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詩歌以外(エッセイなど)

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来たるべき言語化の時のために──一人暮らしでめまいに襲われて救急車を呼んだ話

来たるべき言語化の時のために──一人暮らしでめまいに襲われて救急車を呼んだ話

[おことわり]
わたしは医療の専門家ではありません。ここに書かれていることは素人の所感です。必要に応じて、医療機関や医師が発信する正確な情報を参照してください。
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先週の木曜夜から金曜午前中にかけて、救急搬送されて入院した。原因となったのは、「良性発作性頭位めまい症(BPPV)」という病気である。

内耳の耳石器という部分にある、耳石という炭酸カル

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2020.04.21 淡々東京ぐらし#16 東京駅のカルボナーラの思い出

2020.04.21 淡々東京ぐらし#16 東京駅のカルボナーラの思い出

必ずしも望んだことではないが、緊急事態宣言下の巣籠り生活もだんだんと堂に入ってきた。料理のレパートリーは順調に増えている。

週末に拵えるつくりおきのおかずの他に、パスタを頻繁に作っている。トマトソース系、オイル系、バター醤油系ときて、今週はクリームパスタ強化週間ということにした。というわけで今日はほうれん草とベーコンのクリームパスタ。生クリームは使わず、牛乳と小麦粉だけでクリームソースが作れる。

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2020.04.19 淡々東京ぐらし#15 世界が変わる前の世界を見ている/あれケチャップだったんだ

2020.04.19 淡々東京ぐらし#15 世界が変わる前の世界を見ている/あれケチャップだったんだ

いつ頃からと正確にカウントしているわけではないが、半年ぶりくらいに短歌をつくった。つくったはいいけど、推敲してもなかなかこれと決まらずにいる。一首だけでは力が足りないので、ちょっと連作に組み込んでみて様子をみようと思う。文脈があれば案外活きるタイプの子かもしれない。

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テレビはだいたいNHK総合かEテレを見ている。元気じゃなくても見ていられるし、知的好奇心を刺激されるものが多い。

昨日

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2020.04.15 淡々東京ぐらし#14 ファンクを歌うジーザスあるいはサバ水煮缶のアクアパッツァ風

2020.04.15 淡々東京ぐらし#14 ファンクを歌うジーザスあるいはサバ水煮缶のアクアパッツァ風

入社してまる2週間が過ぎた。リモートワークでずっと家にいるので、ただでさえ運動不足なのが余計に気になる。昨日は10分間のエアロビクスをやったが、今日は10分間のエアロビクスに加えて5分間の筋トレ、それから肩周りのストレッチをやった。

5分間の筋トレの負荷が思った以上にすごくて、脚がガクガクになった。「地獄の5分」は伊達じゃなかった。

普段おろそかにしてしまう肩回りのストレッチも、3分間かけてじ

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2020.04.14 淡々東京ぐらし#13 筋肉に気づき珈琲を淹れる

2020.04.14 淡々東京ぐらし#13 筋肉に気づき珈琲を淹れる

入社から10日目、すなわちリモートワーク開始から10日目になった。

晴れたので、今日も昼休みに散歩に出かけた。ツツジの植え込みを眺め、小さな神社を見つけたのでお参りをした。まだ新しい、つるつるの獅子狛犬の写真を撮った。

身体を動かし足りなくて、研修中の10分間の休憩時間にはエアロビクスをやった。YouTubeで検索すると、お手本動画が山ほど出てくる。飛び跳ねる動作がないので集合住宅でも大丈夫、

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2020.04.13 淡々東京ぐらし#12 カレン・カーペンターとパーカーの首周り

2020.04.13 淡々東京ぐらし#12 カレン・カーペンターとパーカーの首周り

起きたら雨は止んでいなかった。なんということだ。家の中にひねもす籠りきりのリモートワークで気づまりだというのに、散歩に出たそばからずぶぬれではないか。

カーペンターズのヒット曲、Rainy Days and Mondaysは「雨の日と月曜日はいつも憂鬱」と歌うが、今回は雨の日かつ月曜日だ。憂鬱が二倍がけになってやってくる。

ひさしぶりにカレンの歌声を聞いたら、あまりに豊かな中低音と伸びやかな歌

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2020.04.10 淡々東京ぐらし#11 脳が処理落ちしている

2020.04.10 淡々東京ぐらし#11 脳が処理落ちしている

ヘッダーの写真と文章の内容は関係ないが、私がなくならないでほしいと思う飲食店のひとつ、石川県白山市の「キッチンユキ」のことを覚えていてほしい。ハントンライスという、金沢ローカル洋食を売りにしているお店だ。金沢カレーも美味しい。

ヘッダー画像が食べ物ばかりじゃねえかというお声は、甘んじて受け入れる。

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入社して8日目、リモートワークを月曜から金曜まで続けてやったのは初めてだ。一週間の疲れ

