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脳血管疾患後の入院

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脳血管疾患後の入院期間や経過、リハビリなどについて
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流暢性失語症の回復過程

流暢性失語症の回復過程

前回、非流暢性失語症のお話を書かせていただきました。

今回は流暢性失語症についてです。ウェルニッケ失語、超皮質性感覚失語症、健忘失語、伝導失語を指します。名前だけ聞いてもさっぱりわからないですよね。

流暢性失語症の方は「発話量は多くて、文でなめらかに話をしているけど、言葉のいい間違いが多くなにを言いたいのかわかりにくい。こちらの言っている話が伝わりにくい」という印象を与えることが多いです。

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認知症重度になっても食べて、話ができるといいな

認知症重度になっても食べて、話ができるといいな

医療的な認知症末期は7段階に分けられています。段階7: 非常に重度な認知機能の低下
(重度あるいは後期段階のアルツハイマー病)これはアルツハイマー病の最終段階であり,患者は環境に反応したり,会話したり,最終的には体の動きを制御する能力を失う。 この段階でも,単語や文章を口にする場合がある。
この段階の患者には,食事やトイレの使用を含めた,ほぼ全般に渡っての日常介護が必要である。 微笑んだり,手助け

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非流暢性失語症の回復過程

非流暢性失語症の回復過程

一番の本業とも言える失語症について書いてみようと思います。

失語症とは、脳の外傷や、脳梗塞、脳内出血などによって、大脳の言語をつかさどる部分が損傷して起こる言語障害の一種です。聞く、話す、読む、書く、計算のほぼ全ての言語面に程度の差はありますが何かしらの不具合が生じます。流暢性と非流暢性失語症の大きく2つに分けられ、今回は非流暢性について書こうと思います。全失語や、ブローカ失語、超皮質性運動失語

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青竹踏みで一生歩ける身体に!

青竹踏みで一生歩ける身体に!

つい先日、シューフィッターさんという足のプロのお話を聴ける機会に恵まれました。
目から鱗がぼろぼろとこぼれ、驚きの連続。

足裏は家である身体の土台。
土台がぐらぐらだと、首、背中、腰、膝などの位置も悪くなり痛みが発生します…💦

それはなぜ?
足は3つのアーチからなります。
この3点で立てたらむっちゃ楽なんです。
が、なんせほとんどのかたは癖があるので難しい。私も全くできず首肩背中が凝り凝り。

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低酸素脳症後のリハビリ

低酸素脳症後のリハビリ

低酸素脳症の予後ってどうなのでしょうか?

低酸素脳症とは、「心肺停止の蘇生後に生じる脳の損傷のことをいいます。通常、病院の外で心肺停止になった患者さんの心拍が再開したとしても、約7割がこの蘇生後脳症で命を落とすといわれています。また、そうならなかった場合でも脳に障害が残り、寝たきりの状態になることも少なくありません」下記の近藤豊先生が述べられています。

勤務先の医師に聞いたところ、最初の時点で

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脳出血後の回復過程

脳出血後の回復過程

脳出血と脳梗塞の後、実際の回復に違いがあるのでしょうか?以下、脳出血について種々書いてくださっており、わかりやすいかなと思います。

が、病院で働いていて体験として感じるのは、①脳出血の方が意識障害など脳梗塞より初期の症状が重いことが多い、②出血がひいてくるとぐんっとよくなるタイミングがあることが多いという2点です。

①脳出血であふれ出した血液が固まって「血腫」となり脳神経を圧迫する場合には緊急

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水分補給は病気の予防になる?エネルギー補給になる?

水分補給は病気の予防になる?エネルギー補給になる?

仕事柄、脳血管疾患の方によくお会いします。病気になった後、「あのときいつもより水飲んでなかったんです…飲んでおけばよかった…」というセリフをよくお聞きします。水分不足で麻痺が進行し、「水を飲んでみて」とお伝えし飲んでもらうと一時間後に落ち着いたこともあります。

人の身体の大部分(成人で55-60%、高齢者で50%)は水でできています。

「一日最低1リットルは飲むように」お医者さんがそう言います

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集中治療室?一般病床?回復期病床?なにが違うの?

