見出し画像

2020.04.13 淡々東京ぐらし#12 カレン・カーペンターとパーカーの首周り

起きたら雨は止んでいなかった。なんということだ。家の中にひねもす籠りきりのリモートワークで気づまりだというのに、散歩に出たそばからずぶぬれではないか。

カーペンターズのヒット曲、Rainy Days and Mondaysは「雨の日と月曜日はいつも憂鬱」と歌うが、今回は雨の日かつ月曜日だ。憂鬱が二倍がけになってやってくる。

ひさしぶりにカレンの歌声を聞いたら、あまりに豊かな中低音と伸びやかな歌声に、ちょっとだけ泣きかけた。

幼少期から、親の運転する車のカーステレオで、カーペンターズのベスト盤や、A Song for You、Now&Thenなどのアルバムを聴いてきた。私自身も、女声にしては低めの歌声なので、勝手にカレンに親近感を抱いたりしている。

***

どうも明るい気持ちになれない一日だった。朝も昼休みにも散歩に行けなかった。それに、お昼に「ぺぺたま」というパスタを作ったとき、パスタのゆで汁をうっかり全部捨ててしまったので、パスタソースの乳化ができず、変な出来上がりになってしまった。うまくいったときは美味しかったのに。

会社の新人研修もなかなか頭を酷使したので疲れた。まだ月曜日なんだよな……

***

部屋では、昨日からなかなか乾かないパーカーが、折り畳み物干しにぶら下がって所在なさげにしている。数年前にユニクロで買った、スヌーピーとJoe Kawsのコラボデザインのやつだ。中国のカルチャー情報に詳しい友人曰く、中国ではスヌーピー×KawsのTシャツかパーカーか何かがものすごい勢いで売れて、店頭はさながら争乱のようであったという。激戦をくぐりぬけた者だけが手にできるパーカーなので、私もこれを着れば中国でスターになれるのかもしれない。

部屋干しは根気を旨とせねばならぬ。全体的にまあまあ乾いたかな?と思ってなんとなく洗濯物を触って、一部分だけ湿り気が残っていると「んんッ」と声が出る。あとどれくらい放っておいたらいい湿り具合か、触った感じと乏しい経験則から割り出してみたりする。そしてだいたい勘は外れる。

パーカーは生地が分厚いし、なにしろフードがついているので、そのままハンガーにつるしていると、首周りにフードが重なるので、そこだけが乾きにくい。そこで、フードの部分を洗濯ばさみで持ち上げて、物干しにはさんで固定するという知恵を編み出した。けっこううまくいっている。

***

東京の杉並区で、COVID-19の感染者が増加し、医療崩壊の危機が目前だと聞く。杉並区には、上京以来6年間住んでいた学生寮がある。管理人のおじいさまは無事だろうか。杉並区の書店や小劇場には、足しげく通った。一見怪しげな店構えだが気さくなマスターのいるカフェ兼ライブスペースは、休業を決めた。

坂がちだったかつての通学路で、雨が道路に薄い膜となって低いほうへ流れていたのを思い出している。今日もたぶん同じ風景だったのだろうと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?