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小説書くのが好きな人 読むのも好きです

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短編小説 「焼け空の一日」

 寒さを感じながら職場まで車を走らせる。工場から離れた駐車場に止め、そのまま入り口まで歩く。その道のりはオレンジ色から紫色、暗闇へ、徐々に変わっている。  更衣…

hoshi ichi
3か月前
12

全然、ここで何も書けずにいます。
近々、何かしらあげたいと思います。

私事ですが、自分で書いたものを上演する機会があり、今年は新作を書いて、演劇としてやろうかなと思っています。
なので、戯曲とかも載せようかなとも考えてます。

短編小説、あげます。

hoshi ichi
1か月前

明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
と言いつつも、中々作品を投稿せずに年をあけてしましました。
何というか小説とか戯曲とか投稿するのに少し気が引けてしまっていていたところがあります。
ですが今年も頑張ります。
そして新作書きました。

hoshi ichi
3か月前
4

短編小説 「記憶を歩く」

 気がつくと、俺が知ってる近所の公園にいた。  記憶が正しければ、さっき会社から出て帰宅しようってところだったはずだ。でも、空の感じは明らかに定時である17時15分…

hoshi ichi
6か月前
10

短編小説 「隣人と生活」

 働かなくなった私は、スマホを見るわけでもなく、本を読むわけでもなく、テレビを見るわけでもなく、何かするわけでもなく、ただ布団の上で横になり壁を見ている。いや、…

hoshi ichi
10か月前
26

短編小説「もちもちでクレイジーなばあちゃんの墓」

 うちのばあちゃんが爆発した。  お葬式の最中にも、それを思い出して悲しみたくても悲しめない。 広い荒野の真ん中で、うちのばあちゃんは爆発した。跡形もなくきれい…

hoshi ichi
11か月前
8

最近全然書けなくて、申し訳ないです。でもやる気が湧いてきました。
ということで新作です。
短編小説「こどもの遊び」
https://note.com/doolittle_1/n/n57e4b4e7ad67

ウォーキングヒム太郎のエンデングで蕎麦食ってるのと、駅を見上げるとホームが見えたので、なんかやる気が出ました。

hoshi ichi
11か月前
3

短編小説 「こどもの遊び」

 子供のころ、『ごろっちゃん』という遊びがあった。  誰が発案したでもなく、友達同士みんなで遊んでいたら、いつの間にかできていた遊びだ。  ルールは、住宅地の中…

hoshi ichi
11か月前
13

短編小説「冷めたモーニング」

 私には馴染みの喫茶店がある。土日の朝は必ずモーニングを食べにいくのが習慣になっている。定期的に通いたくなるほど、その喫茶店は居心地がいい。  マスターや、カジ…

hoshi ichi
1年前
11

掌編小説 『梯子』

 僕は今、梯子を登っている。ただ、ひたすら。理由は聞かないでほしい。コンクリートに囲まれていて、狭い。地面はもう見えない。地上もまだ見えない。遠く、遠くに小さく…

hoshi ichi
1年前
20

短編戯曲 「さよならがなごる。」

登場人物 ・姉 東京から帰ってくる元アイドル。      ・弟 姉の帰り支度の手伝いをしていた。  とある東京発の新幹線の車内。窓際にあるに二つの席。通路側に弟…

hoshi ichi
1年前
9

短編戯曲 「砂漠で迷う。」

登場人物 ・男 サラリーマン      ・運転手 タクシーの運転手  そこは日本にある大きな砂漠。当然、砂しかなく、どこまでも砂の地平線が広がっている。太陽に照…

hoshi ichi
1年前
7

短編戯曲 「69号線」

登場人物 男1  男2  そこは建物も木も草も何もなく、道が一本通っている。  そこに男1は道の真ん中で大の字に寝る。男2はその様子を見ている。 男1 道も、空も、…

hoshi ichi
1年前
6

短編戯曲 「場所取り」

 登場人物 ・ヤジマ オガタの先輩 花見の場所取りを任せられている。       ・オガタ ヤジマの後輩 同じく花見の場所取りを任せられている。  とある公園。 …

hoshi ichi
1年前
10

短編戯曲 「今日の『人』」

登場人物 ・雨岩駄 「今日の『人』」のMC       ・女性  たまたまいた人  どこかの駅前。  あるテレビ番組のコーナー「今日の『人』」のMCがスタンバイをして…