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2020.04.09. 淡々東京ぐらし#10 ピザ用チーズは惜しみなく降り注ぐ

2020.04.09. 淡々東京ぐらし#10 ピザ用チーズは惜しみなく降り注ぐ

入社して7日目、すなわちリモートワーク7日目。きょうは朝のうちに散歩に出かけた。昨日とは違う道を歩いてみると、いまにも崩れてきそうな古い家屋のベランダで洗濯物を干している人がいたり、ゆっくりとした動作で車を洗っているおじいさんがいたりして、そうだよなあこんないい天気なんだしと心の中で頷いた。

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社内のチャットツールの雑談チャンネルに、自炊の写真がたくさん上がっている。弊社は自炊習慣のある

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2020.04.08 淡々東京ぐらし#9 そこのけそこのけ賞味期限が通る

2020.04.08 淡々東京ぐらし#9 そこのけそこのけ賞味期限が通る

入社と同時にリモートワークが始まって丸一週間が経った。一日中ずっと仕事をしていると、昼休みの使い方次第で身体や心の調子が変わる。

社内のビデオ通話ツールで話しながら昼ごはんを食べると、雑談への飢えが少しばかり解消される。ここ二日はそうしてきたが、今日の昼休みはまた過ごし方が違った。

まず、朝のうちにお米をといでセットしておいたので、炊きたてのご飯をよそってラップでくるみ、冷凍庫に放り込む。次に

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2020.04.07 淡々東京ぐらし#8 首肩腰火山帯

2020.04.07 淡々東京ぐらし#8 首肩腰火山帯

テレビが完全に災害報道と同じ感じになっている。今日、東京を含む7都府県に緊急事態宣言が発令されたのだった。普段のテレビ画面が小さくなり、その上辺をCOVID-19関連のニュースや、医療や通信などの情報が流れていく。

こんなときに地震や台風でも来たらどうなってしまうのか。

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リモートワーク5日目が終わった。Togetterで見かけたこのまとめを参考にして、デスクワーク環境は大幅に改善され

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2020.04.06 淡々東京ぐらし#7 日の光、人の名残り

2020.04.06 淡々東京ぐらし#7 日の光、人の名残り

朝、無音で黙々とラジオ体操第一をやっている。私は真剣である。

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リモートワークの昼休み、郵便物をポストに投函しに行きがてら、少しだけ近所を散歩した。空はよく晴れて、日差しが歩道を惜しみなく温めていた。数は少ないけれど桜の木も植わっている。満開だ。眺めている人はいない。

通りに面した、間口の狭い寿司屋が、休業の貼り紙を出している。カラオケ喫茶も、「コロナの影響でカラオケお休みします」と、

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2020.04.05 淡々東京ぐらし#6 煮込め、さらば透き通らん

2020.04.05 淡々東京ぐらし#6 煮込め、さらば透き通らん

草色の座椅子が届いたのでさっそく使っているが、これが本当に良い。固くも柔らかくもなくちょうどいい。自分の背中や腰をあずけられる背もたれの、なんと偉大なことか。ありがとう背もたれ。背もたれイズライフハック。

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今日も今日とて大学時代の友人とビデオ通話をした。普段、SNSのタイムラインで互いになんとなく「いるなー」と思っていても、自分の身に起こったことのこまごましたディテールはやはり話して初

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2020.04.04 淡々東京ぐらし#5 草色と青丹色のあいだ

2020.04.04 淡々東京ぐらし#5 草色と青丹色のあいだ

郵便物を受け取りに、何回か起きたのは覚えている。気づいたら夜の8時だった。

左目の奥がずきずきして、頭が重い。

たぶん、リモート研修で、三日間ずっとパソコンの画面を凝視していたからだ。学生時代に論文をパソコンで書いていたときはこんな頭痛に見舞われることはなかったのに。きっと、思った以上に緊張していたし、覚えることも多かったからだろう。

買っておいた鎮痛薬を2錠、口に放り込んで水で流し込み、ま

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2020.04.03 淡々東京ぐらし#4 汲めども尽きぬ電気の泉

2020.04.03 淡々東京ぐらし#4 汲めども尽きぬ電気の泉

汲めども尽きず、は確か能の『猩々』か何かで出てくる、無限にお酒が湧いてくる酒壺だったと思うけど、わたしはお酒を飲まないので、要らない。もし猩々に出くわして、丁寧に道案内とかしてあげて、お礼にうっかりその酒壺を貰ってしまったら、申し訳ないけどメルカリで売ると思う。

代わりに、無限にお湯が湧いてくる電気ケトルがほしい。毎日、ティーバッグの緑茶や紅茶、粉末のインスタントコーヒーや紅茶飲料をとっかえひっ

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