集中治療室?一般病床?回復期病床?なにが違うの?

脳血管疾患で入院したら、集中治療室→一般病床(→必要に応じて回復期病床)→退院となります。

これ、どう違うのでしょうか?

①集中治療室…症状が不安定な方対象。心電図や血圧、酸素飽和度などの常時測定されており、おしっこの管などもつけられていることがあります。24時間看護師さんに見守られています。理学療法、作業療法のリハビリが開始されます。一日20分×2回とか。

②一般病床…症状が安定した方対象

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言語聴覚士のリハビリを受けるには?

言語聴覚士のリハビリを受けるには?

2022年3月時点で言語聴覚士は3万8000人の有資格者がいるそうです。日本言語聴覚士協会のホームページをみると、有職者が2万人弱。7割が病院なので1万4000人、施設が4000人ほどとなるようです。

言語聴覚士のリハビリって必要な人に届いているのでしょうか?

わたしの働いてる総合病院は回復期リハビリを目的とした転院も受け入れをしています。その時に、言語のリハビリは受けてない、何回か口の動きと

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病気の後の悩ましい排泄問題

病気の後の悩ましい排泄問題

おしっこ一日に5-10回、うんち一日1回(週3回以上)でてますか?

病院ではシートがあり、一日の排尿、排便回数を記入し、看護師さんがカルテ記録に残しています。水分摂取と食事量という身体にインした量と合わせて、インアウトバランスをみています。
身体に入っているのに出ていない。これ危険信号です!

尿や便が排泄されることで、老廃物や毒素も排泄され、むくみ防止、皮膚のターンオーバー促進、腸内細菌の正常

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入院中、どこまで医療従事者に聞いていいのかな?

入院中、どこまで医療従事者に聞いていいのかな?

私自身は2週間ほどの点滴加療入院を2回したことしかないのですが、「うん?」と思うことがありました。
患者さんからもいろんなお気持ちをお聞きし、医療従事者の一人として申し訳なく思うことがあります。

よくある疑問
・どこまで医師に聞いてもいいの?
・医療従事者の説明が不十分で不安
・医療従事者の説明がわかりにくい
・何か質問は?と聞かれてもすぐに答えられず、後で疑問が…。誰に聞けばいいの?
・今の検

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脳血管疾患になったら仕事はどうなる?

脳血管疾患になったら仕事はどうなる?

脳血管疾患になる40代の方々も珍しくなくなってきました。お若い方だと、生活習慣やストレスフルな環境が影響していることが多いです。身体に無理のかかる働き方、暮らし方にはご注意を!

脳血管疾患後に職業復帰できるか?
以下、厚生労働省の出している データです。病院で働いている肌感覚的にも職業復帰率は50-60%ぐらいです。急性期から回復期病棟を経由して、退院して自宅療養を少しして体力が戻ったら復帰する

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脳血管疾患後の退院先は自宅?施設?病院?

脳血管疾患後の退院先は自宅?施設?病院?

脳疾患疾患の方々の退院先ってどうやって決まるのでしょうか?

よくあるのは、「トイレまで自分で行ってくれたら自宅を希望します」というご家族の発言。
その通りになって自宅退院になる方も多いですが、見守りが必要であったり、一部ズボンを上げるなどの介助が必要な場合も結構あります。

あまり知られていませんが、ご飯を口から食べられるかどうかも退院先に大きく影響します。
主に、
食べられる→自宅、老人福祉施

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脳疾患後、退院日を決めるのは誰?

脳疾患後、退院日を決めるのは誰?

前回、脳血管疾患後の退院までの流れを書きましたが、退院ってどうやって決まるのでしょうか?

医師が退院許可をだしたら?
それも一つですが、医師の行う治療は急性期の間にほぼ終了します。治療終了=退院に必ずしもなりません。その後は機能回復のためのリハビリテーション目的で入院を継続することになります。

元通りの状態になったり、生活に全く支障がでない状態になり退院ということもありますが。

多くの方々は

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