hoshi ichi
1年前
7

短編戯曲 「そんな目で見るな」

登場人物 ・ミヤザワ ・マキノ   とある会社の休憩スペース。 ペットボトルと空き缶のゴミ箱があり、その横に長椅子が一つある。  長椅子に女性(マキノ)が缶コー…

hoshi ichi
1年前
8
短編小説 「焼け空の一日」

短編小説 「焼け空の一日」

 寒さを感じながら職場まで車を走らせる。工場から離れた駐車場に止め、そのまま入り口まで歩く。その道のりはオレンジ色から紫色、暗闇へ、徐々に変わっている。

 更衣室で同じ作業員たちが、同じように着替え、各々の作業場に辿り着く。その中で様々な世間話、根拠のない噂話が飛び交っている。それはそれぞれの作業場に着き、作業を終え、自分の車に戻るまで続く。ここは饅頭工場で作業中は甘い香りが身を包むが、それは単

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全然、ここで何も書けずにいます。
近々、何かしらあげたいと思います。

私事ですが、自分で書いたものを上演する機会があり、今年は新作を書いて、演劇としてやろうかなと思っています。
なので、戯曲とかも載せようかなとも考えてます。

短編小説、あげます。

明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
と言いつつも、中々作品を投稿せずに年をあけてしましました。
何というか小説とか戯曲とか投稿するのに少し気が引けてしまっていていたところがあります。
ですが今年も頑張ります。
そして新作書きました。

短編小説 「記憶を歩く」

短編小説 「記憶を歩く」

 気がつくと、俺が知ってる近所の公園にいた。
 記憶が正しければ、さっき会社から出て帰宅しようってところだったはずだ。でも、空の感じは明らかに定時である17時15分の日が暮れている頃合いとは正反対で、おそらく昼過ぎくらいだろう。腕時計を確認したら、それは正解だった。

 そして、気になるのは、今、隣に知らない男がいるということだった。
同じくスーツ姿の男。彼は、私のことを見ていた。

 「なんすか

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短編小説 「隣人と生活」

短編小説 「隣人と生活」

 働かなくなった私は、スマホを見るわけでもなく、本を読むわけでもなく、テレビを見るわけでもなく、何かするわけでもなく、ただ布団の上で横になり壁を見ている。いや、正確には見えない壁の向こう側を見ている。アパートの住人なんて誰も知らないが、ただ、私の部屋の隣の住人を妄想し、ボーッとしている。

 大したことをしていないようだが、私には大きな発見だったのだ。決して、興味を持つ事がなかった隣人に興味を持っ

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短編小説「もちもちでクレイジーなばあちゃんの墓」

短編小説「もちもちでクレイジーなばあちゃんの墓」

 うちのばあちゃんが爆発した。

 お葬式の最中にも、それを思い出して悲しみたくても悲しめない。
広い荒野の真ん中で、うちのばあちゃんは爆発した。跡形もなくきれいさっぱり。だから、今、目の前にある棺桶の中はおにぎりが入っている。

 流石に何もないのは寂しいからおにぎりを入れてくれと、ばあちゃんから言ってきた。ばあちゃんは自分を爆発することを知っていた。

 「たまこ、ばあちゃんは爆発するから棺桶

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最近全然書けなくて、申し訳ないです。でもやる気が湧いてきました。
ということで新作です。
短編小説「こどもの遊び」
https://note.com/doolittle_1/n/n57e4b4e7ad67

ウォーキングヒム太郎のエンデングで蕎麦食ってるのと、駅を見上げるとホームが見えたので、なんかやる気が出ました。

短編小説 「こどもの遊び」

短編小説 「こどもの遊び」

 子供のころ、『ごろっちゃん』という遊びがあった。
 誰が発案したでもなく、友達同士みんなで遊んでいたら、いつの間にかできていた遊びだ。

 ルールは、住宅地の中をみんなで一斉に自分の気に入ったものを探しにいく。気に入ったものを見つけたら、『ごろっちゃん』という名前をつける。名前をつけたら、公園に集合する。みんなで『ごろっちゃん』を見せ合い、一番『ごろっちゃん』に相応しいものを決めるという、単純な

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短編小説「冷めたモーニング」

 私には馴染みの喫茶店がある。土日の朝は必ずモーニングを食べにいくのが習慣になっている。定期的に通いたくなるほど、その喫茶店は居心地がいい。

 マスターや、カジくん、マサさんという、私と同じ常連たちも皆、温かい。ユミちゃんという看板娘もいるのだが、誰もが認める美人で優しい女の子だ。もちろんコーヒーだって美味しい。まあ、私自信、コーヒーの味なんて詳しくはわからないが、美味しいと感じる。

