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日常の話

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最近読んだ本や見た映画など日常のことについてまとめています。
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#フランス

分岐点といえるほど大それたものではないけれど、人生の選択肢の話。

分岐点といえるほど大それたものではないけれど、人生の選択肢の話。

冬が近づくと街もスーパーマーケットもクリスマス装飾に飾られて、あっという間に年の終わりを感じさせる冬。

あの人生の分岐点で、タイミングで、電車に乗って、あるいは飛行機に乗って、または徒歩であの場所まで行って、あの人たちに会いに行って、もしくは偶然会って。たくさんの選択肢を選び決め覚悟を取ってきたじぶんの、現在の立っている場所をいま振り返って考える。



例えば、「ヴァンショVin chaud

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気づかずに通り過ぎることだけは避けたい愛を書き連ねる

気づかずに通り過ぎることだけは避けたい愛を書き連ねる

・夏の早朝の透き通った空気

夏の朝はやく、5時でも6時でもいい。
まだ暑くなる前の透き通った空気、騒音のない静かな雰囲気、誰にも汚されていない時間帯。まだ鳥も人間も目が覚めていないような、世界中がまだ眠っているような、そんなぽっかり穴があいたような空間にただひとり、起きる。この世界をはじめるのはわたしだ、と高らかに宣言しても誰も聞いていないような、そんな見放された時間がとにかく好きだ。

・ヨー

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カナダの映画監督グザヴィエ・ドランが、すべてのはじまりだった。

カナダの映画監督グザヴィエ・ドランが、すべてのはじまりだった。

グザヴィエ・ドランが映画監督としての仕事から身を引く。

と、聞いたのは7月8日のことだった。

引退発表につながる、スペイン雑誌の取材で彼の言葉として引用された
「アートは役に立たない。映画に打ち込むのは時間の無駄です」という言葉は、わずかばかりの悪意をもってソーシャルメディアで広がり、彼自身の映画業界からの撤退をさらに大きく知らしめることになった(それは翻訳のあやで、実際は本人が詳しく自分の言

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どれだけ行きたい方向があっても風に乗らなければその場所に向かうことはできないという話

どれだけ行きたい方向があっても風に乗らなければその場所に向かうことはできないという話

フランス生活にもだいたい慣れて友だちもでき、なおかつ仕事もある程度落ち着き始め、ふと「新しいことを全然していないな」「なんだかルーティンだな」と感じるようになったので、がつんと壁を破るようなことを実践してみようと申し込んだウィンドサーフィンのスタージュ(集中レッスン)。

ウィンドサーフィンはフランス語ではPlanche à Voile という。帆のあるボード、という意味だ。日本だと湘南とか逗子・

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たいしたことある日々のこと230628

たいしたことある日々のこと230628

弁護士訪問の日のことである。

その事務所の廊下はまったく電気がついていなかった。探している部屋の扉に書いてある名前すらも携帯電話の光をつけなければわからないくらいだ。わたしたちはもしかすると騙されてしまったのだろうか、そんな不安が頭をよぎる。三階のそのフロアの端から端までを探しても見当たらず、一度地上階に戻る。そして住人だろうか、あるいはその質問をよく受けるのか、学生のような若い男の子が言った。

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断片的な思考の備忘録と、きらきらしていないほうのプロヴァンスの日常について

断片的な思考の備忘録と、きらきらしていないほうのプロヴァンスの日常について

フランスにいるといろんな国籍のカップルと話す機会に恵まれるのだけど、アルジェリアにルーツのある女性(ほぼ同い年)と話をした時、彼女の自覚的か無自覚か「男性を立てる」姿勢が言葉の節々に出ていたの、どこか昔の日本のようで、アラブ社会は父権的家族制が根強くあるんだよなあと改めて思い出した。

仕事は生活のためで別に好きでもないという彼女に「この先どんな仕事がしたい?」と聞くと、「わからない。何かの勉強を

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たいしたことない日々のこと220618

たいしたことない日々のこと220618

プロヴァンスはフランスの一部であるけれど、プロヴァンスがイコール・フランスそのものになるとは限らない。

いわゆる多くのひとが一般的に想像する「フランス」は「パリ」のイメージで、プロヴァンスははっきりいってそういうものとは真逆のような気すらする。オスマン様式のアパルトマンに囲まれた都市ではないし、メトロもエッフェル塔も凱旋門もない。エクス・アン・プロヴァンスなら高級感のある雰囲気は感じられるけれど

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たいしたことない日々のこと220608

たいしたことない日々のこと220608

先週末、折り紙のワークショップを近郊の街でやってきた。

ひとりで老若男女のフランス人を相手に、とはいえ主に小さい子どもが多くて2日間で50人以上折り紙を教えただろうか。2週間前にも同じようなイベントを実施したから、慣れていた部分もあったし今回はより静かな環境で、ゆったりと時間をとって実施できたのも良かった。総じて充実した週末。

そして、心に響くような言葉を抱えきれないほどもらったのだった。

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たいしたことない日々のこと220325

たいしたことない日々のこと220325

ほんとうは仕事が詰まっていてnoteで文章など書いている場合ではないのだけど、なんとなく書きたくなったのでそういう時は頭の中が言葉で満ち溢れてぽろぽろとこぼれてしまっている状態だから、書きたいことだけ書いてみよう。

まいにちのことを、振り返ろうとする試みの意義

10年以上続いた日記を書かなくなって、少しの罪悪感とすっきりした感覚と。ここ最近は振り返るのもなんだか無意味だなあという気持ちになって

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たいしたことない日々のこと200920

たいしたことない日々のこと200920

ちょうど昨日、巡礼者を街で見かけた。家の前の通りで、まっすぐと前を見つめ重たいリュックを掲げながら歩く男性。そこは巡礼路のルートから外れているからたぶんそのひとは何か必要にかられてこの道を通ったのだろう。初老の男性、背負ったリュックの汚れ具合、上部に飾られた帆立貝、靴の姿からみてここから新しく歩き始めたひとではない。パリでそういう姿をみるなら、彼はいったいどこから歩き初めているのだろう?

彼から

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たいしたことない日々のこと200906

たいしたことない日々のこと200906

8月中旬に更新したブログを読んでみると、その頃はビザ取得に関する事柄で頭を抱えていたようだ。結局のところこれは長引いて、すべての書類の問題が解決したのは渡仏3日前くらい。とにかく時間がかかったし直前までは不安でならなかった。それでも今は無事にフランス・パリにいる。

ようやくたどり着いた、というわずかな安堵感があるものの、あまりにもシームレスにかつ滑らかに入国しPCR検査もせず、友人と再会、アパル

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たいしたことない日々のこと0724

たいしたことない日々のこと0724

どうでもいい記録の日記、たいしたことない日々のこと。

あまり発する意味や意義を感じない言葉、思考、生産物のなりそこない、それでも見られることを意識しながら書くこと、あるいは時間の変容でどれくらい考え方が変わっているのか知りたくて不定期にnoteでの日記は残しておこう、と思い更新する。あまり読み返しはしないからほぼ一発書きで。



更新曜日を気にせず、書きたいことを書くようにしよう。ここのとこ

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