2022年4月の記事一覧
花田菜々子『シングルファーザーの年下彼氏の子ども2人と格闘しまくって考えた「家族とは何なのか問題」のこと』(毎日読書メモ(307))
前に『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』(河出文庫)を読んで、2年もたってしまった(感想ここ)。ちょうどその頃刊行された、花田菜々子『シングルファーザーの年下彼氏の子ども2人と格闘しまくって考えた「家族とは何なのか問題」のこと』(河出書房新社)をようやく読んだ。
前作同様、これもノンフィクションではなく、私小説なのだろう。ヴィレッジヴァンガード退
名刺がわりの小説十選(毎日読書メモ(305))
ついこの間、Facebookでやったブックカバーチャレンジで7冊の本を選んだ経緯をまとめたばかりだが(ここ)、最近Twitterでよく「#名刺がわりの小説十選」というのを見かけるので、また、選んでみたくなった。直感で選ぶ。勿論十選では選びきれないので、何回もやるかも。
トップ画像は吉行理恵『小さな貴婦人』が最初に新潮社から単行本で刊行されたときの表紙(葉祥明)。
吉行理恵『小さな貴婦人』
松家仁
『流されるにもホドがある キミコ流行漂流記』(毎日読書メモ(304))
引き続き北大路公子を読んでいる。『流されるにもホドがある キミコ流行漂流記』(実業之日本社文庫)は、文芸WEBマガジン「ジェイ・ノベル・プラス」に配信されていた連載「このページは現在作成中です」に2014年6月~2017年2月に掲載された原稿を補完して文庫化したエッセイ、というか流行漂流記。
これまでに読んできた昔から今にいたる北大路公子作品を思い出せばわかるように、流行とかトレンドとかから一番離
鈴木るりか『太陽はひとりぼっち』(毎日読書メモ(303))
鈴木るりか、という小説家を知っていますか?
小学校4年生から6年生までの3年間、小学館主催「12歳の文学賞」で連続して大賞を受賞し、受賞作に更に他のエピソードも追加した『さよなら、田中さん』(小学館)で小説家デビューしたのが中学2年生の時。それ以来毎年1冊のペースで新作を出し、この春大学に入学。
Facebookの中で入っている読書のグループで、『さよなら、田中さん』が話題になっていたので、読ん
ガレット・デ・ロワ絵本! 『王さまのお菓子』(石井睦美、くらはしれい)(毎日読書メモ(302))
プロフィール欄に「ガレット・デ・ロワ」と書くくらい、ガレット・デ・ロワが好きだ。毎年クリスマスを過ぎると浮足立ってきて、エピファニー(公現節)の1月6日あたりに気持ちがピークに来て、その後、菓子店やパン屋さんが販売を終了するまで、視線がガレット・デ・ロワを求めてさまよってしまう。今年も沢山食べた(1)(2) 。
昨年刊行された絵本、石井睦美・文、くらはしれい・絵『王さまのお菓子』(世界文化社)は
『ドードーをめぐる堂々めぐり 正保四年に消えた絶滅鳥を追って』(川端裕人)(毎日読書メモ(301))
ドードーを見たことのある人は誰もいない。でも多くの人が、それは昔絶滅した鳥の名前であることを知っている。鉤型の大きな嘴を持ち、ちょっと太っちょで、飛べない、そんなイメージもある人が多そうだ。それは、ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』の中に登場し、また、劇場版のドラえもんの映画に何回も出てきているからだろう。
かつて、人は、絶滅した動植物がある、ということを知らなかった。気候の変動とか、外来生
【7日間ブックカバーチャレンジ】(毎日読書メモ(300))
2年前、コロナ禍で急に巣籠り生活になった頃、SNS上で色々なお題とか、バトンみたいなものが流行った時期があった。人と交流するよすがとして何かテーマを決めて話をする、みたいな。その中で回ってきた【7日間ブックカバーチャレンジ】の記録。本の表紙だけを投稿して、他の人を紹介する、という趣旨だったが、どんどん話が長くなっていった。
1日目:今日ご招待するのは、〇〇さんです。わたし自身は、今日はベタな一冊
乾くるみ『イニシエーション・ラブ』『リピート』(毎日読書メモ(299))
乾くるみ『イニシエーション・ラブ』(文春文庫)。書店の店頭等で話題の本として取り扱われ、新刊でもないのに、なんだろう、と思って読んだ。
もうこれは、何も紹介できない。読んだ人すべてが、最後の一行で唖然として、慌ててページを返して、自分がそこまで何を読んできたのか、反芻してしまう、ある意味トンデモ本。読んだ人すべてが、そうそう、と、肯定的であれ否定的であれ、そのエンディングを忘れない一冊。読んでない
北大路公子『石の裏にも三年 キミコのダンゴ虫的日常』(毎日読書メモ(298))
北大路公子の読書続く。『石の裏にも三年 キミコのダンゴ虫的日常』(集英社文庫)は、前に読んだ『いやよいやよも旅のうち』(集英社文庫)(感想ここ)同様、「小説すばる」の連載をまとめた本。連載時のタイトルは「日記を書くためだけに生まれてきた」で、2012年12月から2014年12月にかけての日記が時系列に並べられている。紅白歌合戦を見ていて気付いたこととか、東京まで相撲を見に行った話とか、若干、時代を
もっとみる藤岡幸夫『音楽はお好きですか?』(毎日読書メモ(297))
指揮者・藤岡幸夫の『音楽はお好きですか?』(敬文舎)を読んだ。書き下ろしだが、朝日新聞関西版の連載エッセイやファンサイトで書いている文章などを補筆したり拡張したりしたものもあるとのこと。子ども時代の思い出、どういう風に指揮者を志すようになったか、教えを請うた素晴らしい指揮者たちとの思い出等、読みどころ満載。
子どもの頃、トスカニーニが振る「椿姫」のLPレコードを聴いて、指揮者になる、と決めた時、両
眉村卓『僕と妻の1778話』(毎日読書メモ(296))
2011年1月の読書メモより。眉村卓『僕と妻の1778話』(集英社文庫)。実際に、作家眉村卓が、病床にあった妻のために毎日書き続けた物語をおさめた作品集(1778話から52話をセレクト)。
映画『僕と妻の1778の物語』は同じ2011年1月に公開されている(見ていない)。主演は草彅剛と竹内結子。
映画タイアップ本。映画の予告編見て、泣かせる話かい、と思ったが、これは実際に小説家が病気の妻に向けて
『活版印刷三日月堂 小さな折り紙』(ほしおさなえ)とうとう大団円(毎日読書メモ(295))
ほしおさなえ『活版印刷三日月堂』(ポプラ社)シリーズを読み始めて4ヶ月半。いよいよ、番外編の2作目にあたる『活版印刷三日月堂 小さな折り紙』を読了。川越の街の片隅にたたずむ、印刷所三日月堂の物語も終わりだ。いや、月子さんとその周囲の人たちの物語は心の中で永遠に続くのだが…。
物語の通奏低音は、宮沢賢治、そしてあまんきみこ『車のいろは空のいろ』。どちらも、多くのエピソードに登場し、この本の中でも登場