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福祉の仕事

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仕事中に気づいた発見や喜びを書いています。
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#優しい

上司の違い

上司の違い

その日は朝から花粉がひどかった。

薬を飲んでいたのに鼻水が一時間止まらずに酷い目にあった。

日中は目が痒くて仕方ない。
目の痒みは終わることがなかった。

 
今日は急ぎの仕事はないから
早く帰ろうと思っていた。

 
その日は午後少しだけ雨が降り
黄砂か花粉が車にベッシリ張りついていた。

その日の私担当の送迎車を見た時は唖然とした。
まさか車がそんなことになっているとは思わなかった。

 

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雪の日の優しさ

雪の日の優しさ

「今日、運転大丈夫ですか?」

リーダーが聞く。
なんでも、遠くに住んでいる利用者の家の方は雪が降って大変だったらしい。

 
でも
私が今から送迎に行く予定のルートは雪がパラつきだしたくらいで
道は凍っていなさそうだった。

 
「無理なら代わりますよ?」

リーダーは優しい。
だから私は大丈夫だと言った。

「どちらかといえば不安なのは今度の販売場所ですよ(笑)
ほら、職員みんなあの辺詳しくな

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おいしいコーヒーの入れ方

おいしいコーヒーの入れ方

ある日の夕方
リーダーから「コーヒー飲みますか?入れますよ。」
と言われた。

 
「お願いします。」と私は言った。その提案に驚いた。

 
コロナ禍になり
私の職場はコーヒーやお茶をいれないし、飲まないからだ。

 
前の職場は私がお茶やコーヒーを入れることがよくあり
どのコップが誰のか、誰がブラックか砂糖を入れるかを把握したものだが
転職してからは覚える必要がなかった。

 
「仕事が終わった

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優しい人が休みたい時に気兼ねなく休めるように

優しい人が休みたい時に気兼ねなく休めるように

明日はポスティング作業だ。

ポスティング作業担当の私は前日のうちに割り振りをする。

 
とはいっても
どのエリアを誰がやるかは大体決まっている。
休みが出た場合ややむを得ずできない人がいる場合に
私は調整する役目だ。

だから私は
ある程度好きな配布場所を選べる立場でもある。

 
私はシフト表を見た。
休みの職員を確認する。

…リーダーだ。
リーダーが休みだ。

私は、ガーン、となった。

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鍵の特訓と販売

鍵の特訓と販売

私の職場は鍵が閉めにくい。
鍵を持つ同僚がよく施錠で苦戦するのを
この一年半ずっと見てきた。

 
鍵を持つ同僚は何人かいて
だから新人の私に
鍵を渡そうという動きにはならなかった。

ところが、だ。
ある土曜日、私はイベント販売の仕事になった。
私と共に販売になる職員も鍵は持っていなかった。

 
ついに、鍵の開け閉めを行わなければいけない日がやってきた。

 
だが、私は呑気だった。

その同

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朝一で言われたこと②

朝一で言われたこと②

利用者に顔を噛まれた日
私は連絡帳に状況を書いた。

 
保護者は連絡帳を見てからすぐに施設に電話をくれた。

 
「申し訳ありません。傷はどんな感じですか?」
「一日も早く治ることを願っています。冷やしていただいて、もしひどいようでしたら通院お願いします。申し訳ありません。」

 
そんな風に言っていた。

 
その利用者に噛まれるのは私は初めてではなくて
私以外もよく噛まれていて
だけど保護者

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小雨の中、走る理由

小雨の中、走る理由

その日は雨が降っていた。

 
夕方、私が送迎から戻ってくるとお客様が来ていた。

どうしよう、と思った。
お客様の車の停車位置の関係で
送迎車を狭い場所からバックしないと駐車できなかった。

 
玄関からキョロキョロ中を覗くが
たまたま職員が見当たらない。

 
再びどうしよう、と思ったら
お客様がもうすぐ帰ることが分かった。
玄関に近づいてきたのだ。

 
私はハザードをつけ 
停車し
車の外

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扇風機と思いやり

扇風機と思いやり

その日は朝から利用者が不穏な様子で
リーダーは朝から個別対応だった。

攻撃的な言動が続いたようだから
どんなに神経をすり減らしたことだろう。

 
お昼も13:30頃だったし
ちゃっちゃと食べなきゃいけないし
食べた気はしなかっただろう。

 
 
