずに読書にふけっていると、1時間ほど経過しても依然、止まない。

ところで、周辺が静かすぎると、何も音が鳴ってなくても耳鳴りのような音が聴こえる気がする……なんてこと、ありませんか? 「静寂の音」とでも言いますか。

今回の耳鳴りもそれかしらと思って、キーンと鳴っている左耳を押さえてみた

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最近やっと音楽が聴けるようになったので、良かった曲を挙げ連ねてみる

最近やっと音楽が聴けるようになったので、良かった曲を挙げ連ねてみる

前にも書いたかもしれないけど、昨年住んでいたニューヨークでロックダウンが始まったとき「音楽を聴く時間がたっぷりできたかもな」なんて思っていたら、裏腹にどんどん音楽が聴けなくなった。具体的には、音楽を流しても違いがよくわからずどれも同じに聴こえてしまう、あるいは少しうるさく感じて止めてしまう、という状態になった。

それからずいぶん経ったけど、今年になってようやく音楽がまた楽しく聴けるようになってき

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最近読んだ本「ぼく自身のノオト」

最近読んだ本「ぼく自身のノオト」

ふだん読む本はけっこうシリアスなのとか新書とかが多くて、たまには優しい本が読みて〜〜……と思ったので年末に知ってから欲しかったこれを買って途中まで読んだ。

中学とか高校の頃、スクールカーストに精神を支配されて自分の人間性を受け止めきれず、ひたすら周囲にアジャストしようとジタバタしていた若き日の自分に読ませたい。まあ、あの頃は読んでもなにも感じなかったかもしんないけど。

37歳の私が読むと、そう

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暴力が嫌いだから

暴力が嫌いだから

身長167cm、体重52kg。私の体型である。

軽、と思われたのではないだろうか。産まれたときは2550gで、あと50g軽ければ低出生体重児(当時は未熟児といわれていた)に認定されていた。親は産まれてきた私を見て「手羽先かと思った」という。

そんな感じで体が弱いせいか、痛みを伴う物事が嫌いだった。いや、今も嫌い。転んで擦りむくことやら、叩かれることやら、足を攣ることやら、タイ古式マッサージやら

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Mさん(女性・21歳・都内在住)の話

Mさん(女性・21歳・都内在住)の話

「もちろんいじめられたこともありますよ、ハーフだってことで。

父がガーナ人で、お母さんは日本人。だけど私は父のこと超嫌いで、親だと思ったこともないです。普通に嫌なヤツなんですよ。

父がお母さんと出会ったときにはガーナ人だってこと隠してフランスから来たって言ってたらしくて、結婚する手続きの過程で判明したって聞いてます。

やっぱり、当時は親族からすごく反対されたみたいです。黒人の子を産むなんて、

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制度に守られない外国人と、守られる企業

制度に守られない外国人と、守られる企業

2018年12月。たまたま、裁判の傍聴に行ったときのことだった。

自分が傍聴しようと思っていた裁判の前に、外国人の不法滞在に関する裁判が開かれていたので、傍聴することにした。強い関心があったというわけではなく、たまたま時間があったから入ってみたというだけだった。

被告人席に座ったのは、中国から来た24歳の青年だった。

彼の実家はレストランを営んでいたが廃業し、両親を助けるためにお金が必要にな

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うんこをもらした話 〜ニューヨーク回想記③〜

うんこをもらした話 〜ニューヨーク回想記③〜

この話は下品な表現を多分に含んでおりますので、ご了承の上お読みください。

1度目〜マンハッタンの中心で叫ぶ

2020年1月15日。雪降る極寒のマンハッタン、その中心であるところのミッドタウンを私は歩いていた。多分、BOSEのヘッドホンを買おうと思って店に向かう途中の寄り道だったと思う。

最初はなんともなかった。私はいつもそうだ。外を出歩き始めたばかりのときにはそんなことになるなんて予想もさせ

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NYでのコロナウイルスによる影響日記27

NYでのコロナウイルスによる影響日記27

8月まで閉鎖が決まったものたちニューヨークにあるメトロポリタン美術館、これが8月中旬まで閉館を続けると発表した。

時を同じくして、NYRRから「8月いっぱいまで活動はすべてキャンセルする」というメールが来た。

NYRRとは、ニュー・ヨーク・ロード・ランナーズ……すなわちニューヨークでランニングを楽しむ人たちのコミュニティである。ボランティアと寄付によって運営されていて、主に週末の朝、公園に集ま

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手は口ほどに苦労を語る、らしい

手は口ほどに苦労を語る、らしい

「ぜんぜん苦労してない手だな」

とあるカウンター酒場で、隣に座った中年の男性に言われた言葉だ。

自分で言うのもなんだけど、私は指や爪の形がまあまあキレイで、昔からよく「女の子みたい」とか「ピアニストみたい」とか「手タレでしょうか」などと言われたもんだった。

手の形はさておき、私が苦労していないのは事実だと思う。

私の人生は基本的に逃げることの繰り返しだった。

逃げることに抵抗がなかったわ

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ハーレムで出会った、とある黒人起業家兄弟のお話

ハーレムで出会った、とある黒人起業家兄弟のお話

駒草出版のwebマガジン「ブラックカルチャーを探して」に寄稿しました。
NYCで出会ったアフリカン・アメリカンの起業家兄弟のことを書いています。

おまけでマンガもついてるので、ぜひご覧になってみてください。よかったらシェアしていただけると嬉しいです。