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暴力が嫌いだから
身長167cm、体重52kg。私の体型である。
軽、と思われたのではないだろうか。産まれたときは2550gで、あと50g軽ければ低出生体重児(当時は未熟児といわれていた)に認定されていた。親は産まれてきた私を見て「手羽先かと思った」という。
そんな感じで体が弱いせいか、痛みを伴う物事が嫌いだった。いや、今も嫌い。転んで擦りむくことやら、叩かれることやら、足を攣ることやら、タイ古式マッサージやら、すべてが激しく嫌いである。
痛みに対して強烈なリアクションを取るため、幼いころから「ぎょうらしい(大げさ・仰々しい)」と言われていた。転んで痛いのが怖くてスケボーはまるで上達しなかった。
当然ながら、喧嘩は超嫌いだった。殴られるのはめちゃ痛いし、殴っても痛い。最悪である。
殴らない喧嘩だって超嫌い。怒鳴る、詰める、罵るとかでも相当食らう。
なんならクソリプでも食らう。心拍数がぐんと上がり、正常な思考や判断ができなくなる。
ところで今、バイデン大統領就任式をテレビで観ている。
画面に映った議事堂に、こないだトランプ支持者が乱入した。5名が亡くなった。怪我人はもっとたくさんいるだろう。
トランプ氏は自分が扇動したとは認めなかった。
森友学園の国有地売却問題に関連して、財務省職員の方が自ら命を絶った。
首相も佐川氏も自分の関与や責任を認めなかった。
ちょっと前にホリエモンが餃子屋への文句をSNSでぶちまけたとき、ホリエモン支持者が餃子屋の営業を妨害した。
同じようにホリエモンは自分が扇動したとは認めなかった。
どっかの編集者が言った「死ぬこと以外はかすり傷」なんていう言葉は、自分の行動で誰かが傷ついているかもしれないという想像力がちょっとでもあれば出てこないはずだ。
問題を起こして「かすり傷」を負った彼は瞬く間に回復して何事もなかったかのように活動している。
そういうの全部、暴力的だと思う。
私はそれがとても怖い。
私がいわゆるリベラルとか左とか言われる側の価値観に自分との近しさを感じているのは、もしかしたら暴力が嫌だからということに尽きるのかもしれない。
リベラル的であっても、考え方の違う人を口汚く罵る人には良い印象をもてない。それも同じ理由で、暴力的だからだ。
痛みは怖い。臆病だと言われる。でも、転んだり病気したりなら仕方ないけれど、暴力による痛みなんていらないじゃないか。
日本はいっつも、アメリカの世相の影響を受けている。嘘と暴言の塊たる前大統領は、断末魔の雄叫びを上げながらも舞台からの退場を命じられた。その影響が日本にも早く波及してほしい。これ以上、めちゃくちゃが通ることのない世の中になってほしい。
就任演説を観ながら、そういうことを考えていた。
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