 店内は

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掌編小説 『梯子』

掌編小説 『梯子』

 僕は今、梯子を登っている。ただ、ひたすら。理由は聞かないでほしい。コンクリートに囲まれていて、狭い。地面はもう見えない。地上もまだ見えない。遠く、遠くに小さく空が見える。それが今が夜で、もうすぐ朝だということを、なんとなく教えてくれた。僕はその小さな空を目指して登っている。

 一つ一つ、最初は急いでいたが、やがて急ぐことをやめ、かといって、ゆっくりになる事もなく、ただひたすら登り続けている。

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短編戯曲 「さよならがなごる。」

短編戯曲 「さよならがなごる。」

登場人物 ・姉 東京から帰ってくる元アイドル。
     ・弟 姉の帰り支度の手伝いをしていた。

 とある東京発の新幹線の車内。窓際にあるに二つの席。通路側に弟が座っている。スマホで暇を潰している。しばらくすると、姉がやってくる。

姉 さっきの子供。
弟 ん?。
姉 さっきの、ホームで盛大にお別れしてた。
弟 小学生?。
姉 うん。
弟 どうしたの?。
姉 スンとしてた。 
弟 え?。

 姉

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短編戯曲 「砂漠で迷う。」

短編戯曲 「砂漠で迷う。」

登場人物 ・男 サラリーマン
     ・運転手 タクシーの運転手

 そこは日本にある大きな砂漠。当然、砂しかなく、どこまでも砂の地平線が広がっている。太陽に照らされた、その砂のど真ん中に運転手が座っている。

運転手 あちぃ。・・・だめだ、腹減った。

 運転手はタクシーの方を見ている。
 男がやってくる。

男   直りませんか。
運転手 無理ですね。
男   すいません。
運転  いや、無

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短編戯曲 「69号線」

短編戯曲 「69号線」

登場人物 男1  男2

 そこは建物も木も草も何もなく、道が一本通っている。

 そこに男1は道の真ん中で大の字に寝る。男2はその様子を見ている。

男1 道も、空も、広い。
男2 ああ、ちゃんと表現されてる。
男1 え?。
男2 体。
男1 ああ。

 男2は道の先を見る。

男1 ほんと広い。
男2 な。
男1 どこまで続くんだ、世界。
男2 うん、足が痛い。
男1 痛い、痛いねぇ、広さを味

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短編戯曲 「場所取り」

短編戯曲 「場所取り」

 登場人物 ・ヤジマ オガタの先輩 花見の場所取りを任せられている。
      ・オガタ ヤジマの後輩 同じく花見の場所取りを任せられている。
 とある公園。
 陽気な空の下に、ブルーシートを広げている。しばらくすると人で満タンになるはずのブルーシート。しかし、今は男(ヤジマ)が一人浮かない顔をして座っている。

 オガタがやって来る。

オガタ あっちの方、すごいですよ。
ヤジマ あ?。
オガ

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短編戯曲 「今日の『人』」

短編戯曲 「今日の『人』」

登場人物 ・雨岩駄 「今日の『人』」のMC 
     ・女性  たまたまいた人
 どこかの駅前。
 あるテレビ番組のコーナー「今日の『人』」のMCがスタンバイをしている。
 そこに丁度、女性が一人、立ち止まりスマホを触り出す。

 
雨岩駄 と言うことで、「今日の『人』」。MCの雨岩駄(うがんだ)です。毎度、お題の人にインタビューをしていくだけのシンプルなコーナー。
今日のお題の人は「50代、男

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短編戯曲 「そんな目で見るな」

短編戯曲 「そんな目で見るな」

登場人物 ・ミヤザワ ・マキノ 

 とある会社の休憩スペース。
ペットボトルと空き缶のゴミ箱があり、その横に長椅子が一つある。

 長椅子に女性(マキノ)が缶コーヒーを飲んで休んでいる。

 やがて、自動販売機から飲み物が落ちる音が聞こえてくる。しばらくすると、缶コーヒー片手に男性(ミヤザワ)が現れる。

ミヤザワ お疲れっす。
マキノ  お疲れ。
ミヤザワ なんとか終わりましたね。
マキノ  

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