マガジンのカバー画像

Sain'o O(セインオーオー)*楽曲秘話

10
僕の1st album "Sain'o O"(セインオーオー)に収録されている全10曲の背景にあるストーリーを綴っています。
運営しているクリエイター

記事一覧

初めて聴くのに懐かしい。

初めて聴くのに懐かしい。

「蝉」

初めて聴くのに懐かしい。

こんな感覚ってないだろうか。
この曲なんかに似てない?でもこれだってのは思い浮かばない…

僕は好きな音楽にはだいたいこういう感覚を覚える。

きっと前世の記憶だろうとか、そういう非科学的な片付け方をしてしまうのだけど。

いつの時代に聴いても古くも感じないし新しくも感じない。
でも、シンプルに、いい曲だなぁ。
っていう曲づくりがしたいと常々思っている。

もっとみる
あの手紙、どこへやったかな。

あの手紙、どこへやったかな。

「たんす」

あの手紙、どこへやったかな。

僕は昔から今も変わらず手紙は大事に取っておくというか、もらうのも好きな方だ。(なんならとっ散らかってしまって意味わからなくなって伝わらないよねごめん、みたいな熱量のある長文が好きだ。)

高校のときに付き合っていた子が、当時まだ何者にもなろうとしていなかった僕に、"本当に孤独を感じたときにはじめて読んでね"とフェルト生地の手作りお守りに忍ばせてくれた手

もっとみる
別れってものにひどく臆病なんだ。

別れってものにひどく臆病なんだ。

「五月雨」

別れってものにひどく臆病なんだ。

出逢いは素晴らしいものだけど、形は異なれど必ず別れがくるでしょう?
あれが耐えがたいんだ。

だからいっそのこと出逢わなければよかったなんて思ってしまう。

もちろんそれは100%の本音ではないよ。
でも半分くらいは本気で思ったりするな。

命は生まれ変わるなんてことがあるとして
もし今世で別れても、また来世で逢えるのだろうか。もしかしたら前世でも

もっとみる
僕の命はそこにある。

僕の命はそこにある。

「僕の命はそこにある」

あの鳴き声はなに?

夜の散歩中に聞かれた。

あれはホトトギスだよ。
初夏になるとどこからともなく聴こえてくる。

姿は見えないし気配はないけど、いるんだね。

草むらを歩けば、足元には、無数の虫たちがいる。
小さくて見えないだけでね。

踏んづけてる?

たまたま踏んづけられてしまう命もあるだろうね。

笑いながら歩いたあの道でも、踏んづけてたのかな。

そういうこと

もっとみる
ゼロポイント。

ゼロポイント。

「Sain'o O」

波の音がする。

聴き覚えのない言語で何か話している声が聴こえる。妙に心地いい。

砂…じゃない。
土の感触を背中に感じる。

まだまだぼーっとした頭で、ようやく目を開けると
太陽の光が穏やかに、脳を覚醒させていく。

声の主たちは思いの外近くにいるようだ。
その声には、どこからともなく聴こえてくる歌のような心地よさと、耳元で語られる絵本のような温もりを感じた。

身体をよ

もっとみる
行くさ。

行くさ。

「ikusa」

戦わずして勝つ。

戦わないのだったら勝ちも負けもないのではないか、とも思うが、戦いにも色々ある。

自分との戦い、恋敵との戦い、競合との戦い…

また何を勝ちとするかも価値観によって違う。

かつて、真田家が、井伊家が苦慮の上実行したように、ときに、真っ向から立ち向かわないことで守るべきものを守る、という"勝ち"がある。

それらは孫子"兵法"の教えの中核でさえあるように思う。

もっとみる
"切ない"を遠巻きに眺める。

"切ない"を遠巻きに眺める。

「紅葉」

人は忘れる。
ひょんなこと、ときに忘れてはいけないことも。

人は忘れたい。
忘れたいことを。

人は忘れない。
ひょんなことを、そして忘れたいことを。

切ないという感情は嫌いではない。
なるべくなら味わいたくないが、決して悪者ではない。
少なくとも、作家にとっては大事な"ネタ"だ。

何者も、ある点ではなされるがままで
もがいても敵わない相手や、あがいても叶わない夢はある。
どうに

もっとみる
おはようとおやすみのあいだに。

おはようとおやすみのあいだに。

「サテライト」

"5...4...3...2...1..."

------------------------------------------------------

夜中にとつぜん目がさめました。
おきてみると、ぼくの体はういていました。
「ここはどこだ。」ぼくは、ちょっとドキドキしました。
そこは、なんと宇ちゅうでした。(なんでこんなところにねてるんだろう)


---------

もっとみる
きひろといふものは。

きひろといふものは。

「YeLLow」

ロックンロールってものが一体なんなのかなんて
わかったものじゃない

大人になると
やりたいなにかをするのに
特になかったはずの理由をつけたり
説明をすることができるようになる

それはただの衝動であったはずなのに
理屈を述べることができるようになる

必要とあらば、目指すべきところを
こしらえることができるようになる

刹那的に衝動に従う
というシンプルなことが
幼稚なのでは

もっとみる
それは哀しさに似た懐かしさ。

それは哀しさに似た懐かしさ。

「ヒグラシ」

なんか夏って、エモいよね。

そんな会話を盗み聞いた僕は心中でうなずいた。
(エモいの意味を調べた後で)

エモいとはエモーショナルつまり感情的情緒的なさまを表すつまりなんか胸が締め付けられるというか…グッとくるよね…って意味らしい。

思い返せば、夏の記憶はいつだってエモい。
生きたことのないはずの時代の夏の風景が脳裏に浮かぶことすらあるから不思議だ。

入道雲、ばあちゃんの呼ぶ

もっとみる