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2020.04.19 淡々東京ぐらし#15 世界が変わる前の世界を見ている/あれケチャップだったんだ


いつ頃からと正確にカウントしているわけではないが、半年ぶりくらいに短歌をつくった。つくったはいいけど、推敲してもなかなかこれと決まらずにいる。一首だけでは力が足りないので、ちょっと連作に組み込んでみて様子をみようと思う。文脈があれば案外活きるタイプの子かもしれない。

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テレビはだいたいNHK総合かEテレを見ている。元気じゃなくても見ていられるし、知的好奇心を刺激されるものが多い。

昨日は「ブラタモリ」の飛鳥編に始まり、続けて「有吉のお金発見 突撃!カネオくん」を見た。家事をすませて「いいね!光源氏くん」、日付が変わっても「よなよなラボ」を見ていた。

「よなよなラボ」は、バンド・ヤバいTシャツ屋さんと岡崎体育ら4人の、スマートフォンを使ったリモート収録による番組だ。緊急事態宣言が発令されたその日に収録されたらしい。ヤバTこやまたくやが、LINEグループ通話やインスタライブ、Googleやツイッターなど様々なアプリやツールを行き来しながら人とコミュニケーションをとるが、視聴者はこやまのスマホ画面に映るものをこやまと同じ視点で見ることになる。それをテレビの画面を通じて番組として成立させてしまっているところが斬新だ。深夜のNHKはだいたい面白い。(「SONGS」の鈴木雅之の回は見逃した。録画しとけばよかった)

NHKのテレビ番組のオープニングタイトルの右下に「この番組は2020年2月以前に収録したものです」というテロップを見かけるようになった。ああそっか、このスタジオめちゃくちゃ3密(新型コロナウイルス対策で、避けるべきとされる「密集・密室・密接」のこと)だけど、COVID-19以前の世界なんだ。よかった……とほっとしつつ、それを見ている私は、かつての世界からとんでもない世界に飛ばされてきてしまった気がする。あの世界につい最近までわたしもいたのだ。

世界が変わる前の世界を、変わった後の世界から見ている。変わった後の世界のテレビが、変わる前の世界で作られた番組を流し続ける。テレビはどんどん時間をさかのぼり、いつの間にかテレビ以前の人類の記憶を掘り起こし始め、人類以前の世界の記憶へと潜っていくのではないか? それこそ恐竜時代とか映しだしちゃうかもしれない。人間は自分以外の記憶も思い出せる(香山哲『ベルリンうわの空』にもそんなせりふがあった)。自分以外の記憶なら、ひょっとすると人間に限らなくてもいいかもしれない。

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短歌をつくった、とはいうものの、ただ漠とした危機と不安に覆われた毎日では、「今このときのことを詩歌にして残しておかなくては!」と一念発起するような感じにもなれずにいる。詩的言語の腰が重い。自分を救ってくれる言葉は、案外、料理のレシピの言葉だったりする。

料理は直接、自分の生命と精神を救ってくれる。レシピは、この世に存在する膨大な食材から何を選び、どのように加工し組み合わせれば美味くなるかを教えてくれる、心強い手引きの書だ。

週末なので、次の一週間分の作り置きを仕込んだ。きょう作ったのはこれ。

酢鶏は初めて作った。調味料の中にケチャップが含まれているのは一見不思議に思われたが、できあがった酢鶏を少し味見してみると、酢豚で味わったことのあるあの甘酸っぱさがすぐにわかって、あ、あれケチャップだったんだ、と気づいた。

サバ大根の鍋は、ゆっくり冷ましておく。煮物は冷めるときに味がしみるからだ。

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料理か、掃除か、ビデオ通話か、家計簿アプリを眺めるか、みたいな土日だった。給料日前最後の一週間なので、家計簿の締め日も近づいている。

今月の食費は1.9万円ちょい。予算をしっかり下回り、いい感じに節約できている。なお、この金額の中には、節約をがんばったご褒美として買ったハーゲンダッツも含まれる。期間限定のロイヤルジャスミンティーフレーバー。

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ずっとリモートワークだし外出自粛だし運動もあまりできないので、甘いものは週に一回食べるか食べないかくらいの頻度にしている。でも、月末くらいはいいかな。いいことにしよう。

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