その日の夕方
私は個室で一人作業をしていた。

 
送迎から戻ったリーダーが扇風機を抱えて歩いていた為
各部屋に出すのかと思っていた。

扇風機を用

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雨の日の買い物

雨の日の買い物

その日は雨が降っていた。

毎週月曜日は利用者のお昼をみんなで歩いて買いに行く。
それは雨でも変わらない。

 
出発時は小雨だったが
段々雨足が強まっていった。

スーパーまでは徒歩30分。

次第にみんな無口になる。

 
私は利用者AさんとBさんと一緒に歩いた。
Aさんは歩くスピードが速く、Bさんはゆっくりだ。
Aさんは時々チラッと後ろを見てBさんを待つ。

そんな二人を見ていると微笑ましか

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販売の次の日の仕事は雨の中

販売の次の日の仕事は雨の中

販売出勤の次の日
月曜日は雨が降っていた。

 
たまたまその日は送迎後に納品を頼まれ
買い物も頼まれた。

さらに、その日は資材を取りに行きがてら、下請け作業のミスを報告に行かなくてはいけない。

雨の中だと
ちょっと面倒くさい。

 
その日は担当者不在で代理の方にミスの件を伝えると
「それだけの量の作業があればミスもありますよね。」「他の施設もけっこうミスがありましたよ。」と言ってくれた。

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無言で頷いた同僚

無言で頷いた同僚

施設長が
「あの作業は職員何人必要なの?」と急に聞いた。

 
私は咄嗟で焦った。

「…私、Aさん、Bさん、Cさん、Dさん…………で、5人…?」

すると、同僚のAさんが私を見て無言でコクリ、と頷いた。
施設長からは死角だった。

「5人です!」

私はハッキリ言った。

 
ありがたかったし
ときめいた。

 
 
こうしてさり気なく助けてくれる男性って
素敵だよね。

悪魔だと言う利用者

悪魔だと言う利用者

利用者が「私は悪魔なんだよ。」と言った。

だから私は「なんでそう思うの?」と聞いた。

 
「だって、人を傷つけて泣かせちゃうし、みんなに怒られるんだもん。」

 
「ん~でも、〇〇さんもしも悪魔だったら、傷ついて泣かないんじゃない?〇〇さんだって、誰かの言葉や行動に傷ついたら泣いちゃうじゃない?」

 
「そうだね。泣くね。」

 
「人間だよ。大丈夫。〇〇さんは自分に正直なだけだよ。私は〇〇

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仕事の帰り道に泣いた日

仕事の帰り道に泣いた日

人手不足だとか
初めての業務だとか
施設長の指示に従っただとか 
自分なりの考えの元動いた結果なのだが
この一週間
ちょこちょこ失敗し 
ちょこちょこあれこれ言われ

少しずつ少しずつ
心が重くなった。

 
昨日の帰り道
自分の車に乗り込んだ瞬間
無性に泣けてきた。

力不足で情けないとか
迷惑かけて申し訳ないとか
理解されない惨めさとか 
なんともいえない怒りとかが
重なって重なった。

 

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研修の日に感じたこと

研修の日に感じたこと

一日オンライン研修の日。
その日は職員の休みが多かった。

 
私は利用者に朝の挨拶をする間もなく
研修準備に取りかかった。

「パソコンすぐに立ち上がらないから、もう準備に入っていいですよ。ここの仕事はやっておきますから。」

「部屋はブレーカー落ちない程度に暖房つけておきましたから。」

リーダーがそう言ってくれた。

 
私は気持ち早めにパソコンがある部屋へ向かった。

 
 
パソコンを立

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